CASIO BIZX PCX HBX-100J

腕電子手帳

カシオの多機能腕時計 「DATABANK」シリーズ最上位という触れ込みで登場した、 一言で言えば腕電子手帳だったこの時計。

気がついたら、カシオのWWWサイトにあった商品紹介とユーザフォーラムの ページがなくなってます。

わずかに ダウンロードのページだけは残っていて、Extended Systems社の 赤外線シリアルドライバがダウンロードできるようになっています。


ま、ユーザフォーラムのページはカシオからのフォローが入るわけでもなく 八方塞がって不満たらたらのユーザがくだを巻いているだけのところに なってしまっていたので、むべなるかなという感じはしますが……

何でこうなってしまったかというと、Windows95のころにこの時計が出て、 母艦のPCとの接続を赤外線(IrDA)でやる設計になっていたわけなんですが、 当時のWindows95のIrDAドライバは普通のシリアルポートとして 機能するものだったんです。

ところが、Windows98が出てみると、「Microsoft高速赤外線プロトコル」なる レイヤが加わって仮想化され(生の赤外線ポートは完全に隠されてしまった)、 シリアルポートのつもりで触りに行ってもこの新しいレイヤで encapsulateされたものしか赤外線の口からは出てこなくなってしまったため、 生のIrDAを喋るPCXとは通信が成立しなくなってしまったわけです。

シリアルポートに繋ぐ外付けの赤外線ポートならばまだ(なにしろ シリアルポート接続ですから)生のIrDAを喋れるため、カシオとしては 「Windows98以降では外付けアダプタを使うように」などと言っていたわけです。


現在カシオが配布しているExtended Systems社の赤外線シリアルドライバは このMicrosoft高速赤外線プロトコルを置き換えるものです。 恐ろしいことに、C:¥WINDOWS¥OPTIONS¥CABS以下にある Windowsのインストールアーカイブの中まで置き換えてくれるようで、 うまく動かなくてデバイスマネージャから削除しても次から認識されるのは Extended Systems社のドライバです。

なので、「一度インストールすると元に戻りません。」


そういう恐ろしげなドライバなのですが、私はなにしろ持ち歩きノートPCとして このドライバの配布サイトにあるサポート対象機種リスト(これが一向に増える 気配がない)に載っていないCassiopeia Fiva 101を選んでしまったため、 人柱となる決意をしたのでした。

結果、私のFivaとPCXは赤外線で通信ができるようになっています(もちろん、 この事例をもって他人の環境で動くことまで保証するなんてことはできません)。 但し、繋ぐのにちょっとコツが要ります。


ところで、Microsoftはこの「高速赤外線プロトコル」で何をしたかったのでしょうか? 赤外線モニタをアクティブにしておけば見える範囲にいる相手がプリンタだろうと WindowsCEマシンだろうとシームレスに繋がる、とかを考えていたのでしょうか?


カシオにしても、PCXを出してきたような時期はほかにも赤外線接続の小型機器を いくつか出してたんですよね。特にリストカメラなんて目玉商品だったはずです。

Windows98が出てみたら仕様が変わってて泡食ったとは思いますが、 その後例えばUSB接続のモデルを出すなどすぐに方針転換するのなら 「まあ旧機種だし」であきらめもつくのですが、リストカメラなんて形で 引っ張るんだったら、Extended Systems社のドライバでもいいから、 もうちっと責任持って接続性の確保に努力してほしかった。


最近になって、セイコーエプソンから ChronoBit なんてのが出ましたね。 自作プログラムを入れられる辺り、とてもそそられます。 が、電磁誘導結合式の通信アダプタはでかくて不格好です。 このアダプタで充電もできるってエクスキューズがあるにしても、です。 少なくともあのアダプタを持ち歩こうって気の起こる人はなかなかいないでしょう。 そして、ノートパソコンと一緒に持ち歩けないとなると、データの同期が 崩れてしまいますから、結局使えないってことになっちゃうんですよ。 やっぱり赤外線でなくっちゃ(泣)。


References

似たような境遇の人を集めてみましょうか。

それと、当時存在していたページの面影などを。

現存する公式もの。


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