tubular bells on the road to Mt.Rainier

マイク・オールドフィールド歌詞日本語訳

数多い歌詞の中で自分として気に入っているものを日本語に訳してみました。あくまでも私の主観による選択と、意訳になりますのでご了承ください。

翻訳の元にした歌詞はこちらのカナダのサイト(The Bell)を参考にしました。このサイトにリンクを貼る了解をいただいたところ先方でもリンクを貼ってくださいました。

この部分についても著作権者の承認をとれておりません。問題がありましたら削除しますが、当ホームページの内容がオールドフィールドを絶賛し、ファンの仲間が集えるようにすることが目的の個人趣味のものです。著作権者の方の暖かいご配慮をお願いします

On Horseback Don Alfonso Hiawatha's Departure Sally The Deep Deep Sound
Orabidoo Moonlight Shadow To France Talk About Your Life Saved By A Bell
Flying Start North Point When The Night's On Fire Amarok Fairytale of Amarok
Man In The Rain Far Above The Clouds Sunlight Shining Through Cloud Liberation To Be Free

On Horseback
馬の背にて

ビールが好きだ チーズもいい 西からのそよ風もここちよい 
でもそんなものよりなんといっても馬の背に揺られているのが一番

草原をわたって、雪原をぬけていく 大きな茶色いけものよ 大きな茶色い顔よ
空を飛んだりすることなんかより、おまえと一緒のほうがいい

雷が好きだ 雨もいい 火が起こり 炎が燃えたぎる
でももし雷が僕の頭の中に響くくらいなら
馬の背に揺られている方がいい

街が好きな人もいれば、騒音が好きな人もいる
あるものは混沌を生み出し、あるものは玩具を作ったりする
でももし自分が道を選べるなら
僕は馬の背に揺られていたい

草原をわたって、雪原をぬけていく 大きな茶色いけものよ 大きな茶色い顔よ
空を飛んだりすることなんかより、おまえと一緒のほうがいい

こんな小さな星で我々が存在することを不思議だという人がいる
この星がどこにあるのかを知っている人がいる
でも不思議がったり、怖がったりするくらいなら
馬の背に揺られている方がずっといい

背の低い人、背の高い人 壁に頭を打ち付け悩んでいる人もいる
でもそんなことはどうでもよくなるんだよ
一度馬の背に揺られてごらんなさい

草原をわたって、雪原をぬけていく 大きな茶色いけものよ 大きな茶色い顔よ
空を飛んだりすることなんかより、おまえと一緒のほうがいい

もし憂鬱な気分になったなら、ハージェストの峰に行ってみるといい
夏でも、冬でも、雨でも、晴れでも
馬の背に揺られるにはとてもよいところ
草原をわたって、雪原をぬけていく 大きな茶色いけものよ 大きな茶色い顔よ
空を飛んだりすることなんかより、おまえと一緒のほうがいい


Ommadawnの最後を飾る名曲。この曲はすべてのオールドフィールドの曲を象徴しているとさえ感じる。シンプルなアコースティックのギターから始まり、オールドフィールドの実直な語りが続く。フレーズ毎にバックの音も厚くなっていき、最後のコーラスの部分は子供たちの合唱がかぶさる。全体に牧歌的なムードが漂い聴く者にこの上ない安らぎを与えてくれる。歌詞もどんなストレスも、しがらみも高原で馬にさえ乗れば解消する、どんな悩みも苦しみも大きな自然の前では小さなことに過ぎないと伝えてくれる。マイク・オールドフィールドの曲をまさに象徴している歌詞であり、この名曲に対してはいかなるコメントも無駄である。仕事で疲れたとき、夜遅く寝る前にこの曲をヘッドフォンで聴くと、本当にストレスが大きく解消される。尚、「混沌」Chaosと僕が訳した部分は「車」Carsという説もある


Don Alfonso
ドン・アルフォンソ

おいらは闘牛士 誰だって疑いやしない
おいらは一回で牛を20匹は殺す 時にはもっとたくさんさ
牛たちは闘牛場の中の鐘の音を聞くと いっせいに振るえ始めるんだ
あいつらはおいらがやってくるのを知っているんだ

おいらはドン・アルフォンソ ペドロと呼ぶ人もいる
でもそれは間違い おいらはドン・アルフォンソ
おいらは陽気なスペインで牛と戦う 陽気なスペインの外でも牛と戦う
おいらは晴れた日に牛と戦う 雨の日だって牛と戦う

おいらはドン・アルフォンソ 牛がおいらの仕事さ
牛はみんなおいらのことを恐れている 剣を抜いて牛を殺すのさ
いやいや、袋3つがいっぱいになった それではステーキとお茶にしようじゃないか

バルセロナで素敵な女に出会った 彼女の名前はモナ 彼女はとてもいい女
彼女はまだ独身だとおいらにいったんだ おいらはぞくぞくしてしまい
心臓がどきどきしてしまったよ 思わず「いっしょになろう」って言っちまった

おいらはドン・アルフォンソ ペドロと呼ぶ人もいる
でもそれは間違い おいらはドン・アルフォンソ
おいらは陽気なスペインで牛と戦う 陽気なスペインの外でも牛と戦う
おいらは晴れた日に牛と戦う 雨の日だって牛と戦う

おいらはドン・アルフォンソ 牛がおいらの仕事さ
牛はみんなおいらのことを恐れている 剣を抜いて牛を殺すのさ
いやいや、袋3つがいっぱいになっちまった
お茶飲みながらステーキをたらふく食べるのさ

おいらは毎週日曜日に牛と闘う ときには月曜日も闘う
日曜日に闘ったときは 月曜日に冷肉をみんなで食べて
火曜日には細切れ肉を食べる 時には水曜日には肉を細切れにしたりする
でも金曜日には肉を食べない 日曜日まで我慢するんだ

おいらはドン・アルフォンソ ペドロと呼ぶ人もいる
でもそれは間違い おいらはドン・アルフォンソ
おいらは陽気なスペインで牛と戦う 陽気なスペインの外でも牛と戦う
おいらは晴れた日に牛と戦う 雨の日だって牛と戦う

おいらはドン・アルフォンソ 牛がおいらの仕事さ
牛はみんなおいらのことを恐れている 剣を抜いて牛を殺すのさ
いやいや、袋3つがいっぱいになっちまった
お茶飲みながらハムとたまごをたべるのさ

1975年にIn Dulci Jubiloとのカップリングでシングルとして発売された曲。同様にシングルで発売されたFroggy Went A-Courtingと同じように今では大変なレアな曲になってしまっている。12インチヴァージョンだけに3番が収録されている。僕は7インチシングルと海賊版CD等で所有。この曲はDavid Bedfordが作詞をし、ボーカルを担当しており、ケビン・エアーズがワインのボトルをたたく担当をしている。オールドフィールドの曲には珍しいコミカル調の曲だが、とても素朴な味わいのある曲だ。Elements Boxのディスコグラフィーでこの曲を紹介していながら、収録されていないのはなぜだろう。この曲にはドイツ語ヴァージョンもある。


