僕のレアトラックス集を編集するにあたっての問題点は、わずかにレコード１枚分相当くらいの音源しか現存しないということだった。（編者注：ライブ以外の音源について言っているものと思われる）言うならば、これは決定的で唯一、制作可能なコレクションでなければならないことを意味している。多くのアーティストは、そういう非常に直接的なプロセスを経ることもなく１枚の作品を完成するか、場合によっては未完成に終わるのが常だ。もしも僕が、よりプロセス志向の（指向の？）強い人間であったなら、レコーディングという単純作業からでも、本当に作りたいと思う以上の作品を作り出せるだろう。しかしそういう事態は決して起こらない。僕は普段からテープの無駄使いに大いに関心を持っている。そこで迷い子になりそうなアイディアは残らず録音しておくことにしている。（つまりいろんなテイクを消さずに残している）目標がそれまでのよりも遠のいて見えた瞬間、僕の興味はたちどころに他の何かに移ってしまうからだ。その一方でステージは常に挑戦だ。このコレクションにこれほど多くのライブ音源が収録されているは、こういう理由によるものだ。これらの実例が示すように、稀少レコーディングというものは、過去においても、また将来的にも、僕がその曲を演奏する可能性がどれほど少ないかによって決まる。あちこちからいろんなガラクタを寄せ集めたものだとか、レコードにいれるつもりなど全くなかった極めて珍しい曲の完全デモだとか、試聴盤のためのスクラップだとか、まあそうゆうものが素材になったいるわけだ！僕の届けることのできる唯一のレアトラック集だよ。１９９８年８月 ＴＯＤＤ ＲＵＮＤＧＲＥＮ
このコレクションに収められたトラックの多くは、トッドがこの春ベアズヴィルで発見した作品である。彼はColumbia/SonyからデビューするSplenderというニューヨーク出身の新しいバンドをプロデュースしていた。トッドと私はベアズヴィルのテープ倉庫から何ダースという古いテープを引っぱり出してきた。その多くは２０年以上の間、誰にも聞かれたことがなかった。その多くがベアズヴィルの移動レコーディング機材だった”ロケーション・レコーダーズ”で録音された１６トラックのマスターだった。ツアーに出ていない時には、そのロケーション・トラックはタートル・クリーク・バーンの駐車場のはずれに停められ、スタジオに接続されてレコーディングに使用されていた。