無保証


●10BASE-TケーブルへのRJ-45コネクタ圧接のやりかた

10BASE-Tのコネクタをケーブルに圧接するために専用の圧接工具が
存在します。

この工具は圧接以外にもケーブルを切断したり外装を剥いたりする
ための刃が備わっていますが、これだけで何も考えずにコネクタの
圧接が簡単にできるかというと、実はそうではなくて、次のような
問題があります。

- 圧接工具のケーブルストリッパ部分で外装だけ切り落とすつもり
  が芯線まで切ってしまいやすい(芯線が落ちることは稀だが被覆
  が傷つきやすい)
- 丸いケーブルの端を平らに切り揃えても、芯線を平らに広げると
  端が凸凹してそろわない(揃っていないとコネクタに突っ込んだ
  とき奥まで入らない線が出る)
- 外装と芯線の間が滑べる上に外装が伸び縮みするので、コネクタ
  に突っ込むとき芯線がなかなかコネクタの奥に達しない

それから、難しくはないのですが、素人にはどうにも手間なのが

- 芯線の撚りを5mmくらいほどいて両端で同じ順番に並べる

といったところです。

そこで、あれこれこね回した結果、次の手順を考えました。この手
順で作業すればめったに失敗せずにコネクタの圧接ができるだろう
と思います。

1. まず、ナイフなどを使ってケーブルの外装を2cmほど剥きます。
   圧接工具についているストリッパ部分を使うと端から1cmだけ剥
   けるのですが、買ってあるコネクタに1cmでは短過ぎます。芯線
   を1.5cm残さないと、コネクタにケーブルを突っ込んだとき芯線
   が奥まで届きません。
2. 次に、芯線の撚りを解いてまっすぐにし、規格通りの順番に平
   らに並べます。規格は次の二通りあるようです。

       T-568A    T-568B    RJ-45コネクタのピン番号
       1 白緑    1 白橙       (正面から見た図)
       2 緑      2 橙        +---------------+
       3 白橙    3 白緑      |8 7 6 5 4 3 2 1|
       4 青      4 青	     |               |
       5 白青    5 白青      |   +-------+   |
       6 橙      6 緑        +---+       +---+
       7 白茶    7 白茶          ++-----++
       8 茶      8 茶             +-----+

   単純に撚られていたペア同士が隣合っているわけではない点に
   注意して下さい。ペアは1-2, 4-5, 7-8, 3-6です。
3. 芯線がまっすぐ平らに揃ったら、圧接工具の握りに近い部分の
   刃を使って芯線が外装の端から1.5cm残るように芯線を切り落と
   します。このとき芯線の端が長さ方向に対して垂直に揃うよう
   に注意して下さい。
4. 芯線の順番を乱さないように注意しながら、上の図を参考にし
   てコネクタの中へケーブルを挿入します。外装の端から芯線の
   先端まで1.5cm残してあれば、8本全部の芯線がコネクタの奥に
   突き当たるまで楽に入るはずです。コネクタの正面から見たと
   き銅線の切断面が光って見えれば奥まで入っています。横から
   も見て、茶色と白緑の線が奥まで入っているかどうか確かめて
   下さい。
5. コネクタを圧接工具でくわえます。ちょっときついですが、ちゃ
   んと入るとコネクタの鼻先が工具の面から2mmほど出っぱってい
   るはずです。クリンパーのギザギザの出っぱりがコネクタの金
   色の端子の真上に、平らな出っぱりがコネクタの一番手前のへ
   こみの真上に来ているかどうかも確かめましょう。
6. 圧接工具を握り締めます。「ここまで握ればよい」という印が
   あるわけではないので、とにかく握り締めます。握りに一番近
   い刃がくっつくまではいかないでしょうけど、間隔1mmぐらいま
   では握れるはずです。
7. 気が済んだら圧接工具からコネクタを離します。コネクタの横
   から見て、端子の先端の歯がちゃんと芯線にめりこんでいるか
   どうか確かめましょう。
8. ケーブルの両端にコネクタがついたら、両端のコネクタを並べ
   て、芯線の色の順番が両端で同じかどうかをもう一度確かめま
   す。ケーブルチェッカがあればここでそれを使いますが、ない
   ので、目視で確認できたら、できたケーブルでHUBと適当な機器
   を繋いでみて、パケットが通るかどうか確かめましょう。動い
   たら出来上がりです。

これで、最初に挙げた問題点もほぼ解決できた気がします。但し、
我流なのであまり手際のいいやり方とも思えません(コネクタ一つ
圧接するのに5分くらいかかる)し、ひょっとしたらこのやりかたで
は十分な品質が得られないかも知れません(その場合、パケットの
通り方が不安定で時々落ちやすくなるような症状を示すでしょう)。

一応、ここに示したやり方で数本作ったケーブルは正常に動いてい
るように見えます。ケーブルチェッカを使ったわけではないので厳
密ではありませんが。

電線屋さんのWWWサイトなんか見るとケーブル圧接を含む講習会っ
てのがあって、受講料が57000円もします(教材の道具を持ち帰ると
10万円になる!)。せめて電話工事の教科書くらい見た方がもっとま
しなやり方が見つかるかも知れません。

それから、次のことにも留意した方がいいでしょう。

- 歩留まり(^^;を考慮してコネクタを多めに購入
- 圧接がちゃんとできたかチェックするためのケーブルチェッカを
  用意しておく
- 電話工事の経験のある人がいたらこつを聞く


Copyright (C) 1998 by MIURA Toshitaka
All rights reserved.

last update: $Date: 2001/01/22 17:51:45 $