20世紀を歩く

☆1950年・湘南電車登場☆

 1950(昭和25)年、最初の長距離用電車として「80系電車」が走り出した。それまでは、電車は近距離専門で、長距離の列車は機関車が客車を牽くものと、相場が決まっていたのだが、電車は「機関車に比べて重量が軽いし、高速化しやすい」「終点での折り返しが簡単」などの利点があり、国鉄の動力近代化の一環として、この電車の登場となった。


 当初、東海道本線の東京〜小田原・沼津間でよく使われていたので、“湘南電車”の愛称がついたそうだ。オレンジと緑に塗り分けられた車体は、黒や茶色の車両を見慣れた当時の人々の目には非常に新鮮にうつったという。

 JR大阪環状線弁天町駅そばの交通科学博物館には、この80系電車の1号機が保存されている。この機種を皮切りに、電車列車全盛の時代に入り、特急列車などもどんどん電車化されていく。


 その最たるものが現在の新幹線だろう。ここには、その80系電車が生み出したともいえる、新幹線電車の1号機も保存されている。

 車内に入るとミニシアターがあったが、映画そっちのけで子供らが上を下への大騒ぎであった。そら、転ぶぞ…、ほら転んだ。


 このほか、国鉄の高速バス「ドリーム号」やディーゼル特急などが実車で展示されている。

  

 また、「鉄道のおいたち」とか「鉄道とくらし」「航空・船・自動車のあゆみ」などのパネル展示もある。初代大阪駅で1874(明治7)年ごろから列車の発車合図に使われていた鐘が、ある時、駅の改修工事で行方不明になり、1940(昭和15)年に手洗い鉢に身をやつしているところを発見された、というようなサイドストーリーも豊富。


 館内のレストランは食堂車がそのまま使用されている。カレーライス570円、ハンバーグ900円など。学校の春夏休みなどの多客時には駅弁の販売もあるそうだ。

 なお、さきほどの湘南電車、普段は外から見るだけだが、日を決めて内部公開もされているとのこと。
 


◆交通科学博物館◆
大阪府大阪市港区波除3丁目
TEL06-581-5771
JR大阪環状線弁天町駅前
10:00〜17:30(入館は17時まで・月曜休館)


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