Dargelos 2000 Weekly
(1999年12月15日創刊第3號)
 TOPICS『 藤本由紀夫さんのたった1日の楽しい展覧会 』
 第3週目をおとどけします。HPはじめてまだ半月で、ぼんやりとこのページは「しょっちゅう付けそびれる日記代り」にはなりそうだぞ、そして「誰彼に書き送ろうとして、送りそびれている宛のあるようで宛のない手紙(e-mailともまた違う)の役割」もしてくれそうだぞ、……などと考える。
 にしても、HP自体、そして、HP上のこの dargelos weekly というメディアの嬉しさや意味が、おぼろげながらも本能的に見えかくれするから、その手段を選んでみようとしているわけだが、それでも、HPの必然性はもう少しやってみないとわからない。とはいえ、そこに何らかの予感の手応えがある。その辺のことも少しずつは記してみたい。
 まずは日録データの羅列でしかないかもしれないが……じわじわと…やってみよう。
          
                                         銛射モビィ銛郎
                                         @ Morry Mobby Moriroux


●1999年12月9日(木)
 中野武蔵野ホール「あがた森魚の20世紀的世界」レイトショー。今夜は「僕は天使ぢゃないよ」の上映で、トークイベントゲストは伊藤ヨタロウ君。
 ヨタロウ君、今夜は司会モードで、質問事項まで用意してくれて、ヨタロウ君とあがた音楽史、及び映画史について話を展開。最後に二人で即興的におまけライヴ「冬のサルビア」。ヨッちゃん熱唱ありがとう。
 ところで、この日映画監督の崔洋一氏が上映を観に来てくれて驚く。13日のトークでゲスト参加してくれることになっているのだが、わざわざ今日、映画を観に来てくれた。今回のレイトショーは日替わりメニューなので、「港のロキシー」の上映とおもって観に来てくれたのかもしれないが、25年前の「僕天」を観られてしまって、冷汗モノ。
 崔洋一氏は、今年の2月ゆうばり映画祭の折も、雪の中をころげそうになりながら、開演間近のあがたのコンサートに駆けつけてくれたことが印象深い。そしてたった今は大島渚監督作品「御法度」に新撰組総長近藤勇役で主演。作品が18日から公開というもっとも旬で忙しい身でありながら、こうして来てくれる崔洋一という人柄。一方、その崔洋一氏のやんちゃ御乱行ぶりは、深夜の新宿、舞台挨拶、映画祭会場等で、何度も拝見している。ともかく吠えてコワイお方。にもかかわらず、何度か垣間みさせられた彼の律儀さにその度ごと少なからず感服。13日のトークショーが楽しみ。
 日中は、らいおんめりぃ君と新宿ON AIR にて12月12日の西宮美術館用のライヴのリハ。


●1999年12月10日(金)
 午後1時から「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の試写。
 ヴィム・ヴェンダースとライ・クーダーのコラボレートによるキューバの長老ミュージシャン達の音楽ドキュメンタリー。
 会場入り口で、藤井さん「かわいいおじいちゃん達がたくさんでてくるよ」。
 キューバのナット・キング・コールと呼ばれるイブライム・フェレールや、92歳で「6人目の子供を作るゾ」と意気込むコンパイ・セグンドといったキューバ音楽界の大御所達の表情が言うまでもなく良い。
 個人的にはヴェンダースの「東京画」「都市とモードのビデオノート」といった日常性の中に、シュールレアリズム性の横溢したものの方が好きだが、今回の作品は、その逆に肩の力がぬけ、ポピュラリティがあり、それはそれでしっかりとした佳作だ。
 
 夜、中野武蔵野ホール、サエキけんぞうさん、中塚武さんとトーク。中塚さんの「QYPTHONE」の新譜が渋谷のインディーズチャート入りしていたとのサエキさんのニュース。話題あれこれ、楽し。


●1999年12月11日(土)
 13時38分東京発新幹線にて新大阪へ16時39分着。タクシーで会場、岸田さんの十三「レッド・ライオン」へ。「アドキン」の今夜のライヴに、僕とセサール・オルギンがゲスト出演。「アドキン」は、お久しぶりの、グスタボ、ゆみこさん、岡本博文さんの3人。会場に、東瀬戸、福本、松永、高野、等々。


