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“ゼリーフライ”は、やはり県道沿いの複製した埴輪などを置いていたりするみやげ物屋の店先で売られていた。1個80円。 大きさはコロッケよりひとまわり小さく、ころものついていないコロッケをそのまま揚げた感じ。なので、ころもがない分、見かけよりあっさりしている。 やはりこれもウスターソースで味付け。新聞紙にさっとくるんで「はいよ」と渡してくれる。歩きながら食べるのに向いた、間食用だ。 この食べ物がなぜ“ゼリーフライ”かというと、形が銭型をしているので、銭フライと呼んでいたのが、ゼリーフライになまったのだとか。ご当地では、フライに“富来(ふらい)”と当て字をしていた。ゼリーフライは“銭富来”である。なかなか縁起のよさそうな。 |
謎なのは、なぜあのお好み焼き状のものを“フライ”と称するかだ。日本語で「フライ」というと、なみなみとした油で揚げるイメージだが、英語でフライ(fry)というと、うすーく油を引いて炒めたやつも含まれる。むしろ、「fried 〜」という場合、こちらを指していることが多い。 例えば、玉子焼きは fried eggだし、チャーハンは fried rice。逆に日本風の、油をたっぷり使って揚げた料理方法を表現したいときは deep fry。 もしかすると、欧米列強の影響力が強かった清朝末期(20世紀初頭)の中国で、イギリスから入ってきた、小麦粉を水でといて焼く料理があったのではないか。その料理は「フライ」と呼ばれて、“ゼリーフライ”ともども、行田に伝わったのではないか――とそんな風に思われないでもない。
“フライ”がメジャーになったのは、麦の産地として知られるこの地方で、昭和の初めに販売したのが始まりだという。足袋工場で働く女工さんが夕方の休憩時間に食べにきていて、それ以後、気軽に食べる料理として定着したのだそうだ。腹ごなしにふたたび古墳上の人となる。高さ18.9mの丸墓山古墳は見晴らしがいい。周囲を見回すと、宅地のあいだには畑が散見される。きっと春には「麦秋」と呼ばれる収穫シーズンを迎えることだろう。 |