tubular bells above the field of yellowstone

マイク・オールドフィールド企画盤レビュー

マイク・オールドフィールドのベスト盤や編集盤について、私の持っているものからご紹介します。
(なお、各アルバムごとにジャケット写真を掲示しております。著作権者の承認をとりたくいろいろ調べましたが、不明のまま掲示しております。もし問題等がありましたらご連絡ください。速やかに対処いたしますが、このホームページは単純にマイク・オールドフィールドを賞賛し、日本におけるファンを増やしたいと思うゆえの掲示です。著作権者の方の暖かい配慮を期待しております。またこの件に関するアドバイスも歓迎いたします。


Boxed (1976)

Tubular Bells / The Rio Grande / Portsmouth / In Dulci Jubilo / Hergest Ridge / An Extract From Star's End/ Argiers / Speak(Tho You Only Say Farewell) / Ommadawn / The Phaeacian Games / First Excursion

本作は発売当時はLP4枚組のボックスセットだったもの。当時オマドーンからインカンテーションまで3年近く開いたため、しびれを切らしたヴァージン側が、初期3部作のリミックス盤とそれまでに発売されたシングルや、デビュー前にデビッド・ベドフォードのバンドで演奏していた時の曲を混ぜて発売したもの。LPではチューブラーベルズ、ハージェストリッジ、オマードーンがそれぞれLP1枚、その他をCollaborationsというタイトルにした1枚のLP4枚であったのをCDでは4枚目の曲を振り分けて3枚CDセットにしている。特筆すべきはチューブラーベルズにおける最終章、セイラーズ・ホーンパイプが本来オリジナルに収録されるはずであったロングヴァージョンであること。VIv Stanshallが半分酔っぱらっているような声で、チューブラーベルズが録音されたマナースタジオのある屋敷をうろつきながら、部屋の数であるとか、家具であるとか、絵画のことをただ話している声と、その後をついてくるオールドフィールドとトム・ニューマンの千鳥足のような足音、そしてあのセーラーズ・ホーンパイプのフレーズもまるで酔っぱらっているような調子でしばらく続く。後半にオリジナルの部分があらわれるといったしだい。とてもほのぼのした雰囲気が良くでてきており、オールドフィールドのファンであればこの部分を聴くだけでも、このセットを購入する価値があるというもの。オマドーンはパート1のエンディングのフェイドアウトがオリジナルより長い。ハージェストリッジはオリジナルCD盤と同じ。このミックスがCDの通常盤となってしまった。(アルバムレビューのハージェストリッジを参照) CDでのチューブラーベルズパート1はオリジナルミックスとBoxedミックスのものがあるようだ。CDのチューブラーベルズのナンバー(真ん中の透明の部分に記載されているナンバー)の最後が1Aで終わっていれば、Boxedミックスであり、1Bで終わっていればオリジ ナルミックスらしい。自分残念ながら1Bを所有。


Airborn (1980)

Airborn / Platinum / Charleston / North Star Platinum Finale / Guilty / Into Wonderland / Punkadiddle / I Got Rythm/ Tubular Bells Part 1 Live / Incantations (Studio And Live)

プラチナムが発売されたときに、米国ヴァージョンとして発売されたもの。プラチナムの部分だけの1枚ものとチューブラーベルズのライブとインカンテーションズがセットになった2枚組の二つのタイプがある。今ではとっても珍しい。日本でも最近ではよくボーナストラックが国内版にはおまけでつくが、これはプラチナムを思いっきり編集し、1枚おまけでつけたアメリカで発売された珍しいプラチナムといえるだろう。

この盤の特徴

ジャケットがオリジナルと全く違う。ビデオエッセンシャルで紹介されるアニメの絵を使用。

以上気が付いただけでもこれだけあり、オリジナル作品をベースにこれだけ編集している作品も珍しい。珍盤といえるだろう。今ではとっても入手困難。


Impressions (1980)

Tubular Bells Live Part 1 / Ommadawn Part1 / Airborn / Platinum / Charleston / Punkadiddle / I Got Rythm / Guilty / Pipe Tune / In Dulci Jubilo / Wrekorder Wrondo / Cuckoo Song / On Horseback / Portsmouth / Sailor's Hornpipe