Hiawatha's Departure
extract from "Hiawatha" by Henry Wadsworth Longfellow

ロングフェロー「ハイワーサ」からの抜粋

ギッチーグミーの海岸沿いの
光り輝く大海原の水際の
小さな小屋の扉に
ある初夏の朝のこと

ハイワーサはたたずみ待っていた
さわやかな空気にあふれ
大地は輝き喜びに満ちている
彼の前には太陽が燦々と輝いている

西には目の前に森が広がっている
アーモの黄金の蜂の群をぬけて
蜂蜜をつくる蜂の群をぬけて
太陽の輝きなか、燃えながら、歌いながら

彼の頭上には天国が光り輝き
目の前には湖が広がっている
その真ん中からちょうざめがはねている
太陽の光に輝き、きらめきながら

巨大な森の縁で
湖の水に輝きそびえたつ
木々のてっぺんにも木陰がある
湖の下は静謐にひたっている

ハイワーサの表情からは
悲しみの影が消えていった
水辺から立ち上るもやのように
平原から立ちのぼる霧のように

喜びと幸せの微笑みにあふれ
歓喜の表情に満ちて
夢うつつのなかの人のように
あるがままの自然な姿を見つめている

ただずみ待っているハイワーサ
太陽に向かってその両手がさしのべられ
太陽に向かってその両手の掌は大きく広げられ
開かれた指の間からは

太陽の光が彼の顔に差し込んでいる
彼の裸の肩に光が木漏れ日のようにきらめいている
樫の木にも降りどそそぎ
葉や枝の間を通り抜けていく

水の上を浮かびながら、飛びながら
霞かかった遠くにいるものが
朝もやのなかにいるものが
水の中から浮かび上がる

浮かんでいるように、飛んでいるように
たんだん、だんだん、だんだん近寄ってくる
それはダイバーか?
それともペリカンか?

それともあおさぎ?
それとも白雁?
光り輝く水をしたたらせている
つやつやした首と羽から

それは雁でもダイバーでもなく
ペリカンでもあおさぎでもなく
水の上を浮かびながら、飛びながら
輝く朝もやの中をやってくる

それはかいのついたカバの木でできたカヌーだった、
水の上を浮き沈みしながら
太陽の光の中を水を滴らせ、光っている
そのカヌーには人間が乗っていた


The Son of the Evening Star
宵の星の子

太陽は沈んでいくのか
なめらかな水面の上を
それとも赤い白鳥が浮いているのか、飛んでいるのか
魔法の矢に傷ついて

波は染まっている 深い紅色に
血のような紅色に
輝く光の空気に満たされて
羽のついた空気に満たされて

そう太陽は沈んでいく
水の中に沈んでいく
空は紫色に染まり
水は深い紅色に輝いている

いや、赤い白鳥が浮かんでいるんだ
水の下に潜り込み
翼は空に向かって伸びている
白鳥の血が波を赤く染めているのだ

宵の星の向こうに
紫の色に染まり哀れにふるえおののき
黄昏につるされて
天国を静寂と共に歩いてゆく


Ode To Cynthia
シンシアによせる歌

女王と女のハンター、貞淑で美しく
今や太陽は眠りにつこうとし
そなたの銀の椅子に腰掛けている
いつものように礼節を保ちながら

大地よ、なんじのねたましい影をおとすことなく
干渉する勇気もなく
シンシアの輝く軌道がつくられた
日が終わると共に天国を歓迎する

そなたの真珠がちりばめられた弓を置け
クリスタルに輝く矢筒もだ
空とぶ牡鹿にあたえよ
どんなに短くとも、呼吸するための空間

宵の明星がそなたの光を請うている
女神の輝きはすばらしく
その威光で我々に恵みをあたえよ
夜に光をあたえるのはそなただけ


このページを開設して以来、Incantationsの中のボーカル部分の日本語訳を紹介したかったが、とても時間がかかってしまった。この元詩の前半はロングフェローの詩そのもで、本格的な詩であり、文語的表現の固まりで、難航したからだ。Part2の最後に現れるのがロングフェローの「ハイワーサ」からの引用で、Part4の最後に現れるのはベン・ジョンソンという人の詩による「シンシアによせる詩」となっている。共に4行詩であり、文語を使ったり、表現のわからないものが多く、たいへんに難しい。おそらく多くの箇所で翻訳ミスをしていると想う。ただ、あの名作Incantationsの中で重要な位置をしめるボーカル部分が何を語っているのか、意味は理解できると想う。こんなに抽象的な詩を見事に曲の中に盛り込んでいる手腕は見事だと改めて痛感するファンは多いだろう。もし、翻訳ミスがあったら是非ご一報ください。

Sally
サリー

一緒にどこでも行ってくれる人がいるって素敵なことだよね
僕に鍵をくれるかい?そして僕に会ってくれるかい?特にあらたまることなんてないんだよ
まるで古き時代の演劇を演じる人のように、自分の役割を知りたくないかい?
賢者の言うことに耳を傾けよう

サリー、僕はだたのゴリラの役さ
いつまでも君に愛の言葉を語り続けよう
たとえマニラから来た類人猿だとしても
君のドアをたたき続けるだろう

1+1が2になるように、君だけはその役をやり遂げなくちゃいけない
やりとげた時に僕はきっというだろう 「君といっしょにいたい」って
まるで古き時代の演劇を演じる人のように、自分の役割を知りたくないかい?
賢者の言うことに耳を傾けよう

サリー、僕はだたのゴリラの役さ
いつまでも君に愛の言葉を語り続けよう
たとえマニラから来た類人猿だとしても
君のドアをたたき続けるだろう

僕に鍵をくれるかい?そして僕に会ってくれるかい?特にあらたまることなんてないんだよ
まるで古き時代の演劇を演じる人のように、自分の役割を知りたくないかい?
賢者の言うことに耳を傾けよう

サリー、僕はだたのゴリラの役さ
いつまでも君に愛の言葉を語り続けよう
たとえマニラから来た類人猿だとしても
君のドアをたたき続けるだろう

1+1が2になるように、君だけはその役をやり遂げなくちゃいけない
やりとげた時に僕はきっというだろう 「君といっしょにいたい」って
まるで古き時代の演劇を演じる人のように、自分の役割を知りたくないかい?
賢者の言うことに耳を傾けよう

