Mondo


SWICH-ON BACHARACH / CHRISTOPHER SCOTT

あの、ムーグブームっていうのは一体何だったんでしょうね。イージー・リスニングのレコードにとんでもない値つけて。今値崩れ激しいですよね。値が底を迎えたら、このアルバムもお薦めしときます。(もちろん私は安く買った)

 「猫ふんじゃった」みたいな「何かいいことないか子猫チャン」はなごめます。驚いたのは「アルフィー」で、柔らかな音色で奏でられるこの曲は「近未来っぽいアイテム」であるムーグの別の魅力を教えてくれます。駅ビルの待合い場所向き。



BACHARACH FOR THE LADIES / MUSIC MINUS ONE GIRL SINGERS

 一部では有名なバカラックのカラオケアルバム。

 主旋律はまったく取っていないので、プロの歌手と同じ条件でバカラックが歌えます。歌おうとしても歌えませんよ、難しくって。ディオンヌを一瞬リスペクトしましたね。

 「覚えやすいけど素人には歌えない」B.Bの曲の奥深さを思い知らされるレコード。さあみんなもチャレンジ! 学園祭の打ち上げの席向き。



BACHARACH BAROQUE / THE 18TH CENTURY CORPORATION

 バロックのアレンジでバカラック。不自然でも何でもないところが恐ろしい。

 これは、ジョン・ゾーンが去年出したバカラックのトリビュートアルバムを聞いても感じたことだが、弦楽四重奏に異様にシフトしやすいんですよ、バカラックの曲って。チェンバロとも相性がいいし。クラシックの教育をうけた人の強みみたいなものを感じます。何ともノーブル。理数系の試験がある日の朝食のテーブル向き




NON-STOP BACHARACH/The Sunset Festival Orchestra (Liberty)

 ビーチボーイズにギディアパークがあるごとく! やはり存在しましたバカラックのメドレーもの。私が持っている東芝の日本盤は無責任にリバティのマークを出していますが、原盤は英国UAです。やっぱりイギリス人はこの企画が好きなのか

 裏表8曲ずつをつなぎ目なしにカバー。でもただの企画ものと思いきや、バカラックの曲の転調感をそのままつなぎに使ったり、ブリッジに工夫を凝らしたりしていて侮れないセンスもあります。

 何よりも、こんなレコードでも難なく1枚通して聞けてしまうB.Bの音楽の偉大さ、というのが今回のオチかな。









TOME CLAY'S WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE (Moest)

 「同盟とは何か?」「防衛とは何か?」という大人の質問に、「分からなーい」と答える子供の声のバックに流れる「世界は愛を求めている」。差し込まれてはカットアップされる、ベトナム反戦のデモや銃声、ケネディ暗殺のニュースにキング牧師の演説の声といったSE。だめ押しで唐突に「アブラハム・マーティン・アンド・ジョン」のサビが女性コーラスで入ったりして。

 おお、『Mash』といい、『メディアはマッサージ』といい、ベトナム反戦期にはコラージュものの傑作が多いな、と思っていたら、何とびっくり71年8月14日付けビルボードで7位のスマッシュ・ヒットなのでした。

 トム・クレイはもともとカリフォルニアでDJをやっていた人でしたが、気まぐれで作ったこの曲をラジオで流したところ、当時のモータウンの代表の耳にとまりレコードデビューすることに。そんな訳でジーン・ペイジの手堅いアレンジによるバックで語る語る。自分の子供にさえ歌わせる。弛緩した子供落書きイラストジャケも素晴らしいです。






THE LOTUS PLACE/Alan Lober Orchestra (Big Beat)

 ラビ・シャンカール関係等、最近シタール・ロックものの再発が相次いでいますが、これは60年代末に作られたシタール・イージー・リスニングもの。その後モンスーンまで脈々と受け継がれる、「イギリス人が誤解するインドのエキゾチズム」がぷんぷん匂います。もちろん「サージェントペパーズ」のカバーあり。

 バカラックからは「恋の面影」をチョイス。この曲のオリジナルの特徴の一つに、「ボーカルが終わった後に名残を惜しむかのごとくリプレイされて、おあずけを食わすようにあっという間 フェイドアウトするホーンによる主旋律」があります。

 このアルバムのカバーはそこのところを最大限に利用。なんと肝心のメロディを奏でるのがギター。じらしにじらして、やっとシタールに主役をゆずったと思ったらあっという間にフェイドアウトしてしまうのですから、ベッドでの駆け引きが上手な悪女みたいです。カーマ・スートラの教えがこんなところまで活きていようとは!(だからそれは間違えたインド観だって)

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