当時どういういきさつかは不明だが、通信販売だけで発売された編集盤2枚組。現在では極めてレア。発売元はTellydiscとなっている。選曲はExposedのチューブラーベルズのパート1、オマドーンのパート1そのもの。それからプラチナムからの抜粋。そしてシングル集と、他のディスクをそろえてる人には一見真新しいものではないかもしれないがが、Pipe TuneとWrekorder Wrondoが収録されているベストはこれだけであり、この2曲はシングルレビューで紹介しているTake 4とSingles以外では、聞くことができない。またなによりも、I Got Rythmはオリジナルヴァージョンと異なり、曲調が多いに盛り上がるアレンジになっており、オリジナルよりも聞きごたえのあるものとなっていること。最後の鐘の音が何ともいえない感動を呼ぶ。そして、On horsebackもオリジナルと違う。大きな違いではないのだが明らかにミックスは違い、マイクの声も違っているように聞こえる。(マイクではない別人の声に聞こえる。)情緒感がやや欠けてこちらはオリジナルにかなわないが、面白い。


Music Wonderland Mike Oldfeild's Wonderful Music (1981)

Arrival / Portsmouth / Sheba / Blue Peter / Extract From Tubular Bells / Sailor's Hornpipe / Punkadiddle / Wonderful Land / In Dulci Jubilo / Extract From Ommadawn / On Horseback / Guilty (Live) / North Star/ Platinum Finale

ドイツで企画販売されたちょっと変わったベスト盤。LP、CD両方出ており、自分はCDで所有。ジャケットも安易にこしらえた感じがするし、無理矢理作ったベスト盤のような気がしてしまう。内容は当時の選曲から言えば、まあまあと言うところ。この盤そのものはレアではあるが、Airbornのようにヴァージョン違い等の珍しい曲も無いため、よほどの病みつきファン以外は気にしなくとも良いかも。


Episodes (1981)

Ommadawn (extract) / Tubular Bells (extract) / Incantations (extract) / Hergest Ridge (extract) / Platinum (Airborn ・ Punkadiddle) / QE2(Sheba・Arrival・Celt) / Portsmouth

フランスにて企画されたベスト盤。こちらもLP.CD両方発売されているが、いずれも現在は入手困難。この時期は先述のドイツによるベスト盤やAirborn, Impressionsのような企画盤が各国で発売されている。この盤も真新しいものはないものの、この当時のセレクションとしては妥当なものになっているといえるだろう。


The Complete Mike Oldfield (1985)

The Instrumental Section
Arrival / William Tell Overture / Cuckoo Song / In Dulci Jubilo / Portsmouth / Jungle Gardenia / Guilty / Blue Peter / Waldberg (The Peak) / Wonderful Land / Etude

The Vocal Section
Moonlight Shadow / Family Man / Mistake / Five Miles Out / Crime Of Passion / To France / Shadow On The Wall

The Complex Section
excerpt from Ommadawn / excerpt from Tubular Bells / excerpt from Hergest Ridge / excerpt form Incantations / excerpt from Killing Field (Evacuation)

The Live Section
Sheba / Mirage / Platinum / Mount Teidi

LP発売当時は2枚組のA面、B面で4つのセクションに分けていた。CDではやはり2枚組だが前半2セクション、後半2セクションにわけている。デビューからキリングフィールドまでを対象としたベスト盤だが、シングルでしか発売されていなかったものや、ライブ盤が盛り込まれたりして、ファンにはとてもありがたいベスト盤。選曲もなかなかでオールドフィールド初心者にもおすすめできる。最初のセクションはインストルメンタルの短い曲を集めたもので、ほとんどがシングル盤からの収録であり、アルバムとしてはこれが初めてのものが多い。曲もさすがにオールドフィールドらしい名曲揃い。ヴォーカルセクションでもミステイクとクライム・オブ・パッションがシングルからの収録でマギー・ライリーとバリー・パーマーのそれぞれのヴォーカルであり、名盤ディスカバリーに本来収録される予定だったのではとさえ思う。恋人の死を悲しむクライム・オブ・パッションはなかなかの名曲。ムーンライトシャドウの姉妹盤といったところか。またシャドー・オン・ザ・ウォールはアルバム盤とは違い、12インチヴァージン。アルバム盤よりいい。ファイブ・マイルズ・アウト も別テイクだが、ほとんど同じ。3番目のセクションは、オールドフィールドの大曲の抜粋集。本来CD1枚分の長さのものをベスト盤に入れる以上抜粋をせざるを得ないのはわかるが、どの部分を抜粋するかは各リスナーの好みによって分かれてしまう。オールドフィールドの大曲の良さを知るためには、やはりすべて聴かなくてはとあらためて感じる。このパートは参考程度ととらえた方がいいと思う。4番目は初公開のものばかりのライブセクション。これはファンには感涙もの。オールドフィールド初体験者にもファンにも楽しめるベストではあるが、初体験者の方にはこれだけではオールドフィールドすべては理解できないと思ってください。


