試写会備忘録 

デュエット
・ブラピ&グイネスで流れたカラオケ群像激。カラオケ・コンテスト荒らしの流れ者の父親とストリッパーの娘の和解、仕事のパートナーに奥さんを寝取られたタクシー運転手とやはりカラオケ・コンテスト荒らしの流れ者の女の邂逅、人生に行き詰まったビジネスマンと脱獄犯の逃避行といったものを音楽を散りばめながら。

・私が大ひいきのジアマッティが事実上の主役で驚く。彼が歌う「ハロー・イッツ・ミー」に涙。グイネスの「ベティ・デイビスの瞳」激ウマなんで驚き。他の皆さんも全員お上手です。

・でも私が期待してたのはむしろフェリーニの『ジンジャーとフレッド』なんですけれどー。変なキャラクター大集合の歌うサーカス。それと、私だったら唯一のナチュラル音痴のスコット・スピードマンに最後歌わせます。彼だけ「歌による魂の解放」がないのは中途半端でおかしいでしょ。

・カラオケって上手い下手を競うよりも、ただ歌って気持ちよくなるもんだから、それでいいんだよというオチがあっても良かった気が。

・それでも行く先々でマイル・カードにこだわり続けるジアマッティは可笑しいし、今後これだけ彼がフューチャリングされる映画があるかどうかも謎なので、貴重な主演作としてファンには観に行くことをお勧めします。

スーベニール→マイル・カード

リファランス→『のど自慢』

アメリカン・ナイトメア

・60年代から70年代。アメリカ不安の時代を最も鮮やかに切り取ったのは、インディー・ホラーでした。というのか、その頃は現実の方がホラーだったので、元ネタには事欠かなかったのでした。というドキュメンタリー。

・ベトナムの処刑シーンと映画がシンクロするところとか、キャッチーで魅力的だとは思うけれど、元の映画の方を見ていないのでどこまでが後付で、どこからが本当の影響なのか分からないという辛さは観客としての私の都合。スプラッタ、だめなんです‥。

・例えばクローネンバーグとフリー・セックスの恐怖というお題を出されても、「あの人はぶよぶよしたゴムの感触のフェチだっていうだけでは!?」みたいな素朴な感想しか寄せられなくてごめんなさい。あと、ジョン・ランディスがすごくナチュラル・ハイな人でおかしかった。

・「夢のアメリカの崩壊」「最も恐ろしいのは化け物ではなく人間」そしてそれから、現実の方がホラーどころかとんでもないことになっているアメリカではホラー映画はどこに行くのか。もしかしたらすっごく牧歌的なお化け屋敷的なとこに戻っていくのかも。でも私がホラー映画の本気のファンだったらもっと別のことを色々と考えるのだろうな。だから、元ネタ映画のファンに観に行くことをお勧めします。
スーベニール→チェインソー

リファランス→『セルロイド・クローゼット』

恋する遺伝子

・どんな女優も一度はやらなきゃいけないと思っている「都会派キャリア・ウーマンのロマンティック・コメディ」にアシュレイ・ジャドが挑戦の巻。

・ニューヨークのキー局人気トークショウのディレクターで三十代美人シングル、親友はグチっぽい編集者のマリサ・トメイで、「どこかにいい男がいないかしらー?」で、グレック・キニアが登場。案の定「本当はイヤな男」で同棲直前に別れたはずの彼女と元サヤ。住むところも失ったジャドは、イヤイヤながらプレイボーイの(もちろんその下にはかつての恋愛に傷ついたナイーヴなハートが眠っている)ナイス・バディなヒュー・ジャックマンと、本当にイヤイヤながらなのか?というような同居へ。

・自己啓発本と『コスモポリタン』しか読まない三十代シングルらしく、「牛は一度やった雌牛とは決してやらない」という記事を見つけたジャドは、偽博士の名前でコラムを発表、それが大評判に。でも待って、グレック・キニアは元彼女のところに戻ったのだから、この法則は当てはまらないのでは?