サリー、僕はだたのゴリラの役さ
いつまでも君に愛の言葉を語り続けよう
たとえマニラから来た類人猿だとしても
君のドアをたたき続けるだろう


Platinumの紹介の際に詳細に触れたが、初回リリースだけで後は差し替えられてしまった幻の名曲。オールドフィールド自ら歌い、一見コミカルに感じるものの切なく恋を歌う彼の曲は心に響く。歌詞もかなり変わっている。最初のフレーズの部分を訳するのにとても苦労したため、かなり意訳になっていることをご了承ください。間奏部のマイクのギターはとにかく最高。


The Deep Deep Sound
深き深き海峡

さあ心静かに、出発しよう
あなたの心には宝石がある
星はあなたのために輝き
あなたの行いすべてをみつめている
たとえ夢の中に生まれようとも泣くことはない
他にも行くべき道がある
あなたは決して孤独ではない
朝の太陽の下に立ち待っていると
やなり始まるべくして始まる
あなたは走り回る必要はない
さもなくば深い深い海峡の中へ落ちて行く
嵐はやがて青空に変わる
さあ、ここに旅の道ずれとなる歌がある


Five Miles Out の冒頭を飾る名曲Taurus Uの中間部に現れるマギー・ライリーのボーカル部分は、The Deep Deep soundと名づけられている。ファンによる俗につけられた名前ではなく、ちゃんとCDのライナにも書かれている。(なぜかまるで消しているかのようにぼかして、ほぼ判読不明だが) このSoundの意味は音としてしまいそうだが、全体の意味から考えると海峡、入り江という意味を当てるほうが正解だと思う。LPのA面全曲をしめ、また3つのTaurusシリーズの中間となるこの牡牛座をテーマにした曲の歌詞であることを考えると、やや抽象的なこの歌詞の意味もなんとなく分かってきそうな気がしてしまう。日本語盤の歌詞カードは耳コピーで英語を聞きとり、聞き取りミスと誤訳を重ねてしまっており、かなりいいかげんなものになっている

Orabidoo
オラビドゥ

高原の上にそびえる明けゆく空をご覧なさい まるでカトマンズからのメッセージのようだよ
空は青く澄みきっている 遠出をしようじゃないか
窓に写っている雲をご覧なさい さてどこへいこうか
夜のうちに風が君を導いてくれたようだね

のんびりひなたぼっこしながら時を過ごそう
けれども用心しなければいけない そばにいて助けてくれよ
嵐は突然おそってくるから 道案内を頼んでおいた方がいい
窓に写っている雲をご覧なさい そばにいた方がいい
すこしづつ怪しくなっているよ 冷静にね

ほら気をつけろ カトマンズの嵐だ 高原からの呼び声だ カトマンズからのメッセージだ

空は青く澄みきっている 遠出をしようじゃないか
雨の用意はしておこうじゃないか
雲は40通りの形で空に浮かんでいる

(そんなふうに二度とやってくるなよ、おもしろく無いじゃないか
オーケストラは他の人にたのむからね)

ああ 魂の島よ
谷は静まりかえり 雪で白く染まっている
アイルランドの目
私が死ぬまであなたは私から立ち去ることはできない
立ち去ればどんなに傷つくことか

水は退き、流れていく 季節はめぐっていく
アイルランドの目
永遠に空へと手を伸ばしていく
ああどんなにあなたに会いたいことか

日の光が目の前の岩の海岸できらめいている
月の光が水面でゆらいでいる
あなたの想い出は永遠に消えることはない
私がどこをさまようとも

私の夢の中にいてください 夢で逢いましょう
私の心の中でやすらいでください 私が守りますから


Five Miles Out に収録されている曲。タイトルの意味は不明。前半はオールドフィールドの声が思いっきり加工されており、歌詞を聞き取ることは難しく、むしろコーラスとさえ感じてしまうほど。歌詞カードも後半のライリーのボーカル部分しか記載されていない。(日本版ではライリーの部分をその後の曲であるMount Teidiと紹介してしまっている。)この曲の意味を理解するためには前半のマイクのボーカルの部分から考えないといけない。僕の解釈は、マイクのボーカルに相当する人は登山家であり、友人とカトマンズへやってきたが、突然の嵐のために遭難した。嵐のあとまた空が青く澄み切っていると言っているのは、彼が天国へ上ることを意味していると思う。その後の短いフレーズは、直接歌詞とは関係ないと考え( )付けした。この部分はヒッチコックの映画の中の台詞を引用しているそうだ。引き続きライリーの歌詞の部分は、彼の妻の役割であり、遭難して生死がわからない夫を心配する妻が、最初はまだ生きていることを信じているが、後半では事実を受け入れようとしていると思う。僕の解釈が違っていたとしても、ライリーの歌詞の部分だけでは意味が抽象的すぎ、日本版の日本語訳も間違ってはいなくとも、わかりにくいものになっている。

Moonlight Shadow
月影

彼女が彼を最後に見たのは
月影にさらわれる姿
彼は彼女のことを心配しながら、案じながら
月影にさらわれていってしまった
土曜日の夜の不可解な出来事の中
彼はいってしまった。遠い向こう岸の世界へと
彼は無謀な争いに巻き込まれてしまった
彼女にはそれをどうすることもできなかった

夕闇の中でささやく木々は
月影にさらわれて
切ない悲しみの歌を奏でる
月影にさらわれながら
彼女に見えたものは拳銃の影だけだった
彼はいってしまった。遠い向こう岸の世界へ
彼は逃亡中のならず者に6発も撃たれて
彼女にはそれをどうすることもできなかった

遠い天国であなたにあえることを祈り続けます
いつか天国であなたにあえることを祈り続けます

午前4時
月影にさらわれて
あなたの姿がぼんやりと見えてくる
月影にさらわれて
銀色の輝きの中で星がゆっくりと動いていく
遙か遠くの向こう岸で
今夜私とお話ししに帰ってきてくれる?
でも彼女にはどうすることもできなかった

遠い天国であなたにあえることを祈り続けます
いつか天国であなたにあえることを祈り続けます

遠い天国であなたにあえることを祈り続けます
いつか天国であなたにあえることを祈り続けます

彼女が彼を最後に見たのは
月影にさらわれる姿
多くの人々が彼に別れを告げに集まってきた
月影に誘われて
105人の群衆の真ん中でたたずみながら
夜は重苦しく、空気が動いている
でも彼女にはどうすることもできなかった
月影にさらわれて・・・・


