Tubular Bells above the field of Iwoa

マイク・オールドフィールド海賊盤レビュー

マイク・オールドフィールドの海賊盤は彼の膨大なディスコグラフィーを考えれば、その種類は多いとはいえませんが、ライブ関係については比較的充実しているほうかもしれません。
海賊盤については店頭で見つけても、必ずしも購入はしないようにしています。正規盤で聴けない何かが魅力があることを基準としておりますので、すべてを網羅できませんが、所有しているもののみご紹介します。


Tubular Bells Live From Queen Elizabeth Hall June 25, 1973

マイクはTubular Bell U、Vの発売時において、プレミアコンサートを行っているが、元をただせばTubular Bellsが発売された直後に行われたクイーン・エリザベスホールでのコンサートが、その後の原点かもしれない。メンバー構成、演奏の雰囲気は、Elementsビデオに収録されているライブとよく似ており、このライブにおいてもマイクはベースを担当していると思われる。このブートはその時の雰囲気を良く伝えてきてくれる。音質は上等とは言えないが、原曲に忠実に演奏している様子がよく分かる。Tubular Bellsがいかに名曲であるかということが、こういうライブ用のアレンジをしていない音からもよく分かるような気がする。この演奏が終了したときに観客は立ち上がって拍手喝采を浴びせたそうである。
このブートは時々見かけても、なぜか購入しなかったが、ついに買ってしまった。


Balm For The Walking Dead

Don Alfonso / I Know What I Like / Dance Of The Daonhe Sidhe / Sally (I'm Just A Gorilla), Punkadiddle / Passed You By / Don Alfonso / Tubular Bells / Polka-Radetzky March / Fanny Planxty Power / Alright Now / Royal Wedding Anthem / Pastosi / Ommadawn / Tubular Bells / Auld Lang Syne/

現在では手には入らないウルトラレア盤だとかラジオでの生演奏だとかを収録したファンにはとてもありがたい一枚。なんといってもこのCDを手に入れたおかげでサリーの秘密を知ることができ、今ではこのサリーが自分としてオールドフィールドのベストの一つにまでなってしまっている。チューブラーベルズのシングルのB面だったドン・アルフォンソも聞ける。(コミカルでおもしろい)またチューブラーベルズUを作るきっかけの一つになったといわれる1989年のニッキーキャンベルショーでのチューブラーベルズの生演奏も聞ける。チャールズ皇太子の結婚の賛歌もあり。音質は一部のライブをのぞき良好。こういった珍しい曲を集めた海賊盤の種類が特に少ない。この海賊版自身も手に入りにくくなっている。


Swollowed Up By A Big Fat Snake

Froggy Went A-Courting / Wrekorder Wrondo / The Orchestral Hergest Ridge Part One / Blue Peter-Different Mix / Five Miles Out-First Track / Adlib Track / Extract From The Orchestral Tubular Bells Live Incl:Sailors' Hornpipe / The Bell Spanish Version / Live Orabidoo 1982 / When The Nights On Fire-Rough Mix / From BBC TV ( Innocent:Taurus3:Amarok ) / Moonlight Shadow-acoustic version / Australian TV (Tubular Bells 2 unplugged ) / QE2 : Portsmouth Live 81

こちらも Balm for the walking Deadと同様にさまざまな音源を集めたレアトラックス集。その内容はとっても多岐にわたっていて、大変に貴重な音源も数多く含まれている。正規盤で発売されながら、現在では入手困難なフロッギー・ウエント・ア・コーティング、リコーダー・ロンドをはじめ、ミックス違い、デモヴァージョン、ライブ音源、ラジオ音源など、ファンには涙ものの一枚。特にオーケストラル・チューブラーベルズは正規盤で聞く音よりももっとEXPOSEDアレンジに近く、ライブならではの臨場感ある音が聴けるし、ライブのリハーサル時のアドリブや、ラジオでのイノセント、アマロック、TB2の生ギター演奏はとっても素敵。ビデオのページで紹介しているコロンビア火山のコンサートでのムーンライトシャドウの生ギターヴァージョンも入っている。 Balm for the walking Deadと同様に絶対お勧めの海賊版なのに、この2枚は今ではとっても入手困難。特にこちらのほうが入手が困難で、やっと手に入れることができた大切な一枚。


Just One Night

Platinum (Airborn, Platinum) / Conflict / Sheba / Mirage / Tubular Bells part2 / Taurus U/ Ommadawn part1 / Tubular Bells part 1/ Mount Teidi / Orabidoo

