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2008/8/31 (Sun) −北京オリンピックの記録分析から−


修です。

8月8日午後8時に開幕した北京オリンピック。日本勢の金メダルは9つ。目標より多いか少ないかは別にして、北島康介選手の平泳ぎ、ソフトボールや400メートルリレー、柔道金メダルには盛り上がりました。また、ウサイン・ボルトの速さは驚異的でした。ボルトのジャマイカは女子100メートル走でもメダル独占でしたが、この国はカリブ海に浮かぶ11,000平方q、270万人の島国。九州の 四分の一程度の規模感です。男子決勝に残ったのはジャマイカ3人、トリニダードトバコ2人、米国2人、そして4位に入ったオランダ領アンティル(こちらもカリブ海)の選手ですが、トリニダードトバコの人口は110万人、オランダ領アンティルはなんと20万人の小国。カリブ海勢 強過ぎですね。

ということでオリンピックで沢山のデータが集まりましたので何が見付かるのか、趣味の分析にトライします。時間軸を意識することでの新たな発見を目指します。

  • まずは、私の一つ目の疑問から。競泳にしろ、競争にしろ、予選から準決勝、決勝と進むにつれタイムがよくなります。予選で世界新記録が出たという話しは聞きません。どういう風に記録が伸びるのだろうかと疑問に思い男子100メートル走を次図にプロットしました。一次予選と二次予選で似通った記録しか出ないと次に進めていません(@)。一次予選突破がギリギリだったのでしょう。二次予選で10.1秒を切れる選手のみが決勝まで進めています。優勝したボルト(A)は二次予選で急激に伸ばし、準決勝、決勝と尚更伸びました。この伸びからはまだまだ余力があるようにも見えますし、2位以下との差(B)からは図抜たスピードだったことも分かります。なお、Cはアジア勢で唯一準決勝まで頑張った日本の塚原選手です。


  • では、二つ目の疑問。ボルトの記録はどれくらいすごいのか。100メートル走の過去の世界記録を調べてみました。1991年の9.86はカール・ルイスです。1999年の9.79はモーリス・グリーン、そして、2008年に入ってからの9.72、9.69がボルトの記録です。人類はどこまで速く走ることができるのか、とよく話題になりますが、このグラフを見 ると12年で0.10秒程度の割合で順調に記録が伸びているのが分かります。但し、今回の世界記録をボルト選手以外が破るのは、これから4〜5年は難しいように見えます。

  • 最後にもう一つお付合い下さい。今回の100メートル走、200メートル走は平均速度が37q/時以上にもなります。中・長距離まで含めて現在の世界新記録の速度を並べたのが次図です。距離が長くなればスピードが遅くなるのは当たり前。なのですが、少し面白い発見がありました。いくつか不連続なポイントがあるのです。最も顕著なのは、ハーフマラソンが速く、25キロメートル走との間に段差が発生するところ。しかし、フルマラソンも 25キロレースと殆どスピードが変わらないというのも驚きです。競技人口が多く(ハーフマラソン、フルマラソン等)、注目度が高い競技ほど速い記録が生まれていると言うことができそうです。

ステージが上がることによる競争激化の状況、時間軸と新たな記録の関係、競技人口と記録の高さの関係、と3つ見てきましたが、私どもの社会生活や生物の進化への示唆も感じ得ることができます。ぎりぎりで生き残ってきた者と次のステージへの余力がある者の違い、目標が一定ならば不連続に見えても進化・進展は進む、競合の多い厳しい環境であるほど突然変異と淘汰の中で強い種が生まれる、というものです。

スポーツ競技では、逆にもし、何十年も新しい記録が出なかったとすると、何らか競技の形(ルール)を変えてでも進化を実感できるようにしようとするとも思います。このオリンピックでは柔道や野球のルールが変わっていくことへの意見も報じられましたが、時間軸の中で許容すべき変化の一つなのかもしれません。
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