オールドフィールドのファンにとっては、ムーンライトシャドウの歌詞の翻訳を紹介するまでも無いかもしれないが、多く出ている国内版の日本語訳が、この曲の切なさ、悲しみをうまく訳しきれていないという不満があったので、自分なりのものに挑戦してみた。(Complete Mike Oldfieldに入っていた翻訳が一番よかった。)もっとも英語から日本語に訳するということは、原文の韻や英語独特のフレーズは表現できないわけで、完璧というのはあり得ないことは承知しているつもり。オールドフィールドの歌ものの中ではもっとも有名で、かつ一般受けする曲で、ヒットしたのはうなづける。そのメロディと歌詞のマッチングは文句のつけようが無く、マギー・ライリーの歌声は本当に素晴らしい。恋人が死んでしまうテーマの曲は先に紹介したOrabidooもそうだし、Crime Of Passionも、男から見た恋人の死を歌っている。
翻訳に当たり、困ったのがCaught In the middle of a hundred and fiveの105が何を意味しているのかとうこと。何かスラングなのかもしれないと想いいろいろ調べたがわからなかった。Dark Starに問い合わせのメールを送ってみたら、返事が来て、どうも単純に人の数を意味しているらしい。それに沿って訳してみた。105人とは事件を知って駆けつけた人々のことではないだろうか。また12インチヴァージョンではCaught In the middle of a hundred and fiveの前にThe crowd gathered just to leave himというフレーズが追加されている。そのフレーズから見ても、その解釈でいいと思う。ロングヴァージョンタイプで翻訳した。
また疑問に思っていたのが、曲の初めの部分にある英文に2つの説があること。"Lost in a river that Saturday night"と"Lost in a riddle that Saturday night"の2つのパターンがあること。(thatをlastとしているものもある。)確かに聞き取りにくい部分であり、日本語のライナでも2つのパターンがあるし、ネットで掲載されているものにも2つに別れている。Lost in a river that Saturday nightの方が多いようだ。僕にはどうしてもLost in a riddle that Saturday nightと聞こえてしまうので、それにそって訳している。つまり、「土曜の夜の不可解な出来事に巻き込まれ」か、「土曜の夜、川に消えて」のいずれかをとるかに別れる。リバーでも確かにFaraway on the othersideと引っかけるとおかしくないし、別に不可解な出来事でもおかしくない。Dark Starに問い合わせてみたところ、Lost in a riddle that Saturday nightが正解だろうという回答をもらった。日本では歌詞をライナにのせるのは常識だが、海外ではむしろ掲載する方が例外。だからこんな誤解が生じてしまう。

To France
フランスへ

荒海にこぎ出していく、水の上をわたっていく
想い出と幻想から逃れるために
海の風が船を島から遠く白い波間に運んでいく
あなたは気がついていないの?
あなたはフランスにけっしてたどり着けないことを
チャンスをつかんだけれど
女王メアリ きっとあなたは見つけられてしまう
あなたはフランスにたどり着くことはできない
新たなロマンスがずっとあなたを縛り続けていくだろう

影のように異国の地をさまよう
故郷から遠く離れて放浪を続ける
あなたの肩越しに物語は進んでいく
あなたは自分の楽園を探し続けていくだろう
でももうあなたにはわかっているはず
フランスにけっしてたどり着けないことを
チャンスをつかんだけれど
女王メアリ きっとあなたは見つけられてしまう
あなたはフランスにたどり着くことはできない
新たなロマンスがずっとあなたを縛り続けていくだろう

私はランプの明かりで一枚の写真を見ている
なんて不思議なことだろう
こんなに夢がはかなく、揺らめくものだなんて

フランスにたどり着くことはできない


おそらくオールドフィールドのヴォーカル曲の中ではMoonlight Shadowの次に有名な曲だろう。印象的なイントロから始まり、マギー・ライリーの美しい歌声、そしてNever going to get to Franceという切ないフレーズが心に響く。歌詞をみるとフランスへ抜け出そうとして、さまよい続けているメアリ女王に語りかけているようだ。事実このメアリ女王はスコットランドの女王で、オールドフィールドはその人の生涯に触発されてこの曲を作った。(メアリ女王がどんな人かは知らない) 美しい旋律と美しい歌詞、美しい歌声、そしてサイモン・フィリップスのドラム以外はすべてオールドフィールドの演奏。ほぼ完璧に近い名曲だと思う。(12インチの方がより素敵)(Elementsに収録されているライナの日本語訳はちょっとすごい。全く歌詞にない「気まぐれな農夫」、「危険が迫っている」なんていう言葉が混じっている。)

Talk About Your Life
あなたの生き方を教えて


真夜中の街灯の中を歩いていく
ヘッドライトの中で風がささやくように私をつかまえる
あなたの生き方を教えてほしい
誰も行かないところ、誰も知らないところへいくのはたやすいことではないわ

私たちはこんなに遠くまでくる必要があったのかしら
どうしてあなたはそんなに夢のようにしていられるの?
どうしてそんなに隠れたり、自分を悲しくさせたりするの?
あなたははしごの途中でわたしに話しかける
風が吹くままあなたの好きな道をいってみたらどう

あなたの生き方を教えてほしい
誰も行かないところ、誰も知らないところへいくのはたやすいことではないわ

あなたの偽りがわかったわ
あなたの夢見ていることもわかるわ
あなたの目の曇りを通してだけど

雲の中で走りながら
人混みの中で影を追いかけて
窓の中でこごえながら
あなたの生き方を教えてほしい
誰も行かないところ、誰も知らないところへいくのはたやすいことではないわ


DiscoveryのB面の最初にあたる曲。地味な曲だがとにかく好きな曲。日本語のタイトルは「人生を語ろう」とされていた。日本語タイトルが歌詞の意味を無視している一つの例。マギー・ライリーの歌唱力を感じさせるこの曲はTO FRANCEのフレーズが使われ、かつライリーのヴォーカルにライリー自身のスキャットによるコーラスが被さるくだりは本当に美しい。Talk about your life, I'd like to know. It's not easy going where no-one goes, And no-one knows.の歌詞に特にじんと来てしまうのは僕だけだろうか。

Saved By A Bell
鐘の音に救われて


僕の天体望遠鏡を覗いてご覧よ
天の川がとても素敵に見えるよ
僕らの世界の周りすべてを見渡すことは難しい
いつも新しい発見ばかり

射手座へ旅立とう
星雲にいくつか立ち寄っていこう
僕らのために夜空がずっときれいで
夜が星の間に果てしなく続いていったらいいね

鐘の音に救われて 地獄に苦しみ
でも、君は言葉にできないくらい何も見ることができず
鐘の音に救われて 地獄に苦しみ
そして君は何もかもきっとうまくやり遂げてきたんだ

銀河は輝くダイヤモンドのように光り、
木星と土星が回っている
仲良く軌道を通っていく、漂っていく、飛んでいく

僕を水瓶座を見に連れていってくれないか
彗星に出会えたらいいね
遥かかなたからのメッセージと出会うことになるだろう
僕らはいつでもいっしょだよ

鐘の音に救われて 地獄に苦しみ
でも、君は言葉にできないくらい何も見ることができず
鐘の音に救われて 地獄に苦しみ
そして君は何もかもきっとうまくやり遂げてきたんだ