 A Virgin Compilation (1987)

Magic Touch / Magic Touch(Edit) / Tubular Bells(Edit) / Family Man / Flying Start / Moonlight Shadow / Shadow On The Wall (12"version) / Five Miles Out / Etude / Jungle Gardenia / North Point

想像だがIslandsのアメリカヴァージョンが発売されたことをきっかけにアメリカ向けに編集されたベスト盤ではないかと思われる。ヴァージンアメリカからリリースされているが、あくまでプロモーションオンリーで、極めて入手困難。Magic Touchが2つ収録されており、両方ともMax Baconヴァージョン。ひとつはショートヴァージョンだが、この盤だけのために編集されたものと思われる。Tubular Bellsの編集は最初の部分をコンパクトに凝縮したもので、単純にカットしたものではない。(エクソシストのシングルカットヴァージョンか?)不思議な編集盤のひとつ。


The Best Of Mike Oldfield Elements (1993)

Tubular Bells (Opening Theme) / Family Man / Moonlight Shadow / Heaven's Open / To France / Foreign Affair / In Dulci Jubilo / Shadow On The Wall / Islands / Etude / Sentinel / Ommadawn (excerpt) / Incantations (excerpt) / Amarok (excerpt) / Portsmouth

チューブラーベルズU発表後に発売されたベスト。ヴァージンから出されており、オールドフィールドがヴァージンを去るに当たって集大成的に企画された。次に紹介する4枚組CDベストセットを1枚ものに集約したもの。1枚のCDにオールドフィールドの名作を集めるのにはやはり無理があり、どうしても歌ものが中心になってしまっている。確かにいい曲ばかり集めているとはいえ、あまりオールドフィールドを知らない人がこれを聴いたら、オールドフィールドの音楽を誤解されそうでこわい。初めての人はこれを買うよりも、先に紹介したコンプリートを買った方がよい。


Elements (1993)

マイク・オールドフィールドデビュー20周年とヴァージンを去ることになったことで、集大成として発売させた4枚CDボックスセット。国内では未発売。このボックスセットのダイジェストが前に紹介したもの。輸入盤として約8500円程度で販売されてた。装幀が豪華でプラスチックケースに入りのボックスの中に4枚のCDが納められ、それぞれのジャケットデザインが 炎 水 空 タンポポの綿毛と異なっておりとても美しい。 また60ページに上る豪華ディスコグラフィーがついていて写真も豊富。選曲も4枚組CDとしているからは、満足できる形で網羅されているといえる。今までCDでは聞けなかったシングル曲、ライブも含まれている。 またリマスタリング処理されており、古い曲について特に音が良くなっている。でもチューブラーベルズ以外、大曲はやはり抜粋されており、途中で終わってしまうと物足りなく感じてしまうのは、ベスト盤である以上仕方がないかも。またオールドフィールドは契約トラブルを起こしてしまったアニタ・へジャーランドのヴォーカル曲を意図的にはずしている。

Disk One
Tubular Bells / Hergest Ridge (excerpt) / In Dulci Jubilo / Portsmouth / Vivaldi Concerto In C

ベスト盤ではあるがチューブラーベルズはノーカットで収録されている。やはりはずせないのだろう。ファンにとってうれしいのはCD初収録のヴィバルデイのコピーが聞けること。

Disk Two
Ommadawn (excerpt) / On Horseback / William Tell Overture / Argiers / First Excursion / Sailor's Hornpipe / Incantations (excerpt) / Guilty / The Path / Blue Peter / Woodhenge / Punkadiddle (Live) / Polka (live)

オン・ホースバックをリマスターできけるのがうれしい。不思議なのはチューブラーベルズの最終章であるセイラーズ・ホーンパイプをDisk Oneと同じヴァージョンで収録していること。どうせならロングヴァージョンを入れたらいいのにと思う。この盤での初CD化の曲は初公開のLive2曲とザ・パス。 

Disk Three
Platinum 3&4 / Arrival / TaurusT/ Q.E.2 / Wonderful Land / Sheba / Five Miles Out / TaurusU / Family Man / Mount Teidi / Waldberg (The Peak) / Crises (excerpt) / Moonlight Shadow / Foreign Affair

この盤だけはオールドフィールドのCDをすべて持っているファンにとっては真新しいものがない。(ただWonderful Landはアルバムと異なるシングル用ショートヴァージョン)ただし収録されている曲はこの時期のオールドフィールドの名曲揃いであり、まあうなずける選曲となっている。(ただSallyを入れてほしかった。)

