MICHEL RAPAPORT

ブラザーズ・ブラザー

・最新ニュース

・アーノルド・シュワルツネッガー主演の『シックス・デイ』(2000)に重要な役で出ていたらしいが未見。

・『ザ・ダイバー』(2000)でも海軍水兵で出ていた模様。未見。

・スパイク・リーの新作『Bamboozled』(2000)には阿漕なテレビ・ショーのプロデューサー役で出演。やはりこの人、黒人監督から好かれている。

・『A Cold Day in August』(2001)ではタイトル・ロール。詳細は不明だが、アリー・シーディ、ラルフ・マッチオといった80年代のアイドル・スターが大挙して出ている

・サスペンス・コメディ『Chain of Fools』(2001)では殺し屋役でサルマ・ハエックと共演

・スリラーの『29 Palms 』(2001)ではまたレイチェル・リー・クックと共演。警官役


 最初に印象的だったのは、トニー・スコットの、というよりクエンティン・タランティーノ脚本の「トゥルー・ロマンス」(93)だった。クリスチャン・スレイターがパトリシア・アークウェットを連れていく先のLA の友達、ディックの役。

 大きな体にぼんやり開いた口と、表情のわかりにくい小さな目。鈍重で穏やかな大型犬を思わせる。役者志望だが、芽が出そうにもない。幼なじみのスレイターが持ってきた大量の麻薬を見て、呆然としてしまう。「お前、これだけあれば幾らになるか知ってっか!?」 幾らになるんだとスレイターがクールに聞くと、一瞬口を開けたまま止まって、「とにかくスゲエ額だぜ!」

これでこの俳優が好きになった。最後のホテルの銃撃戦で、奇跡的に無傷のまま逃げていく時の後ろ姿の小物感が良かった。

 この「いい奴」が「ハイヤーラーニング」(94)では、ネオナチに走って黒人に銃をぶっ放す大学生の役をやるんだから驚く。田舎出のコンプレックスと孤独を利用されて勧誘にひっかかってしまうところが彼らしくはあったが。この映画で彼は最後にオマーエップの恋人役のタイラー・バンクス(黒人スーパーモデルで、Q ティップの彼女)を狙撃するという、黒人の観客に恨まれそうなことをしているが、私生活では黒人の友達が多いからこそこの映画にも出演する気になったそうだ。

 実際、デビューからして黒人映画の「ゼブラヘッド」(92)だったのだから、うなずける話。ここでは自分が好きになった黒人の少女を、彼女の仲間である黒人少年に殺されてしまう高校生を演じた。

 「ボーイズ・ン・ザ・フッド」(91)のジョーイ・シングルトン監督とは友達らしく、彼の「ポエティック・ジャスティス」(93)では意外なところにゲスト出演している。「ネゴシエイター」(97)ではエディ・マーフィーの相棒役。

 「黒人の友」というイメージがすっかり定着したところで、「コップランド」(98)では再び「対黒人」の苦い役がまわってきた。

 ニューヨーク市警で、「スーパーボーイ」と呼ばれて可愛がられている新米刑事。対岸に警官だけが住む街を築いた叔父のハーベイ・カイテルが後ろ盾になっている。その彼が、おもちゃのマシンガンを振り回した黒人青年たちに発砲して殺してしまう。ハーベイ・カイテルはラパポートが罪の意識に耐えかねて自殺したように偽造する。その偽造は、もっと大きな不正であるマフィアとの癒着を隠すためのものだった。

 ラパポートはサスペンスの核になる役どころを、カイテル、デ・ニーロ、スタローン、レイ・リオッタというそうそうたる「イタリア系」大物俳優たちを相手に、マイペースで演じていた。彼もイタリアの血が混じっているのかもしれない。「ラパポート」はユダヤ姓だということだが。

 ユダヤ人脈では、ウディ・アレンの「誘惑のアフロディーテ」(95)に出演。売春婦ミラ・ソルビーノのヒモ役。頭の回転は鈍いけれど、腕っぷしはめっぽう強いという設定で、ウディをつるし上げにしていた。

 ミラ・ソルビーノとは、「ビューティフル・ガールズ」(95)でも共演している。このテッド・デミのデリカシー溢れる「同窓会もの」が、今のところラパポートのベスト・ワーク。

 彼が演じるポールは冴えない男。田舎で高校の同級生のマット・ディロンと、小さな会社を経営して、街の除雪作業などを請け負っている。7年間も付き合っていた恋人のジャン(マーサ・プリンプトン)は、彼に愛想をつかして別の男との結婚を決めてしまう。

 ラパポートはどうにかして彼女のハートを取り戻そうとするのだが、彼女の決心は変わらない。すると、毎晩嫌がらせで彼女の家の前に除雪車で雪を積み上げる。ジャンを嫉妬させようとユマ・サーマンにニセの彼女の役を頼んで成功すると、調子に乗ってユマにひっぱたかれてしまう。

 困った奴だけど、様々な意味で自分の青春が終わったことを実感した夜に、彼がジャンの家の前で泣きながら除雪するシーンにはホロリとさせられてしまう。夜が明けるまで、家の中でジャンがずっと彼を見つめていた。

 余談だが、この時のマーサ・プリンプトンは素晴らしかった! 出番は少なかったけど、小生意気なナタリー・ポートマン、派手なユマ・サーマン、めそめそしたミラ・ソルビーノよりずっと強い印象を残した。「旅立ちの時」(88)でリバー・フェニックスが演じる少年を見つめていた、素晴らしい少女だった彼女を思い出した。

 「フレンズ」でお馴染みのデヴィッド・シュワイマー主演の「ハッピィ・ブルー」(96)でも、主人公の「困った奴だけど最終的にはいい友達」。次回作はサミュエル・L・ジャクソン主演作だそうで、久々に「黒人の友」の面目躍如といったところ。

 70年生まれ。噂になったことがある女優がリリ・テイラーとは、女の趣味がいい男かもしれない。

 ・その後は、アナベラ・シオラ、マリサ・トメイ、ロージー・ロペスと美女が大挙して出る『Jungle』にも出演。詳細は不明だが、スリラーだとか。
ウッッディ・ハレルソン、ジーナ・ガーシュンと『ブリキの太鼓』監督作のミステリー、『パルメット』はビデオで観られる。

 ジュリエット・ルイスの復帰作『Men』に出演。これは『バッド・チューニング』のマリサ・リビジーが脚本を書いたインディ映画。友だちなのかも。

 脚本のクレジットにイーサン・コーエンがいる『Naked man』。またボーリングが関係する話のようで。レイチェル・リー・ クック共演。

 レニー・ハーリンの『ディープ・ブルー』(99)では、DNA操作で異様にかしこく凶暴になった鮫から逃げまどう、研究者グループの一人。セキュリティシステムのエンジニアの役らしいが、「登場人物がどんどん死ぬ」映画らしいので、ラパポートのポジションじゃ最後まで生きてるはずはない

 ・リリー・テイラーを選ぶなんてなかなか‥と思ったら、98年秋に彼女に対するストーカー行為で有罪判決受けていました。(大泣)

 ノーラ・エフロンの『ラッキー・ナンバー』ではジョン・トラボルタやリサ・クードロウと共演。

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