Discoveryのボーカル部分の最後を締めくくる曲。バリー・パーマーが叙情的に歌っているこの曲もとても好きだ。To Franceから始まって、いくつかの物語のようなヴォーカル曲が続いていって、この曲がそのエピローグになるような気がする。歌詞の中に「鐘の音に救われて」いながら、「地獄に苦しみ」以降の一見矛盾する歌詞があり、この解釈でファンの間で議論があったようだ。2つの説があり、ひとつはオールドフィールドのTubular Bellsのヒットの後の精神状態を意味しているとうもの、もう一つはTubular Bellsのヒットで事業に成功することになったリチャード・ブランソンへの皮肉を意味しているというもの。後者の説の方が有力になっているようだ。なぜなら、もし前者の説なら、歌詞の中にオールドフィールドの星座である牡牛座がでてくるはずだから。しかし、裏の意図をあまり意識しないで素直にこの曲を聞くべきかも。

Flying Start
さあ飛び立とう

今までどうしていたのか太陽の下で話をしよう
暖かい風がひっきりなしにそよいでいる
風は答えを運んでくるだろうか?
地中海の幻想の城が見えたかい?

さあ飛び立とう
世界のすべてを歌わせよう
他に道はないさ
さあ飛び立とう
声をそろえて歌った輝く真珠のように

太陽は常に輝き、親しい顔ぶれとワインのある場所へ
暖かい風がひっりなしにそよいでいる
思い出の扉を叩くけれどもその思い出は貧しい
誰か中にいるかい?さあ答えておくれ

ドアの向こうの輝きから二つの暗い目がのぞいている
そして君はワインボトルの中で夢を失うんだ
君が自分の生き方を通さねばならないことは知っていたさ。
いいとも、でも今度は十字架を背負うこともないだろう。

さあ飛び立とう
世界のすべてを歌わせよう
他に道はないさ
さあ飛び立とう
声をそろえて歌った輝く真珠のように

ほこりっぽい道と進路の上で、さあ、振り返るときがきた。
暖かい風がひっりなしに吹いてくる
君が生まれた日から、君はまるで嵐の上に乗りつづけていたかのようだ。

中に誰かいないかい?さあ答えておくれ。
ドアの向こうの輝きから二つの暗い目がのぞいている
そして君はワインボトルの中で夢を失うんだ
君が自分の生き方を通さねばならないことは知っていたさ。
いいとも、でも今度は十字架を背負うこともないだろう。

さあ飛び立とう
世界のすべてを歌わせよう
他に道はない
さあ飛び立とう
声をそろえて歌った輝く真珠のように


マイクの旧友ケビン・エアーズが歌うこの曲は、歌詞の通りここちよい地中海の風が吹いてくるようなさわやかなイメージが漂っており、そのプロモーションビデオにおいても、ケビンもマイクも実にリラックスしている。この歌詞を翻訳してみると、マイクとケビンが久しぶりに再会し、いままでに起こったことをワインを飲みながら地中海の見えるところで語り合っているようにさえ思えてくる。(地中海といえばTB3制作を行ったイビザが思い浮かぶ)その歌詞の中に実際「made the whole world sing」というフレーズがあり、これは疑いもなくKevin Ayers and the Whole Worldのことであり、二人の友人関係を歌っていることになるだろう。事実、ケビンは自分の作品でもこの曲を採用している。そういう意味で聴くとこの曲はさらに味わいを増してくる。Flying Startという言葉には「助走スタート」という意味があるのだか、歌詞の内容から考えて単純な意味をあてはめた。

North Point
ノースポイント

ノースポイントへ行ったことがありますか?
時を過ごし、祈るために
牢獄の壁は暗く、冷たく、そして陰鬱で
ノースポイントの壁の落書きが
静かな部屋に語りかけている。
檻は閉ざされ、あなたを暗い気持ちに追い込んでしまう。

どうやったら私たちは近づくことができるのでしょう。
柵はとても高く、守衛は何も聴こうとはしない。
彼らは私を信じようとはしない。
するとその時空の高くどこかで
すべてが戻ってきた。
サーチライトの向こうに新しい陽が昇ってきた。
すべてが生き返ってきた。

ノースポイントの良く晴れたある日
門は広く開かれた
その中を人々は見ることができた。
ノースポイントには百万もの星がきらめいていた。
静寂の墓標から彼らは星の一つを心に刻み
月に向かって旅立った。

ノースポイントへ行ったことがありますか?
時を過ごし、祈るために
牢獄の壁は暗く、冷たく、そして陰鬱で
ノースポイントの壁の落書きが
静かな部屋に語りかけている。
檻は閉ざされ、あなたを暗い気持ちに追い込んでしまう。

Islandsに収録されている隠れた名曲。アニタ・へジャーランドが歌う曲の中では一番気に入っている。特に間奏部のマイクのリードギターは実に情感がこもっていて心に沁みる。まるでカモメの声のような響きもすばらしい。メロディも全体的に切ないムードを漂わせ、哀愁を感じされるものになっている。翻訳にあたり、今でも解決していないのがNorth Pointの意味。タイトルはNorth Pointなのに、歌詞ではNorhtpointの1単語にしてしまっているから、よけいに悩んだ。North Pointなら北の岬という意味でもいいと思う。ビデオも岬が出てくる。しかし全体の意味からこれは想像の土地の固有名詞と判断し、あえて日本語をあてはめず、ノースポイントとした。国境のはずれにある壁に囲まれた小都市。その中にいる恋人に会おうとして逢えない人がたくさんその周りを取り囲んでいる風景を想像した。あるいは日本で言う彼岸的意味をこめると、死んだ人々の住む町として考えれば、恋人を失った人々がその周りを取り囲み、いざ自分も死んだときにその中で再会し、ともに月へ旅立つ・・・なんていう解釈は行き過ぎか?

When The Night's On Fire
夜が炎に燃え上がるとき

私は願っていた。あなたはわたしの霊感でいてくれることを。
たとえろうそくの光の中で何が起ころうとも
私は夢見ていた。それはわたしの想像だったのか。
ろうそくの光の中で明日は決してやって来ない

夜が炎に燃え上がるとき
あなたを抱きしめてくれる恋人の腕が必要でしょう?
もうこれ以上明るくなることが無いくらいの激しい炎
むこうに一羽の鳥が見えるでしょう?
もう一羽の鳥が飛んでくる
二羽そろってならもっと高く飛べるでしょう

数時間も風が吹く音を聞こうとしていた
ろうそくの光の中では聞こえないだろうに
あなたが私を雨から守ってくれることを願っていた
ろうそくの光の下では私はどんな言葉も信じることだろう

夜が炎に燃え上がるとき
あなたを抱きしめてくれる恋人の腕が必要でしょう?
もうこれ以上明るくなることが無いくらいの激しい炎
むこうに一羽の鳥が見えるでしょう?
もう一羽の鳥が飛んでくる
二羽そろってならもっと高く飛べるでしょう

夜が炎に燃え上がるとき
あなたは雨の中でも燃え上がる炎のよう。
どこかで引き返す場所が必要ではないの?

