パッケージを開けると、ケースに納まったクリオネが30匹ほど、勢揃いしている。
普通は、ケースから竹の箸などを使って上品に、このクリオネたちを菓子皿に移す
手でガッとつまんだ時の触感はまるで浜辺に打ち上げられたクラゲに触れたかのようだ。
口に運ぶとき、クリオネのヒレや尾の部分が、まるでいやいやをするようにぷるぷると震える。
口に含むと、砂糖と水飴と麦芽糖と白餡と澱粉とくず粉とゲル化剤と赤105号の
舌に広がったそのほのかな甘みを堪能しながら、一息に飲み込むとなめらかな
……というようなことを本当に実行に移すと、ノドに詰まって
オホーツク銘菓と銘打たれたこのお菓子、くず粉でできていることからもわかるように、
形態はクリオネでも、“きな粉をまぶして”食べるようになっているところが、
のだろうがここはちょっとワイルドに手づかみで頂こう。
べたりとはりついているクリオネを、ケースから引き離す。
この粘度はまるでウミウシか何かを岩からひきはがしているかのような快感を与える。
着色料で作られている本体の甘さが舌の上に広がる。
ノド越しを残して、クリオネは胃に落ちていった。
大変なことになりますので、おやめ下さい。(写真・ほぼ原寸大)
体質的に葛切りや甲州の信玄餅の類である。正式名称は『菓子(くず大福)』となっている。
己が出自を物語っている。実際口に含むと、クリオネの形状から想像される味と葛切り的な
「甘み」との違和感が、たっぷり堪能できる。
と同時に“クリオネの踊り食い”の雰囲気といったものを、くずの触感からかすかに
伺えるところにこの菓子の醍醐味があるといえようか。