・ヒュー・ジャックマンという人はどうにもカウボーイか狼男しか似合わないようなルックスで、『ソードフィッシュ』のハッカーとか、この映画のテレビ局勤務とかは座りが悪いのですけれども、多くの女性があの胸板にうっとりするのは分かる、私自身の好みじゃないけれど。

・ジャドも「決してOLの地平からは浮かないで、それでいてかつファンタジーを見せてくれるような値段設定やや高めニューヨーク・ブランドを上手に着回し」っていうキャラにど真ん中で当たる人ではない。そういう訳でちょっとずつ狙いが外れている惜しい映画。

・でもアシュレイ・ジャドはきれいだなーって思う。三十二歳だけれど非常にフレッシュで、大らかな魅力で。確かサルマ・ハエックの方の『フリーダ・カーロ』でリベラと不倫する女を演じるのが決まっているはず。メキシコの民族衣装と三つ編み、赤い口紅が似合いそうな華やかな口元。

・「恋の法則」や占いや女性誌のこうしたら男子にモテる!って記事に振り回され気味なあなたに、是非観ることをお勧めします。

スーベニール→性感帯チェックシート

リファランス→『恋人たちの予感』

トゥーム・レイダー

・華はあるけれど使い勝手は悪いアンジェリーナ・ジョリーがゲーム・ヒロインに挑戦の巻。

・私はゲームと漫画、アニメには無知なので元ネタにどれだけ忠実とか、そういった話は避ける。でも本当はお嬢様なのに、飛行機墜落事故に遭ったスイスの全寮制女学校生徒唯一の生き残りっていう設定からして、ジョリ姐さん向きだよね。

・そんな訳でこれはただただ、あの太股とくちびるを観て楽しむ映画。不敵な投げキッスや犬ぞりで脱出する時の高笑い、何の意味があるのかまったく分からない就寝前のワイヤー・バレエに姐さんのダークな魅力がさくれつ。個人的には、敵に奇襲をかけられた時に、事も無げにこきって首を鳴らすところがよかった。

・監督はサイモン・ウェストなんで、映画自体は乱暴な出来です。

・メカニック担当のノア・テイラーがせめてジェイミー・ケネディであったらとは思う。

・もうデジロックを大音量でガンガンかけて、「押し倒したい」よりは「投げ飛ばされたい」希有な美女のアクションを楽しみたい人には、是非観ることをお勧めします。

スーベニール→天球儀

リファランス→『インディ・ジョーンズ』

Rock you!

・ライジング・スターであるヒース・レッジャーをいかにかっこよく見せるか、ということに重点がおかれた映画。答はロック・クラシック・ミーツ・グラディエイター。でも、馬上槍試合ではルックスが見えないんですけれど!と思ったら、案の定ラストは鎧を外して敵に向かっていくのね。

・平民の息子が騎士を騙ってトーナメントに出場して、お姫様もゲット。応援するボンクラ従者三人とみんな味があります。特に、後に作家として名をなすチョーサーの若かりし日を演じた、ポール・ベタニーはノリがいい。

・高慢なお姫様とのロマンスと見せかけて、メカニック担当の可憐なローラ・フレイザーと最後には結ばれるんだよね!と思っていたら、ラブが絡まず終わっちゃうんでビックリ。『プリティ・イン・ピンク』パターン。

・「騎士物語をこんなふざけた、若者をパーにするような映画にしやがって!」なんて言ってはいけない。だって子供達は大人が眉をひそめることが元来大好きなのだから。

・でもヒースが一番かっこいいのは『恋のから騒ぎ』で、ブラバンたずさえてジュリア・スタイルズに「君の瞳に恋してる」を歌う時だよね。

・そんな訳でヒース・レジャーが好きな人には観に行くことをお勧めします。

スーベニール→ナイキ・グッズ

リファランス→『プリティ・イン・ピンク』

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