むこうに一羽の鳥が見えるでしょう?
もう一羽の鳥が飛んでくる
二羽そろってならもっと高く飛べるでしょう
そう、生涯の問題と挑戦も、天国では一瞬のこと

夜が炎に燃え上がるとき
あなたを抱きしめてくれる恋人の腕が必要でしょう?
もうこれ以上明るくなることが無いくらいの激しい炎
むこうに一羽の鳥が見えるでしょう?
もう一羽の鳥が飛んでくる
二羽そろってならもっと高く飛べるでしょう

デモヴァージョン歌詞

説明がつかない、充分に理解することなどできない
夜が更けきったとき、僕らは再び真実でいられるだろうか?
暗い夜はどこまでも長く、明るい光はどこまでも冷たく
僕が行くところはどこであっても同じだろう

君が健やかに眠るとき、青い夜が忍び寄る
ろうそくの光が明るく輝く中、どうしたらずっと迷うことなどできるだろう
夜が炎に燃え上がるとき
夜が明けるまではまだ一時ある
心の希望を持ち続けていて
一羽の鳥を目にするとき、もう一羽は決して遠くにはいない
二羽そろってならもっと高く飛べるだろう

空中の種のように君はどこか遠くを旅してゆく
ほら、僕らは国家と祈祷の中で道を迷ってしまった
千回以上の試験に合格したのは君、
もう永遠に自由、君はすべての道への扉を開いたんだ

君が健やかに眠るとき、青い夜が忍び寄る
ろうそくの光が明るく輝く中、どうしたらずっと迷うことなどできるだろう
夜が炎に燃え上がるとき
夜が明けるまではまだ一時ある
心の希望を持ち続けていて
一羽の鳥を目にするとき、もう一羽は決して遠くにはいない
二羽そろってならもっと高く飛べるだろう

君が健やかに眠るとき、青い夜が忍び寄る
ろうそくの光が明るく輝く中、どうしたらずっと迷うことなどできるだろう
遠くを旅する君、心の希望を持ち続けていて
夜が炎に燃え上がるとき、君は最高に輝く星のようにきらめいている


アニタ・へジャーランドが叙情的に歌い上げるこの曲はIslandsとメロディはほぼ同じであるが、そのアレンジがあまりにも違うため同じ曲とは思えないくらいイメージが異なる。当時蜜月期間だったマイクとアニタの自分自身のことを歌ったのかもしれない。この曲には、バリー・パーマーが歌うデモヴァージョンが存在するが、歌詞が大きく異なり、またメロディも同じながらも、いかにもデモヴァージョンといった感じで演奏はさほどこっていない。それでもオリジナルとはまた異なる味わいがあり、バリー・パーマーという人もマギー・ライリーと同様にマイクの曲を歌わせるにふさわしい人であったことがよくわかる。最初からバリー・パーマーに歌わせるつもりがあったのかどうか不明だが、このようにデモバージョンで、なおかつ違う人が歌っているというのは極めて珍しいので紹介した。また他にもボニー・タイラーがこの曲とIslandsをメドレーで歌っているなどというデモもあるくらいだから、この曲の誕生までには紆余曲折があったのかもしれない。

Amarok
アマロック

みなさん、こんにちは。 たぶんみなさんはいまのところ何一つ起こっていないとお感じと思います。ははははは。よろしい、私がみなさんにお話ししたいのはエンディングについてであります。はい、普通エンディングというのは最後に起こるものであります。でも、みなさんご承知の通り、エンディングというものは始まりを意味するのです。そうですね、ひとたび物事が始まってしまったら、それを止めることはとても困難であります。しかしながら、私たちが今まで経験してきたところ、この状況下では最高の解決策は進み続けることです。さあ進み続けましょう。終わらせることなく。 この世の中は新鮮な始まりを求めていることを忘れずに。この国をはじめ世界中で始まりを我々は熱望しているのです。だれもエンディングという言葉を聞きたがっておりません。みんな座りたがっているのはわかります。気楽に行きたいこともわかります。もちろん私たちは良いものを求めているのです。新しい始まりを探しているのです。

Ommadawn 2といわれるAMAROKの最後の最後に現れる女性の語りの部分。まるで魔法使いの魔女のように、実に回りくどい表現で語っていく。初めて聴いたときは少々不快な印象さえ与えられたが、長い長い曲の最後にたどり着いた、いわば悟りを与えてくれるような印象を最近感じるようになった。少々宗教かかってきてしまいそうだ。ちなみにこの声の女性の人は、イギリスでサッチャーの声に似ている人で有名らしい。この声も聞く人が聞けばサッチャーが語っているように聞こえるらしい。

