NOA EMMERICH

警官の制服が似合う男NO.1

・最新ニュース

・アントニオ・バンデラスの初監督作品『クレイジー・イン・アラバマ』に出演。ビデオが日本でも発売されているが、未見

・ファムケ・ヤンセン主演のラブコメ『Love & Sex 』(2000)に出演

・リリ・テイラー主演作の『Julie Johnson』 (2001)にミーシャ・バートンの父親役で出演

・テッド・デミ最新作でスマッシュ・ヒット、キューバのコカイン・コネクションで金儲けをした実在の人物をジョニー・デップが熱演した『ブロウ』にも小さな役で友情出演

・ジョン・ウーの二次大戦アメリカ水軍ものの『Windtalkers 』(2001) に、ジョン・ケイジ、クリスチャン・スレイター、ピーター・ストーメアといった錚々たる顔ぶれに混じってメインキャストで出演している


 がっしりとした大きな躰に人のよさそうな顔。町の派出所にいるおまわりさんタイプ。ノアー・エメリヒにはぐれ者やはみだし者は似合わない。コミュニティの真ん中にいる「善良な市民」が似合いそうだ。

 最近は逆に、そういう市民こそ他者を迫害する時に恐ろしい力を発揮するんだというような描き方をされるが、彼はそれにもちょっとあてはまらない。何か困ったことがあったら、まっ先に相談したいような誠実さに溢れている。忠実な大型犬を思わせるのは、そのせいかもしれない。 

 最初に彼を意識したのは、同窓会映画の佳作『ビューティフル・ガールズ』(96)。同級生の中で唯一の妻帯者。彼女がいるのに昔の恋人と不倫しているマット・ディロンや、13才のナタリー・ポートマンに夢中になりかけているティモシー・ハットンを、心配そうに見守っている。

 大人になりきれない仲間たちの中で、たった一人安定したポジションを築いている。週末は子供たちを連れてスケートに出かける、典型的なマイホーム・パパ。それも仲間たちに言わせると、「あいつは狂っているよ、浮気のひとつもしないなんて」。珍しく50年代的な男なのかもしれない。不倫相手の旦那にマット・ディロンが殴られると、血気盛んに復讐に出かけるが、向こうの家庭の子供たちの姿を目にした途端、手が止ってしまう。その普通ぶり、一点の曇りもないモラリストぶりが逆に新鮮だった。

 「スタローンの高倉健もの」『コップランド』(98)では、まさにうってつけの町の保安官役。この人は、テレビドラマでも警官を演じているという話だが、そのせいか制服がよく似合う。

 スタローンは耳が悪いため、刑事になる夢を諦めて仕方なく保安官をしているという感じだったが、彼は望んでこの仕事についたのだろう、同僚のジャニーヌ・ギャロファロと楽しそうに仕事をしている。

 ニューヨーク市警に勤める者たちが平和に暮らす町、「コップランド」。そこに隠されている陰謀を暴こうか見過ごそうか逡巡しながら、スタローンが町を歩くシーンがある。彼がそこで目にするのは、移動遊園地でゲームに参加して遊ぶ、幸せそうなノア・エメリヒの姿だ。彼の本質を象徴するようなシーンだった。

 しかし、孤立無援のスタローンを最後まで捨てなかったのも、ノアだった。

 その「いい奴 ぶり」を逆手にとったのが、ピーター・ウィアーの『トゥルーマン・ショウ』(98)だった。

 ジム・キャリー演じるトゥルーマンは、生まれた時から巨大な街のセットにいて、その様子は 24時間テレビ中継されている。ジムは何も知らず、ただ市民として生活しているだけなのだが、実は自分の同僚や妻、そして両親さえも俳優に過ぎない。その設定が秀逸だった。

 ノアー・エメリヒの役は「トゥルーマンの親友を演じている男優」。幼馴染みで人なつっこくて、誰よりもトルーマンを思いやっている。大学を卒業した後は配達の仕事に従事していて、仕事の後のビールを楽しみにしている。しかし、そのビールのラベルがテレビ画面に映るように計算されているとは、トゥルーマンは知らない。

 些細な事件をきっかけに、トゥルーマンは自分が生きている世界を疑うようになる。そうすると、ノアー・エメリヒは、「ずっと親友だった俺まで偽物だったっていうのかい?」と悲し気にトゥルーマンを見つめる。「俺が君を騙すなんてありえない」。

 その誠実な瞳には、トゥルーマンならずとも騙されてしまうだろう。イヤーホンで入るディレクターの指示通りの台詞を喋っているとは、信じられない。一番信頼している人間が自分を裏切っている。ノアー・エメリヒが観客をぞっとさせた瞬間である。彼が悪役をやったら、それこそ本当に恐いかもしれない。

 テッド・デミは彼が大のお気に入りらしく、大抵の作品にはキャスティングされている。去年公開のはずの彼の最新作にも出ていたはずだ。

 ブルーカラーの役を演じることが多いが、実はイェール大学を卒業したインテリ。これからのキャリアが楽しみだ。


その後は

 ・テッド・デミの『Life』は、エディー・マーフィとマーティン・ローレンスの二人が主演のヒューマン・コメディ。ノアは刑務所の看守の役か?

 ・兄妹が監督した『オーロラの彼方に』に出演。スマッシュ・ヒットを記録したこの作品は、無線で時空を超えて通信しあう親子の物語。父子とも刑事という設定で、ノアは父親のデニス・クエイドの同僚で、やっぱりまた警官の制服を着ていた。

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