20世紀を歩く

☆1962年・高度経済成長真っ盛り☆

 千葉県松戸市の松戸市立博物館では1962(昭和37)年頃の「団地生活」が丸ごと展示されている。
 1960(昭和35)年、同地には都市住宅整備公団によって世帯数5000戸ほどの常盤平団地が建設され、“農村から住宅都市への変貌のさきがけになった”(同館パンフより)そうだが、その時の団地の1戸を復元展示しているのだ。

  


 当時、最先端のモダン住宅。この明るいハイカラな住宅は若い世代の羨望の的であると同時に、努力目標でもあった。電気釜、オーブン、ミキサー、ステレオ……。家具もイスも、読みさしの雑誌も、当時のものである。テレビから流れるコマーシャルですらそうだ。
 食卓の上にはカロリーが高そうな、けばけばしい色のケーキが並び、畳敷きの部屋にカーペットを敷いて洋間として使っている。本棚の本、食器棚の中の器にまで時代考証が及んでいるというからすごい。


 しかし、決定的に残念なことには、我々見学者は、この素晴らしい展示を、ベランダの見学コースから窓越しに指をくわえて眺めているだけで、室内に入って間近に見学することは許されないのである。
 おかげでストーカー気分を存分に味わえる。


 外回りも一応再現されているので、玄関にまわり、呼び鈴など押してみる。

「奥さ〜ん、新聞取らな〜い? 奥さ〜ん」

残念ながら契約は取れな…いや、ドアは開かなかった。せめて時間を決めて、室内見学のツアーでも組んでもらえたら、うれしいのに。関係者の一考を求む。


 ここは松戸市の博物館なので、ほかにもいろいろと松戸の移り変わりを知ることができる。虚無僧の歴史(虚無僧寺が松戸にあった)や20世紀梨(松戸で誕生した)についての展示まである。上記の団地も、松戸の都市化についての展示のひとつなのだ。

 屋外には縄文時代の竪穴住居が3棟展示。竪穴住居から団地までを収めた博物館である。


◆松戸市立博物館◆
千葉県松戸市千駄堀671
TEL0473-84-8181
JR武蔵野線新八柱駅・新京成線八柱駅より徒歩20分
9:30〜17:00(入館は16:30まで)
月曜と月1回の館内整理日には休館

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