Fairytale of Amarok
アマロックのスリーブのお伽噺

昔々、おそらくアイルランドのあるどこかだとは思うが、(いやそれはアフリカかマダガスカルであったのかもしれないが)非常に不可解な出来事が相次いでおこった。
親友同士である二人の男は、彼らの住む村からきわめて近いところに、地面に大きな穴が開いており、その中に大きな黄金の彫像が立っているという噂を耳にした。
その噂が疫病のように人々に知れ渡り噂になったことはごく当たり前のことであった。
それは彫像ではなく、人間でもないと言う者もいた。ただそれが微動だにせず立ち続けていることは間違いなさそうだった。
さらにそれが時折音を出しているとも言われていた。その音は同時にいろんな音を出しているとも言われた。
二人はその彫像のところへ行ってみることにした。ある朝早く彼らは村を出発した。彼らの歩みはけして早くはなかった。
「疲れたか?僕もだ」最初の男が言った。
「すこしましになったよ。でもたどり着かなくては」
もう一人は言った。数時間歩き続けた後、最初の男が立ち止まり遠くを見つめた。
「見つけたぞ」
彼は感動を押さえて言った。
「どこだ?」
「なんて美しい金の輝きだろう。なんてすばらしい光の洪水だろう」
彼らは疲れを忘れて、急ぎ足で歩き始めた。しかし、どんなに急いで歩いてもその距離は縮まなかった。黄金の輝きと噂されたものはまったく変化がなかった。
しばらく歩いた後、彼らはその歩みを止めた。
「これはいつまでたってもたどり着かないぞ」
困惑して一人が言った。
「戻ってみようじゃないか。ひょっとしたらたどり着けるかもしれないぞ」
最初の男が言った。もう一人は疑問に思って言った。
「どうしてそう思うんだい」
それに答えず、彼は立ち上がり来た道を戻り始めた。驚いたことにしばらくすると光がだんだん鮮明になり、その光がだんだん近づいてきた。
国のはずれにきたときにはその光はまるで大きな炎のように見え始めた。
黒こげの木々が地に倒れ、焦げ付いた不毛の土地が広がっていた。
彼らは不安であったが進み続けた。すぐに彼らは黒こげの巨大な穴にたどり着いた。それはまるで天から巨大な岩が投げつけられたかのようであった。
「すごいな」
最初の男が言った。
「さあ入ってみよう」
「君だけでいけよ」
用心深い彼の相棒は言った。
「何を見たかあとで教えてくれ」
彼は巨大な穴の縁へ這っていった。
枯れてはいるが、まだしっかり根がはっている木につかまり、彼は穴を見渡した。
地面に開いた巨大な穴の中には彼がいまだかつて見たことがない高さのものがたっていた。
それは美しい黄金であり、その表面は完全になめらかであった。それは彫像ではなく、人間でもなかった。かれは今までそのようなものは見たことがなかった。
彼は目を離すことができなかった。
「ついにここまで来たぞ」
彼は自分に言った。
「これは我々には理解できない言葉をしゃべるらしいぞ」
彼はあたりを見渡した。隣には彼の友が来ており、穴の中を見つめていた。
「ひとたびその声を聴いた者は、その声は耳の中に留まり、いつまでも耳の中で響き続けるらしい。
その声には多くの種類があり、楽しいものや悲しいものがある。
その響きは、ひひのようであり、子供の声のようであり、千人の人間の手にでたたかれる太鼓のようであり、コップの水の小さな音のようであり、恋人たちの歌声のようであり、僧侶の哀歌のようでもある」と彼の友は言った。
「でもその言葉はいつでもたった一つらしいぞ」と彼が言うと、
「それは聴く者しだいらしいぞ」と友は言った。
「それはどういうことだ?」
「言葉のメロディを奏でるものの声を、聴くことも聴かないこともできる」
「意味が分からない」
「それを語れる者は見ることはできない。見ることができる者は語ることができないのだ。しかし、常に音は存在する。音を常に生み出しているのだ」
二人は沈黙した。長い時間がたったのち、二人目の男が最初の男に話しかけた。
「何か聞こえたか?」
「聞こえたよ」彼の友は彼を真剣に見つめた。
「でも音はしなかったぞ。何を言っているんだい?」
「元気を出せよ。耳ふさいでいるのか?所詮はおとぎ話さ」

アマロックのスリーブにまるでデザインであるかのように印刷されている物語。しかし良く読むとおもしろいお伽噺になっている。アマロックの音楽のイメージをなんとなく表現している気になる。この物語はオマドーンのオン・ホースバックをマイクといっしょに共作したウイリアム・マレーによるもの。この点もオマドーンとの関連を示唆して面白い。その英語は簡単そうにみえたが、表現がよくわからないところが散見されて、誤訳をしているところもあるかもしれないのでご了承ください。

Man In The Rain
雨の中の男

あなたのことを思うと胸がはりさけそうになる
あなたはチャンスをつかんでいながら、それをすぐにすべて投げ捨ててしまった
けっして溶け込むことのできない世界に暮らしている
もうそろそろ、そこを立ち去るとき

あなたはそこに留まることはできない、離れた方がいい
あなたは敗者ではない まだ列車に飛び乗る時間は残されている
今夜こそ自分の道を歩み始めなくては
気持ちを切り替えて あなたは雨の中の人

壁に必死でつかまっていているのは何のため?
灯りは灯っていても、家には誰もいない
冷たい雨が降る朝が明けようとしている
今こそ出発するとき

あなたはそこに留まることはできない、離れた方がいい
あなたは敗者ではない まだ列車に飛び乗る時間は残されている
今夜こそ自分の道を歩み始めなくては
気持ちを切り替えて あなたは雨の中の人

昔のことを思い出したら何を思うの?
あなたは11月の木のような裸の枝
持っているものすべてを投げ捨てて
今こそ出発するとき

あなたはそこに留まることはできない、離れた方がいい
あなたは敗者ではない まだ列車に飛び乗る時間は残されている
今夜こそ自分の道を歩み始めなくては
気持ちを切り替えて あなたは雨の中の人

昔のことを思い出したら何を思うの?
あなたは11月の木のような裸の枝
持っているものすべてを投げ捨てて
今こそ出発するとき


チューブラーベルズVの中間部に突然現れる美しい歌声。この曲を歌うCaraの声はなんて美しいのでしょう。曲の構成、ギターフレーズ、ドラミングなどムーンライトシャドウそのものであるが、もとのムーンライトシャドウの美しさをさらに膨らませ、さらに豊かにさせたような曲。その歌詞は、まるで都会の仕事に翻弄される男に呼びかけるようだ。オールドフィールドのヴォーカル曲は、歌手の声も一つの楽器としてとらえているが、歌詞も決しておろそかにしていない。間奏部のコーラスとオールドフィールドのリードギターがユニゾンするところなど、涙が出るほど美しい。自分にとっての生涯の名曲がまたひとつ増えた。(どうもこの曲はMoonlight Shadowとほぼ同時期に作っていたようだ。)
Tubular BellsVにサブタイトルをつけるとすれば、まさしくMan In The Rainなのだろう。この曲がなぜ全体の中間部にあるかという意味を考えると、The Source Of SecretからThe Inner Childまではこの歌詞の主人公である男の「けして溶け込むことのできない世界」での生活を表現し、The Top Of Morningからはこの歌詞の内容通り、自分の道を歩み始める課程を表しているように思う。そしてFar Above The Cloudsのくだりになるわけで、Tubular BellsV全体がMan In The Rainの人生を表現してると思う。だからこそ、この曲が全体の中のキーとなる曲だと思っている。(The Souce of SecretsなどでAmarが歌っている部分の歌詞はヒンドゥー語で、「問題がたくさん起こっているのに、あなたはいったいどこにいるの?」という意味になる。その意味が全体にリンクしている。)だから日本語版に書いてある翻訳はまさしく完全に意味を取り違えた誤訳であり、ひいてはTubular BellsV全体の解釈を誤らせるたいへんにファンにとって失礼なものになっている。(Man In the Rainがストーカーみたいな男に対する捨てセリフにみたいな意味になっている。)ライナに日本語訳をのせることはこうなると反対だ。