Disk Four
Shadow On The Wall / Taurus V / Crime Of Passion / Jungle Gardenia / To France / Afghan /Tricks Of The Light (instrumental) / Etude / Evacuation / Legend / Islands / The Wind Chimes (excerpt) /Flying Start / Magic Touch / Earth Moving / Far Country / On Glance Is Holy / Amarok (excerpt) / Heaven's Open

この時期のオールドフィールドは短めの曲が多いため、少々ごった煮的な選曲になってしまっている。少々納得できない選曲もあり。ウインドチャイムズはイントロだけで終わらせるのはちょっとひどい。ただ他のCDでは聞けない曲としては Afghan, Tricks Of The Light のインスト盤(なかなかおもしろい)、Legend, On Glance Is Holy。 (Holyのシングルミックスヴァージョンただし、Hard and Holy mixというのは間違いでシングルリミックスが収録されている。) (Shine, Pictures In The Dark を入れてほしかった)


XXV The Essential Mike Oldfield (1997) 

Tubular Bells (Excerpt) / Hergest Ridge (Excerpt) / Ommadawn (Excerpt) / Incantations (Excerpt) / Moonlight Shadow / Portsmouth / Good News (From "The Killing Fields") / Sentinel (Remix) / The Bell (Remix) / Let There Be Light / Only Time Will Tell / The Voyager / Women Of Ireland / Tubular Bells V

デビュー25周年を記念したベスト盤であることはタイトルから理解できるが、内容的にオールドフィールドの偉大さを網羅している内容ではない。少なくとも初めてオールドフィールドを聴こうとする人には偏りすぎだし、それならElementsのほうがまだ勧められる。またオールドフィードを愛し続けてきたファンにとっても、実に中途半端な選曲としかいいようがない。エレメンツボックスがすごかったから見劣りしてしまう。レミックスが今までシングルでしか聴けなかったものが若干混じっている程度。ただし、これが発売された時は、まだ製作段階であったチューブラーベルズVの一部が収録されていたため、ファンの間で話題になった。The Source Of Secretsの検討段階ヴァージョンが収録されており、実際にはAmarという女性のヴォーカルの部分となるところは男性の声になっている。クラブミックス的になっているため、ファンの間では賛否両論がわき起こった。チューブラーベルズVが発表された後で改めて聞くと、最初に聞いたときの違和感は、もう感じることはない。


Tubular Bells 25th Anniversary Edition (1998)

チューブラーベルズ発売25周年を記念して発売された限定企画盤。ジャケットの裏には25-5-73・・・・25-5-98と記号が入っているが、これはもちろん73年5月25日の発売から25年後の同じ日に発売したことを意味する。紙製ジャケットで、中には本として発売されている「The Making Of Mike Oldfield's Tubular Bells」(右の写真)からの抜粋されたオールドフィールド、トム・ニューマン、サイモン・ヘイワースのインタビューやマナースタジオの写真が含まれた小冊子が入っている。(この本はなかなか豪華で写真、内容も盛りだくさん。)音の方は原曲のノイズなどを消し、音に広がりが出るようにデジタルリマスターされているようである。聴いてみるとCD化されたことにより、カシャカシャしていた部分がとてもまろやかになり耳になじむような感じになっているし、きれいになったという印象がある。一方で通常盤の方は手作り的な感じがあったのに、それがいかにもデジタル化されたなあという感じもしてしまい、まあ一長一短。欲をいえば、セイラーズホーンパイプはボーカルバージョンであって欲しかったし、どこかに「The Making Of Tubular Bells」の建設中のチューブラーベルズの素敵なジャケットを入れて欲しかった。これをきっかけにハージェスト・リッジ以降インカンテーションズくらいまでリマスター盤を出して欲しいと思うのはファン心理として当然。


Mike Oldfield HDCD Remastered (2000)

Tubular Bells : Hergest Ridge : Orchestral Tubular Bells : Ommadawn : Incantations : Exposed : Platinum : QE2 : Five Miles out : Crises : Discovery : The Killing Fields : Islands : Earth Moving : Amarok : Heaven's open

