JERRY O'CONNEL

帰ってきた健康優良児

・最新ニュース

・『ボディ・ショッツ』(99)では、タラ・ライドに対してのデート・レイプの容疑をかけられるスポーツマンの役

・主演作『Tomcats 』(2001) では、男友達と「誰が最後まで独身でいられるか」賭けをする遊び人。シャノン・エリザベスの誘惑に耐えなくてはいけないんだから大変だ。

・『コヨーテ・アグリー』のデヴィッド・マクナリーの新作、『Down and Under 』(2001)に出演。ドジな二人組がニューヨークからオーストラリアまで、ギャングに脅されて10万ドルを運ぶはめに。ところが、お金を野生のカンガルーがさらっていったからさあ大変!というコメディ。ヒロインはエステラ・ウォーレン。こういうステーキ級の人でないと、オコネルの相手役は務まらないということか。


 平均的な体型の日本男児諸君。あなたは「GAP」の宣伝を見て、チノパンに黒のタイトなTシャツという何でもないアメリカン・カジュアルはいい感じだなあと思い、実際に購入して着てみたら今イチ自分が貧相に見えた、という経験はないだろうか。「GAP」じゃなかったら「トミー・ヒルフィガー」や「J.CREW」、ラルフ・ローレンの「ポロ」でもかまわない。

 これらの典型的アメリカン・カジュアル・ブランドの服は、標準サイズのものでも大分大きめに作られている。胸板も肩幅もクビも厚くて、日本人的な観点からすると「太め」といえるほどの体型を想定してあるのだ。それはアメリカ人の「イケてる」照準の一つでもある。

 太めで「イケてる」というのは、どういう男子なのか。ようするにアメフト部の花形、クォーター・バックである。アメフトはハードなスポーツなのでスタミナがあるタフな体をしていなければいけない。体育会系なので、あんまり物事をうじうじ考えず、脳天気な性格の方がいい。それは『スクリーム2』(98)でネーヴ・キャンベルのボーイフレンドを演じたジェリー・オコネルのことである。

 高校時代からネーヴに憧れている映画オタクのジェイミー・ケネディを押しのけて、彼女を抱きしめる登場シーンからして象徴的な体育会系オトコ。過去の連続殺人事件の幻影に悩むネーヴを相手に、学食でテーブルに立ってパートリッジ・ファミリーの「悲しき初恋」を歌うシーンのあっけらかんとした、「何も考えていない」感じ。当然の如く友愛会メンバー。

 学園生活でずっと日の当たるサイドを歩いてきたタイプ。ただし、性格だけはすこぶる良さそうだ。このイメージは、スクリーンの外でもあまり変わらないらしい。

 データを見ると身長187cm以上、体重は約86キロだからそうとうでかい。プライベートでも趣味はフェンシングにサーフィン、野球にバスケットにゴルフにランニングにカラオケ(笑)と、もう「ザ・体育会系」。ニューヨーク大学時代はフェンシング部のキャプテンで、オリンピックの選考メンバーに入っていたというのだから、ホンモノである。

 そんなわけで大学時代は部活で忙しかったので、あまり仕事はしていない。ジェイソン・プレストリー(ビハヒルのブランドン)と『カレンダー・ガール』(93)で共演したくらい。大学時代は、といったのは彼には有名な子役時代があるからだ。その映画を観てる・観てないは別にしても、あなたも多分、その映画のポスターで彼の写真くらいは目にしているはず。

 彼がどんな子役だったかって? もちろん「でかい」子役でしたよ。あの体格の良さから想像して下さい、「肥満児」といってもいい。ロブ・ライナーの『スタンド・バイ・ミー』(86)に出ていた‥「ええー!」そう!あの「デブのヴァーン」が大きくなった姿がジェリー・オコネルなのだった。

 リバー・フェニックスのその後の快進撃がすごかったため、みんなあのデブの男の子がその後どうなったか、ということなんか気にしてなかったと思う。他の二人、コリー・フェルドマンとウィル・ウィートンもアイドル的な展開をしたが、ジェリー・オコネルだけは「汚れ」担当ということで、ただ忘れられていた。

 ところが。大きくなったら「デブ」は「イケてる体育会系」になっていたのだ。リバーが死亡、他の二人が消えてしまった今となっては、彼が『スタンド・バイ・ミー』のメインキャスト唯一の生き残り組、しかも出世頭ということになる。驚きの逆転劇。

 映画界への本格的な復帰は『エージェント』(96)。大手の会社から独立して、スポーツ選手のエージェントを続けるトム・クルーズと契約予定の大学の「アメフト選手」(笑)。はまり役である。結局は、父親のボー・ブリッジスの手堅い判断で大手のエージェントと契約することにするが、この生臭い取引に本人はまったく関わってなさそうだった。つうか、そんなことを考えるアタマはなさそうだった。

 同時期に、MTV制作の第1弾映画『ジョーズ・アパートメント』(96)で主役を務めている。大都会に出てきた純情青年が、自分の部屋に住んでいる二万匹のゴキブリ(!)と折り合いをつけて、首尾良くガールフレンドも就職先もゲットするコメディ。

 『待ちきれなくて‥』(98)にも『サブリナ』のメリッサ・ジョン・ハートや、ブレッキン・メイヤー等と並んでゲスト扱いで出演。

 高校の卒業パーティの話だが、彼は「伝説的なアメフト部の先輩」として登場。それしか役がないんかい。「大学に行けばモテモテのはずだから、お堅いガールフレンド(ジェニファー・ラブ・ヒューイット)なんか捨てちまえ」とブイブイ言わせていたアメフト・リーダーのピーター・ファッシネリとパーティ会場の庭で会う。

 「先輩、大学じゃウハウハなんでしょ?」とファッシネリが聞くと、「アメフト部は大学じゃモテないんだ。女どもは医学部や年上のビジネスマンに夢中で、俺達のことなんかバカにして相手にしてくれないのさ」。そう言ってビールを飲んでゲップをするオコネルの姿には、既に中年の哀愁と貫禄が‥。コントロールしないとまた、一気に太るタイプなんだろうな。

 ちなみに、彼の最近のヒットな役は映画ではない。マライア・キャリーが恋敵と映画館のトイレで下品に殴り合いのケンカをする「HeartBreaker」のビデオ。あれで、恋の勝者マライアによく分からないまま引き渡されるボーイフレンド、あの男の子がジェリー・オコネル。

 次回作はブライアン・デ・パルマの新作、『ミッシュン・トゥ・マーズ』(2000)。あのデ・パルマがこんな裏表もないような体育会系オトコをどうやって使うのだろうか。

Back to byplayers intro