FAIRUZA BALK

ドロシー・イン・ザ・ヘル

・最新ニュース

・50年代のニューヨークが舞台のギャング少年たちの青春記『Deuces Wild 』(2001)に出演。スティーブン・ドーフやブラット・レンフロに絡む、安いおねねちゃんをやってるんだろうな。

・インディ映画『Great Sex』(2000)ではロバート・フォスター、ポール・ルーベンスと共演

・サスペンス映画『Red Letters 』(2000)では、殺人事件での自分の無実を証明するために、ピーター・コヨーテをしつこくつけまわす女性の役

・人気テレビドラマ『ソプラノズ』にゲスト出演。なんとFBIエージェントの役!

・キャメロン・クロウの『あの頃ペニー・レインと』の彼女はよかった!ヒロインのケイト・ハドソンと同じくバンドのグルーピーで、その青い目から「サファイア」と呼ばれているお姉さん格。今までのフィルモグラフィーで一番きれいに撮ってもらっていたかも


 写真を見て欲しい。立派にワルの面がまえ。間違えてもロマンティック・コメディの主役や、プロム・クィーンなんかになれそうにない。

 驚くのは、そんな彼女のデビュー作が『オズ』(85)だということ。そう、あのMGMの歴史的名作『オズの魔法使い』の続編にあたる、ディズニー・プロダクションによるSFX映画で彼女は「ドロシー」としてデビューしたのだ!にわかには信じがたい。この時わずか9才。

 天才子役としてのデビューだったが、その後、堅実にイギリスで演技を勉強したらしい。派手に表舞台に立つことはなかったにせよ、10代の時も着実にキャリアを積んでいる。

 彼女が損をしたのは、ミロシュ・フォアマンの『恋の掟』(89)の時。同じ原作でスティーブン・フリアーズがその1年前に『危険な関係』を撮っていて、彼女はユマ・サーマンと同じ役をフォアマン版で演じたのだが‥「美しいユマ」と比べられてまるで「子豚」と酷評されてしまった。

 いい役だったのは、アリシア・アンダーソンの出世作『ガス・フード・ロジング』(92)。ニューメキシコ州のホワイトトラッシュの娘。母親と姉とトレーラーハウスに住んでいる。映画の語り部で、古いメキシコ映画に憧れている少女だった。恐らくは監督が自己投影している役なのだろう。

 最後は出稼ぎに来たメキシコの少年と恋に落ちるいい娘だったけど、この時の彼女ははっきり言って「ブスめのアリッサ・ミラノ」みたいで、格別光っているとは言えなかった。

 ただし、映画自体は地味だけど悪くない。母親役のブルックス・アダムスの起用、全編フェアルーザ・バークの語りで進行するスタイル。アンダーソン監督の頭には、間違いなくテレンス・マリックの『天国の日々』があったに違いない。

 そのテレンス・マリックの58年の「スタークウェザー=フューゲート事件」を映画化したのが『地獄の逃避行』。14才の少女が、19才の恋人に両親を射殺されて、その後結果として彼と共に2日間に11件の殺人に関わってしまったという有名な事件で、デビューしたてのシシー・スペイシクが主演だった。

 それをリメイクした『マーダー』(93)で、フェアルーザ・バークはスペイシクと同じ役をやっている。(相手役はティム・ロス)未見だが、これは恐らくはまり役だっただろう。

 観てない作品では重要なものに『詐欺/イマジナリークライム』(94)がある。何とここではハーベイ・カイテルの娘役。(いい面がまえの親子だね、それにしても)夢見がちで、結果としては詐欺を働いてしまう父親を見守るけなげな次女の役、だそうで、フェアルーザ・バークはキャリア前半部においてはいい娘ちゃんばかりをやっていたのだ、何故か。

 しかし、私にとってはここまでのキャリアはそれほど重要ではない。彼女が本領を(恐らくは)初めて発揮した作品、それは何といっても『クラフト』(96)である! 

 カソリック系の高校が舞台のホラーで、フェアルーザ・バークはいじめられっ子グループのリーダー。何故かアメリカではいじめられ娘たちがゴスになるのが定番らしく、彼女も仲間(ネーヴ・キャンベル)と共に黒魔術に傾倒している。おかげで、廊下では「魔女軍団」と男子からよけられる程。

 目を黒いアイメークで縁取って、制服をパンクに着崩したフェアルーザの迫力は並じゃなかった。目力が恐ろしいほど強いことに、この時気づいた。

 そして、この目には強さと同時に痛ましい、拗ねたような表情を隠し持っていた。悪魔の力を手に入れて、自分をバカにして捨てたスキート・ウールリッチ(アメフト部員)を殺してしまう時も、狂気と同じくらい傷つけられた悲しみが胸に迫ってきた。最後には「よい魔女」ロビン・タネイに力を封じ込められて狂ってしまう。ヒロインはタネイだったのかもしれないが、この映画は間違いなくフェアルーザのものだった。

 アダム・サンドラー主演のコメディ『ウォーター・ボーイ』(98)では、ヒロインの役。とはいえ、ムショ帰りという設定が彼女らしい。まあ、スウィートなかわいこちゃんじゃ、マザコンのサンドラーを鬼ママのキャシー・ベイツから引き離すのは無理だったんだろう。

 「犬のキャラクター付きのパジャマなんて超セクシー!」と言ってくれたり、メカに強いので(車泥棒だから)、サンドラーが自家用車代わりに使っている芝刈り機をチューンアップして時速80キロ出るようにしてくれたり。「本当はけなげ」という路線も変わっていない。そして、「占星術にくわしい」という設定は‥やっぱゴスなのか(笑)。

 近作はエドワード・ノートンと共演した『American History X 』(98)。ネオナチの話だというし、やっぱり黒ずくめでハーケンクロイツ、という彼女にお目にかかれそう。その次には、キャメロン・クロウの自伝的作品の撮影が待機している。

 『ウォーター・ボーイ』の時は随分痩せていたが、彼女はもっとふてぶてしいくらいのスタイルが似合うのかも。いい娘になんか戻らないで、いつまでもゴスのままでいて欲しい。

 その後は

 ・『アメリカン・ヒストリーX』では、大方の予想を裏切らずホワイト・トラッシュ出身のネオナチゴス娘。

 ・カリフォルニアに自らがオーナーを務めるオカルト・ショップを持っていることが判明しました。モノホンです。

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