マイク・オールドフィールドは日本での公演は1982年5月26日の渋谷公会堂でのライブが最初で最後。そのときの模様を録音した海賊盤2枚組。音質はそれほどよくない。ただし当時ファンではなかった自分はこの公演を知る由もなく、今になっていけたらと思っていたときにこの海賊盤を見つけて、当時の雰囲気を味わえることができた。オールドフィールドがつたない日本語で曲の紹介をするのはおもしろいし、タウラスUはライブ用のアレンジとなっており、これもまたおもしろい。またチューブラーベルズやオマドーンのコーラスをマギーライリーの声で聴けるというのもうれしい。チューブラーベルズの楽器紹介を女性が演奏者の紹介と一緒にやっているんだからすごい。(これはライリーではない他の人のようだ。)コンサートとしては正規盤のライブ盤より中身が濃くて、オールドフィールドのギターも快調だと感じる。本当にいいライブだったんだと思う。この頃さかんに世界でライブをやっていたのだから、正規盤として発売してほしいものだ。当初は2枚組用のプラスチックケース入りで中には当時のチケットのダミーにナンバーが振られている。(写真左側)その 後再発され、紙製ジャケットになった。(写真右側)音質は向上していると店の宣伝には書いてあったが大きな変化はないようだ。


The Day We Believe

Platinum (Airborn, Platinum) / Conflict / Sheba / Mirage / Tubular Bells part2 / Taurus U/ Punkadiddle / Polka / I Got Rythm / Ommadawn part1 / Tubular Bells part 1/ Mount Teidi / Orabidoo

Just One Nightと同じように1982年5月26日の渋谷公会堂でのライブ音源のブート盤。2枚組CDの1枚目の最後に3曲のボーナストラック付(赤字の部分。エレメンツボックスに入っている2曲のライブ音源と、I Got rythmの別バージョン)。注目すべきは、Just One Nightがさほど音質が良いほうではなかったのに対し、こちらの盤は音質が良く、かなり臨場感にあふれ、コンサートの雰囲気がひしひしと伝わってくる。Just One Nightはすでに入手困難でもあるから、こちらを買ったほうがいいでしょう。あらためて良い音源で聞くと、現在のマイクのライブと比べて、かなりバンド演奏という雰囲気が強い。粗削りである反面、とっても心に響くものがある。選曲もいいし、演奏もとっても熱がこもっている。本当にいいライブだったのだろうととあらためて実感。タイムマシンでもあれば、82年に戻って、渋谷公会堂に行きたいところ。


Us Premier Of Tubular BellsU

Tubular BellsU / Tubular Bells part2 (exerpt) / Orabidooo (exerpt) / The Bell

CDに詳しいことが全くかかれていないのであくまでも想像だが、チューブラーベルズUのエジンバラ城ライブの流れで、どこかでで行ったコンサートの録音ではないかと思われる。(USとなっているがアメリカとは限らない) 事実内容はエジンバラ城のものとよく似ており、一部オールドフィールドのアドリブが違っている程度。(もっともこの違いがファンにはうれしいのだけど)アンコールでチューブラーベルズのパート2の自分のとても好きなパートであるギターソロの部分からメドレーでオラビドウに移っていくくだりはとてもいい。この海賊盤は音質は最高であり、正規盤と比べても遜色はない。 


Lost In Space

Tubular Bells (recorded live in 1973)/ The Orchestral Hergest Ridge Part One / Live Orabidoo/ Tubular Bells U(recorded live in USA 1992)

2枚組CD。オーケストラルハージェストリッジが収録された海賊盤。パート1と書かれているのは間違いで、パート2が収録されている。1974年12月にアルバートホールで収録されたもので本来は正式発売される予定だったものらしい。音質はまあまあ。シンフォニックにアレンジされたハージェストリッジはとても美しく、原曲のイメージとまた異なった味わいが良くでている。コーラスワークもよく、あのパート2中盤のハードなフレーズも見事にシンフォニックされている。僕はオーケストラルのチューブラーベルズよりこちらが好きだ。正式発売されなかったのはほんとに残念。パート1も別に聞く機会に恵まれたが、今からでも是非正規盤を検討してもらいたい。でも、あんまりセールス的には期待できないのかな。これ以外の他の部分は期待はずれ。チューブラーベルズライブは73年とクレジットされているが、あきらかにEXPOSEDの時のライブである。(終わってから続けてギルティーがメドレーで入る。) オラビドゥーは先のJUST ONE NIGHTのアレンジとほぼ同じ。2枚組CDのうち1枚はチューブラーベルズUのライブ。USAのライブと書いてあるけれど、本当かどうかはわからない。ただエジンバラとも上の海賊盤のときのとも違うようだ。音質は問題なくきれいに聴ける。でもチューブラーベルズUのライブの海賊盤はたくさんの種類が出ているなあ。このジャケットはとても好きだ。


