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第2回緊急消防援助隊全国合同訓練実施

 

 大規模かつ広域的な災害が発生したとの想定により、緊急消防援助隊の全国規模の第2回合同訓練が2000年10月23、24日に東京江東区の有明を会場として行われ、計17機の消防防災ヘリが参加した。


左から 岡山市、横浜市、東京消防庁、神戸市、千葉市、名古屋市の消防・防災ヘリ


左から 群馬県、川崎市、仙台市、岡山市の消防・防災ヘリ

 今回の訓練は、緊急消防援助隊の発足から5年を経過したことを機に、隊の活動体制の再検証、部隊の拡充などを目的に実施されたもので、北海道から沖縄までの約200隊1、200人が参加、これに17機のヘリコプターが加わり、救出救護技術などを披露した。

 緊急消防援助隊は阪神、淡路大震災の教訓等を踏まえ、地震などの大規模災 害発生時における救助活動等をより効果的かつ迅速に実施する為、広域応援の 仕組みとして平成7年度に発足。
その後平成8年12月の長野・新潟県境付近の土石流災害、
平成12年3月の 有珠山火災災害などの他、
最近では10月の鳥取県西部地震に於いて出動、大きな効果を上げている。

  今回の拡充はかなり大規模なもので、消防部隊については
従来の「被災地の近隣都道府県域の部隊を出動させる体制」から、
「消防庁長官の出動要請により、全国から被災地に短時間で大量の部隊を出動させる体制」に変更。

  さらに現在の1,267隊(隊員数約17,000名)体制を、
1,739隊 (隊員数約26,000名)体制に拡充し、
出動態勢及び災害への対応能力の 強化を行うこととなっている。

  特に今回は消防・防災ヘリコプターによる航空部隊が新設されたことが特筆され、
これにより従来ゼロだった航空隊数が一気に58部隊の大部隊として創設、
ヘリによる迅速な全国的規模の救助体制(災害時に全国どこからでも駆 けつける体制)が整ったことになる。 多方面で活躍する消防・防災へりの活動が認められ、ヘリコプターが持つ機動 力や潜在能力、有用性が高く評価された結果といえよう。


 今回参加したのは14団体17機。
訓練の内、23日は集合訓練。 24日は本番というスケジュール。

 あいにく23日は西から天気が崩れ、大雨の為、関西方面の機体は集合を見合わせ、関東近県及び東北方面の機体のみの参加となった。


着陸する仙台市消防局ヘリBK117B2「仙台」 (後方はレインボーブリッジ)


 各機は雨の中そのまま野営となったが24日は晴天となり、早朝から他県の機体も駆けつけた。
中には夜明けと共に飛び立ち、2カ所のヘリポートに寄港し給油を受けて駆けつけた機体もあった。

  当初は鳥取防災も参加の予定であったが10月初めに起きた地震の監視の為、今回は不参加となり、最終的に北は秋田県、南は岡山県(岡山市)までの計17機が参加。 集合した各機は編隊を組んで離陸。救助訓練や、空中消火訓練を披露した。

  その他川崎市消防局のヘリは上空1点にピタリととどまり長時間のホバリングを続け空中 指揮にあたり、消防庁のシュペルピューマも先遣隊の派遣、監視につとめた。


 いざとなれば全国各地から集合、救助や消火に当たる・・・
この訓練には来賓である皇太子殿下をはじめ多くの政府関係者、一般市民などが視察、その様子を見守ったが、 その目には燃えさかるビルの屋上にリペリング降下し逃げ遅れた人を救助したり、編隊を組み次々と空中消火してゆくヘリコプターの姿は非常に頼もしく映ったことだろう。


 訓練終了後、集合した隊員達は、お互いの活動を称え、旧交を暖めると共に新装備の情報交換などにも余念がなく、各県の機体を交互に撮影したり、意見を述べ合う光景も見られた。

 しかし長時間持ち場を離れる訳にはゆかぬ為、昼食もとらずすぐに自分の県へ帰投する遠方の部隊なども多く、なごやかな中にも緊張した様子をうかがうことが出来た。

また実際に緊急コールが入り、急遽山梨県防災ヘリが飛び立つなど、出動要請は確かに多い。


左から 群馬県、川崎市、仙台市、岐阜県の消防・防災ヘリ

 最近、消防防災ヘリは防災だけでなく、救急業務にも活用されている。
今年平成12年2月に出された「救急ヘリコプター出動基準ガイドライン」により出動基準が明確になったことで、出動回数が増え、助かる命は着実に増えている。

 この訓練の4日前の19日にも京都市消防局のヘリが救助を行っている。
京都新聞によれば、男性が岩場で釣り中に転落。 消防のレスキュー隊も作業困難な険しい所で、海上からも高波で近づけないため、同消防局のヘリで吊り上げ13時間ぶりに救出。男性は骨盤や右足などを骨折していたが入院後「生きたいという気持ちだけで夢中で(岩に)よじ登った。救助して下さった方に心から感謝したい」と語ったという。

 神戸市消防局のヘリコプターが高速道路への着陸を敢行、事故で車内に閉じこめられた負傷者を救出し、命を救ったことも記憶に新しい。

 今まで、視察、情報収集が多く阪神大震災の際は十分に活用されず批判の多かったヘリコプターだが、今、空から直接救いの手を差し伸べ、多くの人々の命を救い、皆から感謝される存在となった。

  ヘリコプターは人命を救う。
今回の緊急消防援助隊の航空部隊の創設により全国的規模の体制は整った。
これからが本当の消防防災ヘリコプターの出番である。
願わくば災害など起きては欲しくないが、備えあれば憂いなし、今後の更なる活躍に大いに期待したい。

2000/10/28  初稿掲載
2000/11/05 一部加筆


 以上、記事の作成にあたり消防庁広報資料を参考にさせて頂きました。
また色々ご指導を頂きました自治省消防庁救急救助課の皆様に、この場を借りまして厚く御礼申し上げます。
 


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