埼玉県「穴場」地帯をゆく

もっと穴場!


巖窟ホテル

 地元の農民・高橋峰吉氏が1904(明治37)年から始めた事業。岩壁を次々と掘り進め、最終的には岩の内部に3階建ての邸宅を「子孫三代に渡り150年かけて完成させる」計画であった。ただ穴を掘るだけではなく、棚の上の花瓶や違い棚なども全部作り付けで岩盤から掘るという凝ったものだったそうだ。
 この巖窟は、宿泊施設を意図して造られたものではなく、高橋氏が巖窟を掘っているのを見た人々が「巖窟掘ってる」と言ったのが転じて、いつの間にか「巖窟ホテル」に変わってしまったのだという。高橋氏は1925(大正14)年に亡くなったが、故人の意志は2代目に引き継がれ、昭和40年代ぐらいまでは掘られていた。80年代に入って2度の落盤が起き、87年に2代目が亡くなったこともあって、巖窟ホテルは閉鎖。
 現在は、見学はできず、柵の外から眺めるだけ。朽ちた窓枠や、ブランコ、シーソーなどの錆びた遊具が哀愁を誘う。吉見百穴より徒歩5分。


岩室観音堂

 大きな岩山に挟まれたあたかも岩穴のような所に建っている観音堂。奉っている観音像も岩を削って造ったもの。
 付近にある松山城(現在は城跡のみ)の城主が代々信仰護持していた。吉見百穴より徒歩3分。


黒岩横穴墓群

 吉見百穴の北東2.5kmのところにある人造湖八丁湖の北岸にある横穴墓群。1877(明治10)年、地元の郷土史家によって発掘された。
 現在は生い茂る木々に埋もれて50基ほどが見えるだけだが、穴の推定数は500〜700程度あると見られ、完全発掘されれば、吉見百穴を凌駕することは間違いない。東松山駅よりバス25分「上細谷」下車後徒歩20分。


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