ヴァージン時代の16タイトルが高品質仕様であるHDCD仕様で発売された。発売前から話題を呼んだが、特にHergest Ridge がアルバムヴァージョンのリマスターだという噂がひろまり、それが事実であればファンにとっては長年の夢がかなうというくらいの期待感のもと発売された。しかし残念ながら、発売されたものは現在のCDで手に入るものをそのままHDCD仕様にリマスターしたものであり、いわゆるヴァージョン違いや、大きなマスターの違いというものは一切無く、おそらくHDCD対応のCDプレイヤーで聴けば、音質が向上しているというレベルに過ぎないものだった。各ライナごとに新たなデザインの写真や、簡単なライナノーツが掲載されているが、それほど大きな新鮮味も無く、またジャケットデザインもトリミングの悪さや、色あいの違いがひどいなど大変にファンにとって評判の悪い結果となってしまった。PlatinumなどはライナノーツでSallyの曲のいわれに言及し、Sallyというタイトルをクレジットしながら、収録されているのは今まで通りのInto Wonderlandであったり、CrisesではForeign Affairをタイトル欄からもらしているという情けなさ。上に紹介した25周年記念盤が丁寧にこしらえている印象だったのに、こちらは全く手を抜いた粗削りの印象が強く、ファン心理を理解していないものになってしまっている。本当にファンが企画したものなら、アルバム当時のデザインを忠実に再現し、音についても最初のものを参考にし、場合によっては未CD化音源のボーナストラックくらいつけるはずだ。ただ自分はHDCD対応型CDプレイヤーを持っていないのでいけないが、それなりの器材で聴けば、音は良くなっているからそれだけでも満足しなければいけないのかもしれない。確かに今までとは違う音の響きがあって、思わぬ感動をしたりすることもある。HDCDプレイヤーが欲しくなってしまう。しかしHDCDプレイヤーを持っていなくて、まだマイクの作品をすべて聴いていない方は、このシリーズにこだわる必要はないかも。全部持っていて、なおかつこれをまた買い揃えるファンは相当のディープなファンだろう。(自分もそうだ)
(写真はすべてのタイトルに共通して掲載されているジャケット写真集。写真は掲載されているがElementsのHDCDは発売されない)


Tubular Bells Super Audio CD (2001)

フィリップスとソニーが開発した次世代CD、スーパーオーディオCDによるチューブラーベルズ。一枚のCDに3つの音源が入っているハイブリッド方式。
@ ダイレクト ストリーム ディジタル マルチチャンネルサラウンドサウンド
A ダイレクト ストリーム ディジタル 2チャンネル ステレオ
B CDスタンダード ステレオ
簡単に言えば @はサラウンドのSACD方式 A は通常のSCAD方式 Bは通常のCD方式。 普通のCDプレイヤーではBしか聴く事ができないし、SACDプレイヤーを持っていても通常は@を聴くことはできない。@を聴くことができるプレイヤーはこのCDが発売された時点ではまだ市場に出回っていないというから、ソフトが先行してしまったということになる。したがってこのCDを買ったとしても、SACDプレイヤーを持っていなければBしか聞くことができないことになる。Bのヴァージョンはいわゆるオリジナルヴァージョンで、おそらく25周年リマスターをもとにしていると思われるが、聞き比べるとやや音の響き方が違うように感じる。この盤の音もとってもきれいでその点では申し分が無い。しかしやはり興味としては収録されていながら聴くことができない@とAであり、@については、昔LPヴァージョンで発売された4スピーカー対応のヴァージョンで、それが新たにミックスされているわけだから興味をそそられる。この4スピーカー対応ヴァージョンはTubular BellsとOmmadawnで昔4スピーカーが少しはやったときに発売されている。BOXEDに収録されているのはこれを2スピーカーに変更しているものでTBについては最後のセイラーズホーンパイプがヴォーカルヴァージョンで、最後に飛行機の音が入っているらしい。このCDの裏面でもMike Oldfield Playsとマイクが演奏している楽器の記載のB面の最後に通常盤には記載されていないThe Sailors Hornpipe commentary by Viv Stanshallと入っていて、ますます興味をそそられる。Aのヴァージョンについてはどんな物が入っているのかはよくわからない。(おそらく通常ヴァージョンだろう)
いずれ聴くチャンスがあることを願いつつ、どなたか@を聴く事ができたら、感想と情報をお知らせ下さい。昔の名盤が良い音で再発されることは歓迎だが、HDCDやらSACDやら対応するハードが必要な再発が連続することは、いかがなものだろうか。


The Best Of Tublar Bells (2001)

Tubular Bells - Part 1 (Original Edit) /Tubular Bells - Part 1 (Orchestral Edit) /Tubular Bells - Part 1 (Original Edit)/Tubular Bells - Part 1 (Exposed Edit) /Tubular Bells - Part 1 (Original Edit) /Tubular Bells - Part 2 'The Caveman Song' (Original Edit) /Tubular Bells - Part 2 (Exposed Edit) /Sentinal (Tubular Bells II) /The Bell (Tubular Bells II) /Far Above The Clouds (Tubular BellsV)/The Millennium Bell (The Millennium Bell) /Tubular Bells - Part 2 'Sailors Hornpipe' (Original Edit)

