ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

「ハムレット」の端役にスポットを当てた物語
(シアターコクーン  00.2.4~13)

ローゼンクランツ: 古田新太    ギルデンスターン: 生瀬勝久
ハムレット: トロイ    オフィーリア: 目黒光代    クローディアス: 青山吉良
ガートルード: 赤司まり子   ポローニアス: 上田忠好    アルフレッド: 棚川寛子
悲劇役者・ホレイショー: 水下きよし    悲劇役者・使節: 山下禎啓
悲劇役者・廷臣: 中脇樹人    悲劇役者・兵士: 横道毅
座長: 加納幸和


あらすじ:
ハムレットの学友であるローゼンクランツとギルデンスターンは、新王クローディアスからハムレットの乱心の原因を探るように遣わされる。
が、周りに無視され、翻弄された挙句、ハムレットの策略で身代わりに処刑されてしまう。
いったい自分たちの存在する意味は?
やりきれない彼等の心情と「ハムレット」本筋の世界が交互に語られる。

感想:
映画 「未来世紀ブラジル」「恋に落ちたシェイクスピア」の脚本家が原作者だったんですね。知らずに見にいきました。(無知?)
生瀬さんと古田さんコンビでの上演は3度目と言うことで、二人のボケとツッコミも練り上げられたものなんだろうな、と思う反面、延々くり出される関西弁での「ぼやき漫才」に途中で少々飽きが。笑えたんだけど。(会場の反応をみてやってたようだし)
あのうだうだした感じが、 本編で「ああ、そういえばそんな人達がいたねえ…」といった役どころの二人のやるせなさや情けなさをあらわしてるのはわかるんですけどね。
反面、「ハムレット」本筋での「主役たち」と「端役」の違いというのがはっきり出ていて、必死で自分に与えられた役割を「演じ」ようとしているのに、なぜ自分達はこうまでとるにたらない存在としてしか扱われないのか?「おれたち何のためにここにいるの?」となるのも納得できるキャスティングでした。
ラスト。巨大な本、ハムレット原文の中に1行だけ赤い「Rozencrantz and Guildenstern are Dead」の文字。原作上で語られる彼らの最期はたったこれだけなんですよね…。
一寸の虫にも五分の魂、それでもやっぱり一寸は一寸の存在価値で消え去るのが宿命ということ?
デンマーク王家の人々の死体が並んでいる中、ローゼンクランツとギルデンスターンの黒い帽子がふたつ置かれていたのが「いなくなること」のむなしさが感じられる印象的な幕切れでした。

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