消防・防災ヘリのEMS活用広がる

◇防災ヘリ、臓器搬送に活躍。


JA6759 シコルスキーS-76B 高知県消防防災ヘリ「りょうま」

 2月28日、臓器移植法制定後初の脳死患者からの臓器移植が行われた。
脳死判定を受けたのは高知に入院中の女性で、心臓は大阪、肝臓は長野でそれぞれ移植を受ける。しかし臓器、特に心臓は摘出後4時間以内に移植をしないと組織が壊れ始める。まさに時間との勝負、その為日本臓器移植ネットワークがヘリを手配、この重要任務に白羽の矢が立てられたのが高知県消防防災ヘリコプターS-76B「りょうま」である。これを受け高知県は臓器輸送に備え、前日27日から高知空港に「りょうま」を待機させた。

 28日10時30分、大阪大学付属病院の心臓移植チームが全日空の定期便で大阪空港から高知へ、一方10時15分、信州大付属病院の肝臓移植チーム7名が長野県松本市から長野県消防防災ヘリ、ベル412EP「アルプス」に乗り込み名古屋空港経由で現地へ急行した。


JA97NA ベル412EP 長野県消防防災ヘリ「アルプス」

 同日15時7分手術開始。17時19分、摘出された心臓が高知赤十字病院を出発。四輪駆動車で高知空港へ運ばれ空港でヘリに積みかえられた。17時40分「りょうま」はすぐさま離陸し大阪まで夜間フライトを敢行、18時30分、大坂空港に着陸。わずか50分で両空港を結んだ。その後空港からは再び車で運ばれ18時52分、無事大阪大学付属病院へ到着した。
こうしてヘリは有効利用され命のリレー、トータル93分というスピード搬送を成功させた。

1999/3/3

特集「EMSに関する緊急提言」に続く


◇川崎消防局、ヘリによる患者搬送の態勢整う

 川崎消防局は2機の川崎BK117B-2(そよかぜ1,2号)を運用している。
今まで着陸する場所が限られていたため、患者搬送は出来なかったが、この度新たに30カ所の着陸場所を整備、重傷の患者に関してはヘリで病院に搬送する態勢が整った。今後は空飛ぶ救急車としての活躍が期待される。

(1999/3/3 NHK 7時のニュースより)

1999/3/3


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