Tubular Bellシリーズを一まとめにしたベスト盤。Tubular Bellsもデビュー作からU、Vと続き、オーケストラルヴァージョン、EXPOSEDヴァージョン、そしてMillennium Bellと公式には6種類のものがリリースされているわけで、それらのエッセンスをまとめた構成になっている。特にPart1に相当する部分は、オリジナル−オーケストラル−オリジナル−エキスポーズド−オリジナルとほぼ切れ目のない形で切り替えられていき、途中カットされているところがあるものの、あたかも1曲の曲であるかのように聞かせる工夫をしている。その後オリジナルのCavemanのパートから入り、エキスポーズドヴァージョンへつなぎ、そのままセイラーズホーンパイプに入らないで、U、V、Millenium Bellからのカットを挟み込んでいる。それなりにその展開はオリジナルと異なるから楽しめて聞くことができ、ほぼ無難な構成だといれるだろう。ただ、このベスト盤の顧客層をどこにターゲットにおいているのだろう。コアなファンにとっては新たな音源はなく、また初心者ファンにとっては、やっぱりこれからはいるよりオリジナルのTubular Bellsから入っていってもらいたい。どうせなら、コアなファンを喜ばせるためにも、ミックス違い(Mike Oldfield's Single)のようなものをたくさん混ぜて欲しかった。


Collection (2002)

Moonlight Shadow / To France / Five Miles Out / Shadow on the Wall / Foreign Affair / Sentinel / Family Man / Heaven's Open / Pictures In The Dark / Innocent / Islands / Incantations (part four excerpt) / Tubular Bells (opening theme) / Etude/ Ommadawn (excerpt) / In Dulci Jubilo / Good News / Pran's Theme 1 & 2 / Pran's Departure / Hergest Ridge (Part One) / Portsmouth

ヴァージョン時代の作品からの2枚組ベスト集(Sentinelを除く)。1枚目のCDはヴォーカル曲に重点を置き、2枚目はインストを中心にセレクションしているといえるだろう。なんといっも注目すべきはPictures In The Darkが初めてCD化されたことだ。これはシングルとして発売されていながら、その後どのベスト盤にも正式に収録されたことがなく、中古店でアナログシングルを見つけないと手に入らないという状態だった。同時期に発売されているShineと同様に意図的にCD化を避けているようにさえ感じていたが、ようやくこのベストで実現した。ただし残念ながら7インチヴァージョンで、12インチヴァージョンに比べるとどうしても物足りないと感じてしまうが、まずはCD化されたことには歓迎したい。それ以外の部分についてはヴォーカル曲のセレクションはまあまあ無難なところだと思うが、インストのセレクションは変だ。ハージェストリッジだけPart1がノーカットで収録され、キリング・フィールドからは4曲も選んでいるのに、プラチナム、QE2、アマロックからはセレクトしておらず、またチューブラーベルズもオマドーンもものたりない短さで終わっている。また掲載されているディスコグラフィーは順番がめちゃくちゃで、掲載されているライナーノーツもつまらない。本当にマイクファンによる丁寧なセレクションのベストにしてもらいたいと感じてしまう。Pictures In The DarkがCD化されたのはうれしいが、どうせなら、ファンが喜ぶレアトラックを中心にしたものをぜひ出してもらいたい。


The Complete Tubular Bells (2003)

Tubular Bells 2003 / Tubular Bells U/ Tubular Bells V/ Bonus DVD ( Introduction / Fast Guitars / Basses / Introduction 2003 The Video )

Tubular Bells2003と同時発売された4枚組みボックスセット。写真の左側からTubular Bell2003、U、V、ボーナスDVDとなっている。これ一枚で、オリジナルのTubular Bells以外はすべて揃うことになる。ボーナスDVDには2003のシングルヴァージョンのプロモーション映像が3分強収録されているのと、2003の冒頭3チャプター分の5.1ミックスが入っている。このDVD以外にもともと持っているファンにとってはわざわざ買い求める必要も無いのかもしれないが、それぞれラベルの写真が極めて美しく、またDVDの映像もとってもきれいな仕上がりになっているのが魅力。内容よりも、持っているという喜び的なマニア向けというセットだろう。もちろん初心者の人が一気に全部聴くためにも便利ではある。このボックスセットを開いたときの美しさはなかなか圧巻だし、Tubular Bellsのロゴマークが自然の風景によく似合うことも改めて感じる。このホームページの各ページのタイトル写真に通じるものもあり、うれしくなった。


Tubular Bells 2003 DVD Audio (2003)

