MATTHEW LILLARD

最低最悪のクラスメート

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・ラジャ・ゴズネル監督作、ハンナ・バーベラ「弱虫グルッピー」実写版の『Scooby-Doo』(2002)に出演。またまた共演のフリンゼ・プリンツ・ジュニア、サラ・ミッシェル・ゲラーと共にアニメそっくりのメイクと衣装で、背が高くておまぬけなキャラのシャギーに挑んでいる

・ホラー映画『13 Ghosts』(2001)に出演

・サスペンス映画『Finder's Fee 』(2000)に出演。六億円の当たりくじが入った財布を拾ったことから主人公が恐怖を味わうというプロットで、マシューは多分(といっても確信的予測)主人公をなきものにしようとする友人の役

・『恋の骨折り損』(2000)のミュージカル・シークエンスでは、『シーズ・オール・ダンス』とまったく同じダンスをして笑わせてくれた。


 「この人間には心がない」という言葉を聞いて、私が思い浮かべるのは西村雅彦や大竹しのぶではない。マシュー・リラードである。ちなみに『黒い家』はマシュー・リラード&ローズ・マッゴーワンでハリウッド・リメイク希望。内山聖陽の役はエドワード・ノートンでいかがでしょう。

 デビューは『グリース3』(91)だが、彼がみんなに印象を残した最初の役というと、ジョン・ウォーターズの『シリアル・ママ』(94)でしょう。キャサリン・ターナーの息子で、例の「ビデオ巻き戻せ!」殺人につながるビデオ屋でバイトしている。自分のママが連続殺人犯として有名になると、早速キャラクター・グッズを作って、ケーブル・テレビのドラマ化の交渉をこなす、その「心のなさ」が! ようするにそれがマシュー・リラードなのである。

 その評価は『スクリーム』(96)において、すっかり固まることになる。母親を殺されて、自分も何者かに襲われたネーヴ・キャンベルが目の前にいるのに、楽しそうにそのネタを話す残酷で明るい狂気。「キレてる」っていうのは、彼が笑っている時の表情のことだ。この時マシューは既に26歳なのだが、彼の顔や言動からは、多くの人が現在の「17歳犯罪」に感じるような危険で小賢しくてモラルが通用しない子供のキナくさい匂いがプンプンに漂う。

 『スリー・ウィメン/この壁が話せたら』(96)にも出演しているが、ビデオのパッケージ裏をみたら、キレた顔して拳銃を振り回しているマシューのスチールがあったので、もうだいたいどういう役回りか分かった。恐らくマシューに出されたオファーは一つ、「いつものでよろしく」。若いのに丹波哲郎かゲイリー・オールドマンかって感じだ。

 『デッドマンズ・カーヴ』(98)では、ハーヴァード大学院への切符を手に入れるため、殺人計画を画策する大学生。「ルームメイトが自殺した場合、同室の学生は心労を考慮してその学期は無試験で全Aを与える」なんてシステム(もちろん都市伝説でホントには存在しない)を迷いもなく利用するなんて、マシュー・リラードのやりそうなことだ。

 とにかくこの映画はマシュー・リラードの「イヤな奴ぶり」を楽しむためだけにある。プロム・パーティに関する残酷な小話で目がつり上がり、口がゆがんで頬いっぱいに笑いが拡がる時のあの顔。全編やりすぎのオーバー・アクション、というのか、「マシュー・リラード」という文字に上から墨で更に太く「マシュー・リラード」上書きするような演技だった。

 日本未公開作は『Senseless』(98)。サタデー・ナイト・ライブの人気者デヴィッド・スペードの学園物。考えられることはただ一つ、「いじめっ子?」。

 同じくケヴィン・ウィリアムソン組のジェニファー・ラブ・ヒューイットとの共演作『Telling you』(98)では、大学を卒業してもピーター・ファシネリと共にピザ屋のバイトをしている友人。この二人、キャラが被ってないか?というか、イジメられっこは間違えても絶対に行きたくない店だな。

 『Dish dog』(98)では、皿洗いのバイトを友達と探す貧乏なフリーターの役。シャノン・エリザベスと仕事口をめぐって友達と決裂するそうだが、マシュー・リラードを敵に回したら、どんな恐ろしいことが待っているか、想像するだに‥。

 『S.L.C. Punk!』(99)では、デボン・サワと共演。近過去もので、モルモン教の本拠地ソルト・レイク・シティでただ二人のパンクスという設定。グレたくても州を越えなくては酒も売っていない。最後にはハーバードに合格して町を出ていく、ってあなたひょっとしてインテリなの?

 そう、実は素顔は自らの劇団を率いている演劇青年。らしい。だから、ケネス・ブラナー監督・シェークスピア原作の『Love's Labour's Lost』(2000)にも喜んで出演したのだろう。でも「シリアル・キラーみたいな奴って呼ばれるのは悪い気がしない」なって言ってるから、フリンゼ・プリンス・ジュニア主演でゲームが原作の『ウィング・コマンダー』(99)に「頼れる相棒パイロット」なんて役で出ていても、「本当は途中で寝返って悪役になるんだろう?」と疑いたくなる。

 そのフリンゼ・プリンス・ジュニアとレイチェル・リー・クック主演の『シーズ・オール・ザット』(99)では、フリンゼ・プリンスから彼女のジョディ・リン・オキーフをかすめ取っていくテレビスター。でも、自分の出演シーンになると、「奉仕」している彼女に向かって、「唾の匂いをつけるんじゃねーよ」と言ったり、パーティで周囲から嫌がられるほど踊り狂ったり、と相変わらずリラード節全開。オキーフを振る時、「テレビで人気街道を歩む俺様が、本気だとでも思ったの?」と笑いがこみ上げてきて止まらないという表情をしてみせて、本領を発揮していた。

 現在撮影に入っている映画は、『ヴァーシティ・ブルース』の監督マイケル・トリンの2001年公開作『Summer Catch』。テレビドラマ『7th Heaven』で人気沸騰の美少女、ジェシカ・ベイルが主演で、お金持ちのお嬢様が避暑地の岬で身分違いの恋をするというもの。キャストの並びをみると、相手役はどう考えたってフリンゼ・プリンス・ジュニアだ。マシュー・リラードは多分、ジェシカの兄で『キャンディ・キャンディ』のニールみたいな役だな。ローズ・マッゴーワンとマシュー・リラードでニール&イライザ。是非観てみたい。

 ついでにいうと、「自分の言っていることを自分が信じていない」という芸風とルックスは、爆笑問題の太田光にそっくりである。


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