Swiss Made

Taurus / Sheba / Mirage / Platinum / Tubular Bells part2 / Conflict / Ommadawn part2 / Pukkaddidle

CDジャケットには1981年7月5日スイスでのライブと書いてある。サウンドボード録音と書いてはあるが、音質はそれほどよくはない。でも我慢できる程度にはなっている。日本でのライブの前年にあたり、QEUの頃になる。演奏の内容やアレンジは日本公演のものとよく似てはいるが、パンカディドルではギターアレンジが原曲とちょっと変わっていて、いかにもライブ仕様になっている。エレメンツボックスのライブアレンジとも違う。一番良かったのがタウラス。このライブではタウラスTとUの合体版が聴ける。最初はTから始まるが、そのライリーのコーラスワークはUのDeep Deep Soundにかなり近くなっており、いつの間にか最後の方はもうUそのもの。81年と言うことであればまだFive Miles Out は発売されていないわけで、ライブで前もって演奏されていたことになる。ジャケットはギルティのシングルのものが使用されている。


Closed Doors

Platinum / Tubular Bells Part2 / In High Places / Foreign Affair / Mount Tedi / Crime Of Passion / Taurus T&U / The Lake / Five Miles Out / Crises / To France / Poison Arrows / Crystal Gazing / Tricks Of The Light / Discovery / Talk About Your Life / Saved By A Bell / Moonlight Shadow / Taurus V / Shadow On The Wall

1984年11月1日 オランダ ロッテルダムでのライブとクレジットされている。この曲目から見てもDiscoveryツアーのライブ収録であることは間違いない。この時期のコンサートライブは正規盤はもちろん、海賊盤でも見ることがなかったので(粗悪な海賊盤ビデオならあったが)、これを見つけたときは喜んで購入した。(2枚組CDで6000円くらいで高かったが。)音質はまあまあ我慢ができる程度ではあるが、安定した録音状況ではあり、ライブの雰囲気は十分に伝わってくる。ヴォーカルは当然マギー・ライリーとバリー・パーマーで、In High Places, Shadow On The Wallはバリー・パーマーが歌っている。
この時のコンサートはいかにもロック系で、ボーカル曲が中心だが、本当に水準の高い曲が目白押し。他のライブと比べるとTubular Bells、Taurusはかなり短くしているが、この時期の新曲だったCrises, The Lakeはノーカットで演奏している。当時に戻って、コンサートに行くことができたらと本当に思う。日本公演の曲目よりも盛りだくさんで魅力的。初期、あるいは最近のライブやビデオは正規盤で聞くことができるのに、どうしてこのバンドツアー時代の正規盤がないのだろうか。

後にClosed Doors Uというほとんど同じ曲目でスペイン バルセロナでのものを収録したものも発売されたが、こちらのほうが優れているので購入せず。


Return To Celt

Ommadawan part one / Tubular Bells part two / Tubular Bells part one

1980年5月31日アイルランドでのライブ収録とされている。Tubular Bellsのライブの海賊盤はたくさん種類がでているが、オマドーンが入っているのでつい購入してしまった。内容はエッセンシャル・マイク・オールドフィールドのビデオとよく似ている。ウェンディ・ロバートとマギー・ライリーがボーカルをしている。音質も悪くはない。エッセンシャルのライブビデオを持っていない人は買っても損はないと思う。


 Starlight And Sweet Dreams

Platinum / Punkadiddle / I Got Rhythm / Ommadawn part One / Incantations / Tubular Bells part Two / Medly : Polka-Radetzky March / Guilty / Tubular Bells part 1 / Blue Peter-Portsmouth / Punkadiddle

1980年4月28日オーストリア ウイーンのライブ収録とされているから、先に紹介したReturn To Celtの1ヶ月前となる。上の盤はCD1枚だから、抜粋して収録しているのに対し、こちらはおそらくノーカットだろう。音質もよく、会場の臨場感がよく伝わってきており、マイクの演奏も迫力がある。聞き応えたっぷり。Polka-Radetzky MarchはBalm for the walking deadに収録されているものと同じ。でも音はこちらの方が良く、Balm for the walking deadの方はピッチが早いことが、この盤を聞いてよくわかった。I Got Rhythm、Blue Peter、Portsmouthのライブ音源も珍しく、とても素敵。
この盤と同時に同時期のライブ音源によるブートが他に2種出たが、悩んだ末、これを購入。他の2枚は未聴だが、この盤に満足したから、選択は正解だったかも。