Tubular Bells 2003の媒体として、マイクでは初めてDVDオーディオ版が発売された。DVDオーディオのステレオと5.1サラウンド、DVDビデオのサラウンド2タイプとステレオ音源、そしてエジンバラとホースガーズの映像が一部収録されている。それに加え、衝撃的なのは1971年当時のTubular Bellsのデモヴァージョンが40分強収録されていることだ。Tubular Bells2003は日本では大きく遅れて2004年2月の発売となりCDによる日本盤の発売はない。時代の進歩とともにレコード、カセットから完全にCD、MDとなり、映像ではビデオからLD、そしてDVDと進化してきた。自分はDVDオーディオも5.1チャンネルも所有しておらず、この本来の高音質を経験できないが、確かにCD版と比べて、サラウンド版は音に深みが増している。ただ、いささかジレンマなのは、自分はただ、マイクの音楽を普通に楽しみたいだけであり、確かに音が良いことには越したことはないが、高い音響器具を買いそろえるほどの気持ちの高ぶりはなく、安いオーディオでもいいから、多少音にこだわって聞きたいというレベルである。こうして、次々と短いサイクルで登場する新媒体にはある程度冷静に対処していきたいが、でも興味はある。この辺がジレンマだ。Tubular Bells2003は確かにすばらしく、これについてはアルバムレビューで記載済みだが、このDVDにおいては高音質な音よりも、1971年当時のカセットテープで録音されたTubular Bellsのデモ音源のほうが、はるかに感動的だった。アマロックのフレーズが登場したときは思わずしびれた。


Virgin Charima Paper Sleeve Series / Tubular Bells / Hergest Ridge (2004)

アナログからCDに変わっていく過渡期において、CDの旧作へのジャケットへの取り扱いについては当時からもあまりのひどさには呆然としたものだった。マイク作品はちょうどIslandsの頃が切り替わりの時期だったと記憶している。LPはかつてアルバムと呼ばれ、音楽そのものだけではなく、ジャケット写真、スリーブ、インナーすべてが一つの作品としての価値を持ち、ファンは好みのLPの音を聞きながら、ジャケットを眺め、悦に浸っていたものだ。ジャケットは至福の贅沢な時間を提供してくれるとっても贅沢なものだった。しかしCDの黎明期は、そのジャケットはデザインを無視した悲惨なトリミング、色の変更、裏面の無味乾燥なクレジットに変わってしまった。特に東芝EMIの洋楽の日本盤になるとさらにひどく、裏ジャケットにはセンスのないタイトルの日本語訳がでかでかと収録時間と併記されているだけの始末。CD化による音の向上には感動しつつこのジャケットのひどさには泣かされていたのを思い出す。まるで大切な音楽が大量生産、カジュアル的な商業ベース化されたような気がした。今でこそアーティストのこだわりがCDのジャケットに表現されるように改善されているが、マイクの初期作品の改善は全くなされていなかった。今回、その東芝EMIからマイクの初期2作の紙ジャケットが発売されたのは不思議なものだ。現在のCDにおいてTubular Bellsはジャケットのトリミングがひどく特に裏面は悲惨な状況だ。Hergest Ridgeにいたっては、せっかくの緑の円を台無しにする大きなクレジットマーク、裏面の犬のアップは没にされている。今回これをそのまま忠実に再現してくれたのはやはりうれしい。音源は残念ながら従来のリマスターで、Hergest Ridgeの原音ではなかったが…。やはり後はどうしてもOmmadawnのオリジナルジャケット、そしてインナーは再現して欲しいし、願わくばIncantationsもほしい。おそらくこの企画は日本だけのものなのだろうか。海外の公式サイトでは触れられていない。そうであれば海外のファンにとっても垂涎の的になるだろう。


Platinum Collection (2006)

CD1
Tubular Bells - Opening Theme / Tubular Bells - Excerpt / Sailor's Hornpipe / Hergest Ridge - Excerpt / Ommadawn - Excerpt / Ommadawn - Excerpt / In Dulci Jubilo /
Don Alfonso / Portsmouth / William Tell Overture / Cuckoo Song / Incantations - Part 4 Excerpt / Platinum - Part 4 / Woodhenge

CD2
Moonlight Shadow (Extended Version)
/ Blue Peter / Guilty - Long Version / Arrival / Wonderful Land / Sheba / Five Miles Out / Family Man / Mistake / Shadow On The Wall (Extended Version) / Foreign Affair / In High Places / Crime Of Passion / Tricks Of The Light / To France (Extended Version) / Etude / Evacuation / Legend

