JOHN C.RILLEY

女房役はまかせておけ

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・ジェニファー・ジェイソン・リーとアラン・カミングが監督・主演したファミリアな映画『The Anniversary Party』(2001)にはジェーン・アダムスと夫婦の役で参加。監督コンビのためにカンヌへと駆けつけた。

・スコセッシ監督の『Gangs of New York 』(2001)にギャング役の一人で出演

・ ジェニファー・アニストン主演の『The Good Girl』(2002)に出演


 1965年生まれと知って驚いた。この人、まだ若いのである。そういえば、マーク・ウォルヴァーグ演じるダーク・ディグラーの相棒役を演じて注目を集めた『ブギーナイツ』(1997)の時は、まだ若造の顔をしていたような気がする。ポルノ男優だがマジックが大好きで、余興でちょこちょこ小さな手品をやってみせる。最後には夢を叶えてマジシャンとしてナイトクラブのステージに立っていた。

 しかしこの時も、マーク・ウォルヴァーグの相方というよりも、「世話係」といっていいような役回りで、ウォルヴァーグがバート・レイノルズと決裂してからも歌手としてのデモテープ作りに奔走してやったりと、まるでマネージャーのようだった。

 『25年目のキス』(1999)では、シカゴ新聞社におけるドリュー・バリモアの上司の役で、もはやあんちゃんではなく、経験を積んだ堂々たる中年男だった。化けさせて高校に潜入させたドリューを叱咤しつつも、実は心配している。本当にサム・ライミ作品?の『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』(1999)では、盛りを過ぎた名ピッチャー、ケヴィン・コスナーのキャッチャーでまさに女房役。そういう役がよく似合う懐の深さがある。

 しかし彼もデビュー当時はまだギラギラと脂ぎった若者だった。舞台出身で映画進出はブライアン・デ・パルマのヴェトナムもの『カジュアリティーズ』(1989)。戦争下でのレイプ事件を扱ったショッキングな映画で、主演はマイケル・J・フォックスだった。大卒でインテリの彼の配属先の隊長がショーン・ペンで、同僚がジョン・C・ライリーとジョン・レグイザモだなんて、イヤだなあそんな部隊(笑)。彼は嬉々としてベトナム少女のレイプに加担していた。

 ショーン・ペンとは仲間なのだろうか?『俺達は天使じゃない』(1989)にも、小さな役で出ている。ショーン・ペンとの一番最近の共演作は、テレンス・マリックの詩的な戦争映画『シン・レッド・ライン』(1998)。錚々たる面々が「ギャラなしでも出たい」と言っていたこの映画のオーディションに彼は受かったわけだ。ガダルカナル島の決戦における兵士の一人で、ショーン・ペンとは今度は対等な同僚の役だった。皮肉がりながらもどこかでナイーヴさを失わないペンに、「俺はもう死んでいく若い奴を見てもどうとも思わない」と話す。ペンは彼の心の麻痺した様に「至福の境地だな」と答えた。

 『マグノリア』(1999)で共演した(といっても、絡むシーンはない)トム・クルーズとは、実は『デイズ・オブ・サンダー』(1990)で顔合わせしている。トムのライバルのレーサーの役だとか。

 ジャック・ニコルソンの子分を演じた『ホッファ』(1992)、ケヴィン・ベーコンと共にメリル・ストリープ親子を襲う『激流』(1994)等、出演作は多いが気になるのは、ラッセル・ハイムの『ギルバート・グレイプ』(1993)だ。大好きな映画だけど、ライリーがどこに出ていたかどうしても思い出せない。メインキャストだというのだが。いつもなら古本屋でパンフレットを購入して確認するのだけれど、この映画ばかりはそうもいかない。ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオ共演ということがパンフレットの値を吊り上げ、今や二万円近いプレミアがついているからである。パンフなのに! ライリーがどんな役で出ていたか覚えている方は、是非私にご一報を!

 ポール・トーマス・アンダーソンの監督作品には、デビュー作の『ハード・エイト』(1996)から欠かさずに出演している。アンダーソンの「女房役」ともいえるかもしれない。『マグノリア』では、メローラ・ウォルターズが演じるコカイン中毒の娘に惹かれる心優しい警官を演じていた。ラストには、それまで均等に描かれていたメインキャスト12名から抜け出して、事実上の主役として物語の幕を閉める。アンダーソンがジョン・C・ライリーという役者に自己を投影したのである。それをしっかり受け止めて、素晴らしい演技をフィルムに残した。

 他の出演作に『ジョージア』(1995)『ナイトウォッチ』(1997)等。ブロードウェイの舞台でも活躍している。

・『ギルバート・グレイプ』の彼の出演シーンについて、読者の方からご指摘いただきました。ジョニー・デップの親友役で、もう一人の友達と一緒にデップの家を直したり、バーガー・キングで働いたりしていたそうです。どうもありがとうございます。

・もうすぐ日本でも公開予定の『パーフェクト・ストーム』でも頼もしいところを見せてくれるとか。

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