Far Above The Clouds
雲の上遥かに

雨の中の男が
秘密の鞄を持ち上げて
山の方に旅立った
雲の上遥かに
そして
その後二度と再び彼の消息はわからないまま
ただチューブラーベルズの響きだけ


チューブラーベルズVの最後のクライマックスに入る直前に、子供の声で語られるフレーズ。この語りの後で、チューブラーベルズVは壮大なるクライマックスに向かう。この歌詞もなんとも、意味深な感じをあたえる。まるでオールドフィールドが引退をしようとしているみたいにとらえかねない。このフレーズの後で、オマドーンのドラムにのせて、チューブラーベルズの鐘の音が響きわたり、最後にはチューブラーベルズTのフレーズが顔を出す。最後は鳥のさえずりでおわるのだから。まさにオールドフィールドの集大成。変な想像をしてしまうが、間違っても引退などしないことを祈りたい。(そう言う噂もあるにはあるみたい。) プレミアコンサートの際にはこの部分で、オールドフィールドとアニタ・へジャーランドの間にできた10才の娘、Gretaがビデオで口パクで出た。(実際の声は違う子供)最後のエンディングでの鐘の音のあとの鳥のさえずり、そして遠くで聞こえる鐘の音は,それまでの混乱、喧噪から抜け出して至福の域に達した世界が感じられる。

Sunlight Shining Through Cloud
雲間から差し込む陽光
歌詞: Captain John Newton [1725-1807]


なんという素晴らしい慈悲だろう(なんて、甘い響きだろう)
それはどれだけ私のようなみじめな人間を救うことか
私は一度失ったものをまた見つけることができた。
盲目だったのが、また見ることができるようになった。

だから私はこの顔に太陽の光を感じ取りたい
そして私はそこに陰も感じ取りたい


私の心に恐れを教えたのも、その慈悲だった。
そしてその慈悲は私の恐れを救ってくれた。
慈悲というものがどれほど貴重なものか
私は信じることを初めて知った。


だから私はこの顔に太陽の光を感じ取りたい
そして私はそこに陰も感じ取りたい
雲の間から差し込む陽の光
私たちが、自由に誇りを持って立っている今こそ

数多くの危険や、労力や、罠を乗り越えて
私はたどり着いた。
この慈悲が私をこれほど安全なところに導き
この慈悲は私を故郷に導いてくれたのだ。


雲の間から差し込む陽の光
私たちが、自由に誇りを持って立っている今こそ
雲の間から差し込む陽の光
私たちが、自由に誇りを持って立っている今こそ


The Millennium Bellから、Pacha Mamaとならび、アルバム全体のキーとなると考える曲の歌詞。しかしこの歌詞は、アメージング・グレース(Amazing Grace)と呼ばれる大変に有名な讃美歌の歌詞であり、日本でも有名だから、知っている人は多いと思う。その歌詞をそのまま引用しているが、その作詞者は、元奴隷船の船長であったCaptain John Newtonという人で、ある時難破して命を落とし掛けたことがきっかけで、奴隷を取り扱ったことに懺悔し、のちに牧師となったいきさつのある人である。マイクはこの曲をアメリカにおける奴隷解放をテーマとし、この曲の前のサンタマリアによるアメリカ大陸発見の明るい歴史と、この曲によるおなじくアメリカの暗い歴史を対比させたかったと思われる。緑の部分がいわゆるアメージンググレースの詩の部分で、ブルーがこの曲で新たに歌われているところである。アメージンググレースの詞全体はもっと長い。また歌詞も有名な曲なのでいろんな翻訳があるが、この際自分なりに、何も参考にせずに翻訳していますのでご了承ください。しかしアメージンググレースは自分も好きな曲だが、この曲の歌詞がそれを引用したものであることも気がつかなかったし、またアメージンググレースの作詞者が元奴隷船の船長だった人だなんて、この歌詞を訳そうとするまではまったく知らなかった。


Liberation
解放

外で鳥たちがさえずり、
樹々が緑に色づくとき
太陽は人々を外の空気の中へといざなう。
空がとっても青いとき、そう
私はとっても希望を持つことができるのです。

恐れ、寂しさ、不幸に打ちひしがれる人々を癒す
もっとも最善の方法は
外へでることです。
天国と自然と神とともに一人になれるところへ行くことです。

The Millennium Bellから、後半のキーとなる曲。アンネ・フランクの詩の引用だということだが、原詩そのものはどんなものなのかは未調査。しかし、マイクの娘、グレタによって語られるこの詩は心を透き通らせるような旋律と、ミリアム・ストックリーの天使のようなスキャットと、完璧とも言えるようなマッチングを見せてくれて、聴くものの心を見事に震えさせるほどの感動を与えてくれる。アンネ・フランクの素朴な歌詞に言葉にできないくらいの意味を与えている。その歌詞は、On Horsebackなどの曲と同様に、現代の喧騒やしがらみを離れ、人間が自然と調和して生きるべきだということを知らせてくれている。それはまさしく、マイク・オールドフィールドの作品すべてにあてはまる大いなるテーマだといえるだろう。


To Be Free
自由であること

時に自分が孤独であることを感じるときがあるだろう?
家もなく、守ってくれるものもなく
向かうべき方向もわからずに
道に迷ってしまっている
でもその時に突然、前触れなく
不思議なことが訪れる
それがどのようにしてなのかも
なぜなのかもわからない
でもいつの日か、飛び立てる、飛ぶことができる
私の願いは自由であること
自然のままであること
そして、子供のようにしていられること
そうであれば道に迷ったとしても
気にすることなどない
なぜなら私は元気にしていられるから
自由であるから

時に冷たい世界にいることがあるだろう
見渡す限り霧の中で
太陽の光の下に飛び込んでいきたくなる
でも道はわからず、砂の道、そしてわかりにくい道ばかり
でもその時に突然、前触れなく
不思議なことが飛び出してくる
それがどのようにしてなのかも
なぜなのかもわからない
でもいつの日か、飛び立てる、飛ぶことができる
私の願いは自由であること
自然のままであること
そして、子供のようにしていられること
そうであれば道に迷ったとしても
気にすることなどない
なぜなら私は元気にしていられるから
自由であるから

Tres Lunasからのシングルカット。新作発表前から歌詞、プロモビデオがネットで公開されるのは今までのマイクの新作ではなかったことだ。マイクのヴォーカル曲としてはIslands当時の基調に近く、全体的に明るいムードが伝わってくる。歌詞の内容も、人生の中でさまざまな場面で出会う挫折や迷いの際には、必ず明るい道が開けることを諭した希望の曲になっている。Man in the rain、Sunlight Shining Through Cloud、Liberationやにも通じる励ましの歌詞であり、マイクの曲の底辺に流れるもの具現化したようにも思えてしまう。歌詞はシンプルだが、その中に流れるものは深い。