『ヴァージン・スーサイズ』に納得がいかなかったあなたにお贈りする
「少女達のロマンティックな暴走劇」傑作選・女子の視点編
自殺志願/シルヴィア・プラス
私自身はメンスがどーの、オムツの匂いがどーのと書いてある詩の方にはちっとも興味がないのですが、この自伝的小説は傑作です。ドラブルの『黄金のイエルサレム』の悲劇バージョン。 五十年代、ボストンの成績優秀・前途有望な女子大生が、ファッション雑誌の作文コンクールで入賞したご褒美にニューヨークの華やかなマスコミ生活をプレゼントされて、幸運をつかむどころか逆に自分を見失って追いつめられていく様子を、あくまで瑞々しく・青春小説らしく描いています。 なまじ頭がいいものだから、自分の実力の程を分かっていて甘い夢も見れなくて、どんどん閉塞状態に陥って睡眠薬を飲む主人公は、サリンジャーの「フラニー」の遠い親戚でもあります。 結局は非凡な詩人になったのだからそう嘆くこともなかったのだけれど、「死」という病はシルヴィア・プラスに取り憑いて、彼女は精神錯乱と自殺未遂を繰り返すことになりました。 そして、31歳。「今度は失敗しなかった」
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ソナチネ/ミシュリーヌ・ランクト(1984)
もちろん彼女たちはひどく自分勝手で、二人でいつもヘッドフォンで音楽を聴いて外の世界を閉め出してしまっているくせに、誰かに受け入れて欲しい・見つめていて欲しいと思っている。そのダブルバインドが悲劇を引き起こす訳です。 前フリで二人の少女それぞれの初恋物語が入るのだけれど、「君はキレイだ」と言ってくれたバスの運転手と、家出した先の船に乗っていた言葉が通じない外国人の船員、どちらも中年どころか初老に近い男性だってところが泣かせます。 少女達の死体が発見されずに、そのまま車庫に電車が入っていくラストが悲しかった。少女達のファッション等のカナディアン・フレンチな風俗も可愛くて、女子の皆さんはマストですよ。
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