CD3
Sentinel /
Pictures In The Dark (Extended Version) / Shine (Extended Version) / Islands (12" Mix) / Flying Start (12" Version) / The Time Has Come (12" Version) / Innocent (12" Mix) / Earth Moving (Club Version) / Amarok (Excerpt) / Heaven's Open (12" Version) / Hibernaculum / Women Of Ireland / Far Above The Clouds / The Millennium Bell / To Be Free

マイクのベスト盤は4、5年周期で企画されてきているが、今回のこのベスト盤はまさに集大成の様相が強く、Tubular BellsからTres Lunasまでのアルバムから一応もれなくセレクトされている。これに加えシングルが盛り込まれているが、なんといってもファンにとって喜ばしいのは、いままでアナログでしかリリースされていなかった曲(赤字)、CDシングルとしてはリリースされていたが、入手困難であったもの(青字)が盛り込まれていること。ある面、ずっと待ち焦がれていたものがCDとしてリリースされたことはとってもうれしい。さらにThe Millennium Bellは未発表のショートヴァージョンのおまけつき。全体の選曲もおおむね納得のいく内容であり、ディープなファンも、初心者も満足できるベストではないかと思う。
ただ、不満を言えば、ジャケットが先にリリースされたThe complete Tubular Bellsと酷似しており、新鮮味がないこと。貴重な音源であるDon Alfonsoがロングヴァージョンでないこと、Heaven's Openがアルバムヴァージョンであること、CD2のラストにLegendが入っているのに記載漏れがあること等、もっと良いベストになるはずなのにという点。
しかしながら、数曲とはいえ今まで本当に欲しかった音源をちゃんとしたCDで入手でき喜んでいるファンは多いことだろう。これ以外にまだまだ未収録の音源は残されており、これに続く企画盤を期待したい。(レアトラックのページを参照ください)


Tubular Bells - Ultimate Edition (2009)

CD1 (new stereo mix by Mike Oldfield, Bahamas, March 2009)
Tubular Bells Part 1 / Tubular Bells Part 2 / Mike Oldfield's Single / Sailor's Hornpipe (Vivian Stanshall version)

CD2 (original stereo mix May 1973)
Tubular Bells Part 1 / Tubular Bells Part 2

CD3
Tubular Bells (1971 demos) / Tubular Bells (Scrapped first mix Spring 1973)

DVD
AUDIO : 5.1 Surround mix by Mike Oldfield Bahamas 2009
Tubular Bells Part 1 / Tubular Bells Part 2 / Mike Oldfield's Single
VISUAL : BBC TV 2nd House - 3rd December 1973

VINYL (original stereo mix May 1973)
Tubular Bells Part 1 / Tubular Bells Part 2 

1973年からの35年というものは、当時生まれた子供が35歳になったということを単純に意味し、その間の時代の変化は当時この作品が発売された時に戻ったならば信じられないほどであろう。 価値観も流行も変わり、人々の嗜好はあまりにも多様化している。そして情報も瞬時に世界中に伝わる現代。 当時はデジタル技術などほとんどなく、このTubular Bellsという奇跡的な作品も、まさに職人技ともいえる技巧が重ねられて生まれたものであった。それが現代のデジタル技術で再編集されるというのは、長年この曲を星の数ほど聴いてきた熱狂的ファンとしては複雑な心理が働く。 2003年に一からリメイクされたものとは意味が違い、古き作品をリフォームした内容であるからだ。
それはファン心理として、ときめき感もありつつも、あまり触らなくてそのままでいいから。。ともいいたくもなる。

たしかに音質は向上し、新たな音も追加されていて、過去のRemixとは格段の差がある。いつの時代にも変わらない素晴らしさがある。 Mike Oldfield's singleも、Sailor's Hornpipe (Vivian Stanshall version)も、オリジナルから飛躍的音質は向上し、編集も異なっているが、新たな感動をもって楽しめる。
しかし、この曲を初めて聴いた時のアナログ盤による重々しさは、どんなに時代が変われど上回ることはないのだろうと改めて想った。 

そしてできることなら、さんざん繰り返されてきたTBのリフォームはもういいから、名作であるHergest Ridge、Ommadawnでサービスして欲しいと言ったならば、わがままだろうか。 と、少々批判的な表現をしたが、このデラックス版は実に豪華絢爛であり、アナログ盤の重厚さ、巨大なハードカバーの 本(未公開写真満載)、TBのロゴ入りピック、ポスター、葉書、パンフレット、チケット。。。コレクターにとっては満足感たっぷり。。またdemoや没テイクも楽しく聴けた。

いつの時代も変わらないファンへのプレゼントと思って、ありがたく受け取りました。