試写会備忘録
・移動遊園地のバンパー・カーのコーナーを受け持つフェリックスは、ある日悲しげな瞳の女ローラと出会う。恋に落ちて一緒に暮らすようになっても、ローラにはあまりに謎が多い。彼女を執拗につけ回す男を殺すように、ローラはフェリックスに命令するのだが‥。 ・私はルコント嫌いではないのですが、ここ数作足が遠ざかっていたのも確か。えーと、彼はいつからこんな芸風になってしまったのですか?「地に足がついていない」ヴェンダーズの『ミリオンダラー・ホテル』&「本国でいかに人気が高かろうとただだっさいオヤジにしか見えないヨーロピアン・ロッカーがストーカー役で登場」というオリヴェイラ『クレーヴの奥方』現象を起こしているんですけれど。 ・移動遊園地のわびしい華やかさをとらえたカメラはそれなりに魅力的だけれど、バイプレーター・カム使っているシーンは明らかに全体から浮いている。音楽と映像のセンスはブレない人だという印象があったんだけどなー。 ・そして「ファム・ファタールではなくそのワナビー」という役は、従来のシャルロット・ファンにはそれなりにツボなのかもしれないけれど、ああもう30歳なのにいい加減にしろ!とは言いたくなります。非常に評判が悪い『Love etc.』を「シャルロット・ゲンズブールによる『いつも二人で』」だと考えている人間として、あの作品で今までの自分にきれいに幕引きしたんだと思っていただけに。ある種の女性はまた大人になる口実を失ったわけです。 ・もしこの映画に感情移入するとしたら、「実生活ではヒロインになれないんだから夢見がちに他人を巻き込んでも許してけろ」っていう「連帯意識としてのはぐれっこ体質」?もうそういうのはいい加減しましょうよ。たとえ本当に不幸だったとしても、いじけている内はモブであってヒロインにはなれません! ・そうはいっても、彼女の旧作からの引用もあって、ファンにとっては嬉しい映画。いまだに毎年ボーダー・シャツを新調してしまうあなたに、観に行くことをお勧めします。 スーベニール→移動遊園地用カートン リファランス→『なまいきシャルロット』 |
この映画に関しては、『プレミア』2月号にレビューを書いたので、そちらを参照。それにしても、韓国は美人が多いね。プチ整形が当たり前だから? スーベニール→赤い表紙の日記帳、パック牛乳 リファランス→『死者の学園祭』 |
くわしくはこちらを。ラストにヒロインと社長の目が合う、その一瞬の表情にぐっときます。サイドストーリーの、独立独歩でドラッグ・バイヤーもやるウェイトレスとッボディガードの恋バナのビターなラストもまたよし。映画が終わる頃には、登場人物の全員を好きになっている、滋味がある素敵な大人の映画。 オールド少女漫画風大河浪漫なのに、こんなにこじんまりなのは何故?でも、デップが久々にかっこよかったから許すわ! お金と電話でスパイ大作戦終了。それでいいのかなー。しわしわレッドフォードと使えないブラピより、過激派だったために本国に帰れないビターで大人な赤十字ヒロインと特出のシャーロット・ランプリングが素敵でした。 |
洒落た映画を撮りたかったという意図だけはよく伝わる作品。ブルース・ウィルスとビリー・ボブ・ソーントンの強盗コンビが最後の大仕事前にテレビ・インタビューを受けるところで、二人の帽子がボニー&クライドと同じものになっていたりとか。ケイト・ブランシェットはこの映画みたいに赤毛の方が魅力的。 ジャン・マルク・バールの映画の師匠はラス・フォン・トリアーだ。その時点でこの映画は駄作であることが運命づけられている。デジカメ画像を引き延ばした映像もひどければ、エロール・ブシェーズを三好栄子似のただの出っ歯のブスに、ロザンナ・アークウェットを梅干しババアに撮った手腕もひどい。ところで、何の間違いかこの映画を含むマルクバール監督の三部作全部のヒロインを演じるブシェーズは、彼に弱みでもにぎられているのだろうか。 エイティーズ中国の劇団クロニクル。時代の波にもっとも敏感に感応して変わっていくヒロインの一人が唐突に消えてからの後半、いきなり吸引力を失う。公務員に転じたもう一人のヒロインがラジオの曲にあわせて一人踊る、ああいうモーメントがあればもっとぐっときたと思うのだけれども。 |
主演トリオでは、消防士志望のボンクラに扮したショーン・ウィリアム・スコットが健闘。ジュリアン・ムーアはコメディエンヌとしてはもっとうまいはずなので、演出に問題があるんでしょう。 秘密結社ものと聞いて、ときめいてたんだけどなあ。内輪の犯罪の隠蔽じゃなくて、もっとでっかい陰謀働かせましょうよー。 『キャスパー』そして『Dearフレンズ』でクリスティーナ・リッチの相手役としてデビューした頃は可愛かったデボン・サワ。大人になったらどっちかというとホワイト・トラッシュ顔になってしまった彼の現在のところの代表作といえばエミネムの「スタン」のビデオ・クリップということになりますが、死に神が相手のこのホラー・ムーヴィーもそれなりに面白かったです。 でも、ただ飛行機事故で死んだという理由だけでジョン・デンバーの歌を不吉なもの扱いにするのはいかがなものか。それなら、バディ・ホリーや「ラ・バンバ」そして「スキヤキ」を聞く度に人は死ななければならない。 スーザン・リンチは『フロム・ヘル』の男っぽいレズビアンの娼婦の時の方が柄にあっていたような。ユアンは間違えてもジョイスに見えません。それと古女房との文通セックスで興奮するのはよく分からないにゃー。 |