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シリーズ No.003 |
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「ヘリコでGO ! 」 〜PCフライトシミュレータ体験記〜 | ||
(Japanese Text Only) |
「電車でGO!」というゲームソフトがある。 いわゆる電車のシミュレータ(模擬運転)である。しかし我々の世界ではシミュレータといえばフライトシミュレータ。だがPC(パソコン)上で動くヘリのシミュレータソフトというものは殆どない。 (以下フライトシミュレータをFSと略す。) 現在、ヘリのFSができるものに某M社のソフトがある。これはベル206ジェットレンジャーで操縦訓練できるのだが、既に日本在籍のジェットレンジャーを全て潰してしまったと豪語している友人が居る。つまり100回以上墜落した。ということである。彼は固定翼ライセンスを持っているのにこの成績。それ程FSは難しいのだ。 FSはIBM-PCの流れを引いており、殆どがDOS/V,Windows版である。Macintosh版は皆無に等い。 Mac党の私は指をくわえて眺めている以外なかった。 しかし、本屋で偶然手にしたFS関連図書の中にヘリのFSがあることを発見した。調べてみるとWindowsでもMacでも動作し、何とシコルスキーS-76でフライト出来るらしい。 これは某M社のFSよりもリアルで、しかも機体を自由に選ぶことが出来、小はR22から大はAS332Lまで、最新機種A109E Power,EC135など殆どの機種がホームページからダウンロード出来るという。 これは調査せねば。私の胸は高鳴った。 |
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ブラックホークダウン?! 数日後取り扱い店を探り出し、早速電話連絡。「機体はS-76、場所は民間飛行場、この条件でデモを見せて欲しい」とこちらの希望をはっきりと伝え、1時間後に行くと約束。 某店へと調査に向かった。 しかし着いてみると話が通っていない。 該当機種が見つからなかったとかで、用意されていたシナリオは「どこかの砂漠、機体の判別も出来ないほど薄暗い夕暮れ、しかも悪天候」、と見事な”好条件”。何の為にわざわざ電話しておいたのか分からない。 最初に店の方が調整に入る。私は黙って後ろから見ている。 画面が立ち上がり、最初に使用機種を聞いてくる。 S-76はなかったのでUH-60Aブラックホークを選択、同じシコルスキーだから、まっいいか? …と、なまずのような滑らかな機体が表示される。「おおっ!」 各種設定、離陸、何も操作しないと旋転、傾き、やがて墜落。航空力学にかなっている。かなりリアルだ。 しかし店の方は苦労している。飛ばしては落ち、飛ばしては落ち、いつになったら代わってくれるのやら、やきもき。その内「なるほど…」と一言。PCの電源を切り終了してしまった。 (こらっ!アンタが楽しんでどーすんじゃい!)と思い、たまらず声を掛ける。 「あのー、私にもやらせていただけますでしょうか?」 「も、勿論です。でも設定がまだ出来なくて、もう少し待って下さい。」と店の方。 なるほど、そういうことかと理解したが、私に番が回ってきたのは入店後30分後であった・・ 遂に順番が来て席につく、中央にはサイクリックスティック、左手にはコレクティブピッチレバーの替わりにスロットルレバー、足下にはラダーペダルがある。もちろん本物ではなくジョイスティック(FS用の周辺機器)だが、かなり本格的だ。正面には計器パネルまである。しかし高そうだ。 店の方に聞いてみる。 「これ、キーボードでも操作できます?」 すると、その方はまるで宇宙人を見たような顔をして私を見ると一喝。 「ジョイスティックを持っていない人はFSをやりません!。」 |
![]() あわれ、真逆さまに地上へ |
「結構金が掛かるんだな…」と思いながらも気を取り直して、コレクティブをゆっくり引き上げる(手前に引く)。エンジン音が高まり上昇、とたんに尾輪が滑走路の路面をこするキュッという音が出て慌てる。機首を上げすぎた。サイクリックを前に倒す。機体が前に傾き尾輪が滑走路から離れると途端に右旋転が始まる。 すかさず左ラダー(ペダル)を踏む、しかし旋転は止まらない。ビューは外見モード(機体の姿勢が外から見えるモード)になっている。 なまずのような機体はこちらの意に反してゆっくりと機首をこちらへめぐらす。 「こらっ!こっちを向くな!」 機体のお尻を見ている状態では何とか操縦できるのだが、これがクルリと180度回転、こちらに機首を向けられるとスティック操作は左右逆になる。ラジコンヘリを飛ばす方はこうやって飛ばすことに慣れているが私はそうではない。しかしまだ右旋転しているのだから左を踏めば旋転は止まるはずである。 さらに左ラダーを踏み込む、もう姿勢は完全に崩れ、といっても機体ではない、自分の方である。 イスからすべり落ちるほど腰を前に出し、左足は"つる"ほど突っ張っている。 ブラックホークは右旋転したまま、転覆しようとしている。 「ラダーが効かない?!」 こうなるともういけない。機体は制御不能のままロールを打ち、ローターを激しく地面にぶつけ大破。 「いまのは練習、練習…」気を取り直し、リセットして再度挑戦。 今度は高度を高くとり、リカバリー時間を稼ぐ。が、やはり右旋転、ロール、デングリ返しをしたのち機首を下にしたまま急降下! …やがて、クラッシュ音。あわれブラックホークはペッタンコ。 「こんな、馬鹿な…」店の方に再度尋ねる。 「あのーこれ、ラダー効いてます?」 「え、ラダーですか?ちょっと見てみましょう。あっ効いてませんでした。」 「……どうりで!」 しかし、3回目もダメ。4回目も・・かなり難しい。 こうなると増安定装置(SAS)の力を借りるしかない。 「じゃ、SAS(増安定装置)をONの設定で御願いします。これ、SASを入れたモードでもフライト出来るって本に書いてありましたが・・」 店の方にお願いすると意外なお返事。 「あのーSASって何でしょう?私、ヘリには詳しくないもんで…」 「こりゃ、ダメだ!!」 …こうして、10機程のブラックホークを大破し、訓練は終了となった。 ※ ※ 誤解のないように断っておくがこのFS、実に素晴らしくおすすめのソフトである。 店の方も親切でにこやかに対応して下さった。ただ、準備が足りずヘリは詳しくなかっただけなのだ。 また、あとで分かったことだがやはりラダーの設定がうまくされておらず、しかもレベルが最上級者モードになっていた。私の腕が悪かったわけではない(?)と分り、ホっとした次第である。 だが、話はこれで終わりではない。 このFSのデモ版を入手することが出来たのである。その続きは次回、お楽しみに 1999/4/3 |
![]() ブラックホークダウン!! 上記2枚は本FSではなく MSFS2004の画像です |
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