●1999年12月12日(日)
 兵庫県西宮大谷記念美術館にて、藤本由紀夫さんの「美術館の遠足3/10」。
 これは、今日一日だけの藤本由紀夫個人展。この形で年一回行われ、今年で3年目。2006年まで、毎年一回、一日だけ開催されるアート展。
 今年は、僕にライオン・メリィ、さらに濱地靖彦、中瀬由央のパフォーマーがゲストとして参加する。
 午後2時すぎに、阪神電車香櫨園駅から、美術館へ向かうらしき風情の学生達のあとについて、大谷記念美術館へ。
 旧大谷邸が、そのまま西宮市に寄贈されて出来たこの美術館は、庭と建物のバランスとたたずまいが実によく、こころなごむ。
 そこに陳列された藤本さんの作品の数々が、この地上に発した音や現象と交信せんとして、なんともヰタ=マクウィニカリスに館内外に場の気配を交流せんとして佇立してそこここにある。
 夜、めりいくんの箱男パフォーマンスに続いて、あがたと、めりの二人でのライブ。 そして、藤本さんとのトーク。会場にギッシリの、藤本フリークであろうところの将にアート系のクリエイティヴな眼差しにあふれた学生達を中心とした老若男女で会場はギッシリ。4〜500人も居たのだろうかその人々の固唾を呑むような熱気に、むしろ、こちらが圧倒されそう。
 今年最も楽しかった出来事の一つだ。
 こういう企画を、東京や、函館や、全国各地で企画できればいいなぁ、と思う。


●1999年12月13日(月)
 午前10時過ぎ、リーガロイヤルから梅田。梅田から御堂筋線で千里中央駅、くらしなさんと合流して、国立民族博物館の「越境する文化」展。       
 今度はモノレールで守口駅まで、そこから京阪電車で樟葉(くずは)駅へ。グスタボが駅まで車で出迎えてくれる。1時過ぎからグスタボ宅で、グスタボ、ゆみこさん、セサール、僕でプラネッツ・アーベントのリハーサル。
 終了後、夕刻18時48分新大阪発ひかり号にて帰京。東京駅から中央線で中野武蔵野ホールへ直行。
 折しも、本日の上映トーク・イベントを終えたばかりの、ゲストの崔洋一、村上賢司、熊切和嘉、各氏が、劇場近くで一献傾けている、とのことで合流。
 どんな話が、展開されたのか、ちょつと恐かったが、各氏、和気藹々と飲んでいたので一安心。トークそのものに参加できなかったのが残念だった気もするが、むしろ三人が、メインホストのあがたなしで、あがた及び彼等同士について語り合えだのがよかったのではないか。崔洋一氏の包容力、村上賢司さんの陽気なサービス精神、熊切和嘉君のはにかみ、それぞれが励しあいながらの、ユニークなトークになったのだろう、と感じ取れた。
 今度は、ゆうばりでトークしようよ、と崔さん。なんか、いいんだよね。この人。
 僕とはまた、全く違う激越な意思の持ち主。こういう存在はやはり貴重なんだね。  


●1999年12月14日(火)
 午後4時から、朝日新聞K記者による「ひと」欄の取材。銀杏並木で写真を撮り、メキシカンレストランでインタビユー。
 午後6時、BMGジャパンM氏と夕食。
 中野武蔵野ホール、今日のトークゲストは、特殊音楽家のとうじ魔とうじさん。たしか97年に、元舞踏家の村田青朔さんと、美術家の松本秋則さん、そしてとうじ魔さんの三人で結成されている「文殊の知恵熱」のパフォーマンスを観たのがきつかけで、交流が始まったのだが、とうじ魔さんの柔らかくて、イマジネーティブな発想は貴重だ。とうじ魔さん、見かけは訥弁ながらも、一生懸命喋る。気持ちのいいトーク。


●1999年12月15日(水)
 今日は、強行スケジュールの一日。午前10時、武蔵小金井駅集合で、坪川隆宏監督作品「天然の美」ロケ。あざやかな青の羽根の揚羽の標本を観ながらの台詞がなかなかいい。この日の撮影にはほかに、常田富士男、吉田日出子さん等。
 午後、新橋へ飛んで「港のロキシー」に関するT社への支払いの件。打ち合わせ後、またS氏にお茶をごちそうになる。こういうときって、このなんでもないお茶から氏の仕事への姿勢が伝わってくる。
 午後4時過ぎ大橋キティにて、「メンズ・ウオーカー」(12月21日号)の取材。担当記者N氏。「日本少年2000系」について。
 午後9時20分から中野武蔵野ホール、今日のトークゲストは、手塚真さん。 
 「港のロキシー」と「白痴」との相互キャンペーンで、手塚さんとのトークはこれですでに3度目。  うちとけて、ゆったりと。映画の原体験の話など。東京育ちの手塚さんはやはりATGなどを観て育ったのだ。白尾一博、和田淳子ら、来訪。 

          
                                         銛射モビィ銛郎
                                         @ Morry Mobby Moriroux


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