Hanover

Opening / Taurus T/ Sheba / Mirage / Introducing / Platinum part 1-4 / Tubular Bells part 2 / Sailor's Hornpipe / Conflict / Ommadawn part 1 / Tubular Bells part 1 / M.C. / QE2 / Portsmouth / Punladiddle

1981年4月2日ドイツ ハノーバーでもライブ音源。上に紹介したウイーンのライブの1年後ということになる。この時期のライブ音源は、このページで紹介している以外でも海賊盤としていくつか出ているから、いかにこの時期にマイクが精力的にライブを行っていたかがよくわかる。この盤は他の盤と比べて、曲の内容等それほどめずらしいものがあるわけではないが、(しいていえばQE2が珍しいか)その音質のよさは驚異的。このページで紹介している海賊盤の中でも、ひときわ状態のいい音源で、正規盤としてそのまま発売してもいいくらい。したがってマイクのギターの音や、曲それぞれの熱がこちらによく伝わってきて感動的。ジャケット写真も素敵でとってもお勧めの海賊盤。


Koln

Tubular Bells Part1/ Platinum / Conflict / Ommadawn Part1/ Sheba / Mirage / Family Man / Taurus II / Mount Teide / Five Miles Out

1982年11月2日ドイツのケルンでのライブ音源。日本公演の半年後のライブということになるが、曲目の順番や演奏形態はだいぶ異なっている。いきなりチューブラーベルズの前半をノーカットで演奏し、オマドーンも前半ノーカットで、アレンジもかなり違う。日本公演に比べて少々荒削りの演奏である感じがするが、日本公演ではやらなかったファイブ・マイルズ・アウトやファミリーマンが演奏されていて面白い。音質も海賊盤としては格段の出来てまったくストレスを感じることなく聴くことができる。この時期のライブはいわゆる大量生産的ではあるが、現在のライブとは異なり、生演奏らしいところがして味わい深い。お勧めの海賊盤。


The World Premiere Of Tubular Bells V Rehearsals

Tubular Bells Part One / The Source Of Secrets / The Watchful Eye / Jewel In The Crown / Outcast / Serpent Dream / The Inner Child / Man in the Rain / The Top Of The Morning / Moonwatch / Secrets / Far Above The Clouds / Man In The Rain / Moonlight Shadow / Family Man

1998年9月3日のホースガーズでのライブにおけるリハーサルの模様を収録した海賊盤。ライブを収録した海賊盤は数多かれど、リハーサルの音源というのは珍しい。これも屋外におけるライブならではなのだろうか。この音がどのようにして収録されたかはわからないが、音の質はオーディエンス録音で極上とはいえないまでもまあまあ。リハーサルといえ本番そのものの演奏をしている。面白いのは演奏途中にビックベンの鐘の音が何度か聞こえることや、Far Above The Cloudsが終ったときに、スタジオ盤でかすかに聞こえる鐘の連呼の音がこちらでははっきり聴こえることだ。リハーサルで使用した鐘の音が実際にはビッグベンの音を意識してやめたのかもしれない。他の違いとしてはMan In The Rainが2回演奏されている。本番そのものに近いため、リハーサルらしいところはあまり感じないが、貴重な音源として価値ある海賊盤。


Navigator To Heaven

Tubular Bells part1 / In High Places〜Improvisation〜Etude / Platinum〜Conflict / Ommadawn part1 / Incantations〜Hergest Ridge / Sheba〜Mirage / TaurusU/ Five Miles Out / Portsmouth / The Sailor's Hornpipe / Orabidoo

1982年9月25日 スェーデンでのライブが収録されている。音質はさほどよくないのだが、このセットリストの内容は、他のライブと異なり、興味を引くものが多い。まず一番はIncantationsとHergest Ridgeがメドレーで演奏されていることだ。Hergest Ridgeがライブで演奏されたということは極めて珍しく、この曲だけでも他の海賊盤に収録されたりしている。短いとはいえ、エッセンスが詰まったライブなりの良いアレンジに仕上がっている。さらにIn High Places〜Improvisation〜Etudeのメドレー。83年のCrisesに収録されているIn High Placesがマギー・ライリーのヴォーカルで披露されている。歌詞はまだ未完成という感じで、アレンジもやや違う。これにアドリブが続き、なんと84年に発表されるEtudeが演奏されている。こちらはアレンジも全く同じであり、この時期ですでに完成していたことを示す。82年といえばマイクがライブを精力的に行っていた時期であるが、このような面白いセットリストが時にあったのだろう。貴重な演奏内容が楽しめる。