パンフレットに“瀬戸内海や播州平野の魚、エビ、カニ、水生昆虫などの身近な生き物を中心に展示している”とうたっている通り、展示されている種は地味で渋い。なれど、その生態の見せ方が工夫されている。
まず、 入ってすぐに、トビハゼがはね、カニがダンスを踊る干潟の水槽。ガラス越しでなく、上からのぞき込んで、間近に眺めることができる。
なかの展示水槽では、背中に貝殻をしょって身を隠してしまうヘイケガニには透明な板で作った人工の貝殻をあてがい、カニがどこのつめで貝殻を背負うかがわかるようになっている。ヤドカリにも透明な巻き貝を与えて内部の様子が見える。
エビの掘った巣穴にハゼが共同生活をするギンガハゼとニシキテッポウエビの水槽では、水槽のガラス面に沿って巣穴があり、エビとハゼとの共同生活を観察できるようになっている、という具合。
標本展示というと、見栄えがしないうえに気持ち悪かったりして、昨今の水族館では冷遇されがちだ。なかには標本室を取り壊してしまって、ご当地とは全然関係のない熱帯魚を泳がせてお茶を濁すというような施設すらある。
しかし、標本とは、そこの水族館の研究や実績の蓄積なわけで、標本展示を見れば、その水族館のポリシーが判ろうというものだ。
なにか地域に密着した「元気さ」が伝わってくる水族館だ。入場料200円というリーズナブルな値段もうれしい。