20世紀を歩く

☆1925年・ラジオ放送開始☆


 日本のラジオ放送は1925(大正14)年3月に始まった。5月、本格的な放送局が、港区の愛宕山に造られて以来、この地は永らく日本の放送の中心だったという。今日でもそれを記念するかのように、NHK放送博物館がでんと建っている。

 建物に入ってエントランスを抜けると、左手に、ラッパのような真空管ラジオと円形状のマイクが据え付けられている。これが放送開始当時の再現スタジオで、パネルの説明には「マイクはアメリカ製の高価なもので宝物のように扱われた」とある。受信機のほうは「真空管式ラジオ」で、我々にはどう頑張って見ても蓄音機にしかみえない。

 ここではこのマイクに実際にしゃべってみることができる。

 椅子に腰掛けて「ああ〜こちらは東京放送局であります」と叫ぶと、衛星中継のようなタイムラグをおいて、反対側の受信機から「ああ〜」と流れてくる。ぼそぼそしゃべっては全然受信してくれない(聞き取れない)ので、かなりハキハキとしゃべらなくてはいけない。戦前〜戦後初期までのアナウンサーの発声が、日常話すのと違ってハキハキした独特の抑揚があるのも、多分にこのマイクの性能のせいだろう。



 2階は「放送のあゆみ」のコーナー。前半はラジオが、後半はテレビなどの放送機器が陳列され、ボタンを押すと「♪鐘がなりま〜すキンコンカ〜ン…」などと当時の放送が流れてきて楽しい。
「ラジオたいそーっ!はじめっ!イチッ!ニィッ!サン!シッ!…」開始当時のラジオ体操。これじゃ教練だ。



 「戦後のラジオ番組」のパネルを読んでみる、
  「街頭録音」昭和20年9月〜33年4月。第一回のテーマは「あなたはどうして食べていますか」だったという。切実である。
  「配給だより」昭和22年3月〜23年9月。
  「明日の食糧」昭和22年12月〜25年7月。
  「尋ね人」昭和22年7月〜39年4月。
  「復員だより」昭和21年1月〜22年2月。
  「引揚者の時間」昭和22年7月〜32年3月。
といういかにも時代をあらわしている番組が並ぶなかに異常に長寿番組を発見。

  「私たちの言葉」昭和20年9月〜平成4年4月。
うーむ、あの、説教にしか聴こえない投書コーナーがこんなに長い歴史を持っていたとは…。


時代はやっとテレビのコーナーへ。画面でプロレスをやっているのはかの力道山だ。

  

 ずらりと並んだテレビカメラの説明や人気番組紹介などのわきに、受信契約第一号のテレビの実物が展示してある(写真右)。17インチとある。けしからん、俺が14インチなのに!(←そういう問題ではない)。

 最後は「ハイビジョン放送」(どうしても宣伝したいらしい)。このほか、実際に昔の番組を視聴できる「ミニライブラリー」や、テレビカメラに映れる「体験スタジオ」などがある。


■NHK放送博物館■
東京都港区愛宕2-1-1
TEL03-5400-6900
地下鉄日比谷線神谷町駅または
都営三田線御成門駅より徒歩10分


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