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平成13年度緊急消防援助隊九州ブロック合同訓練



 10月3日、佐賀に於いて平成13年度緊急消防援助隊九州ブロック合同訓練が行われた。

 今回の訓練は地震等の大規模災害の発生を予想して、応援要請から部隊集結、野営訓練、実践的な部隊運用訓練を実施し、九州各県の緊急消防援助隊の使命の自覚、一致団結した連携活動の確立と応援及び応援態勢の確立を目的として実施するもので、死傷者約1000人、前半壊家屋約13000軒の大規模災害を想定し、10月2日、及び3日の両日、佐賀県佐賀市嘉瀬町嘉瀬川河川敷をメイン会場として行われた。

 緊急消防援助隊は大規模災害時に県境を超えた救助活動に携わる部隊で、今回の九州ブロックでは九州各県約450人のレスキュー隊員が参加、救助のケースは7項目に分けられ、ヘリコプターを使用した救助、空中消火の他、トンネル崩壊、有毒ガス発生など、熱のこもった訓練が繰り広げられた

 2日午前は応援要請連絡訓練、午後に集結訓練で、その後野営。
ヘリコプターは福岡市消防局のAS3651機が参加、上空を旋回しヘリTV映像伝送などを行った。

  ヘリコプターが本格的に参加したのは3日。
早朝より各機が集合、長崎県が1番目に飛来、以降、福岡市、熊本県、鹿児島県、北九州市と続き、訓練後半には大分県、広島市も加わり計7機の消防防災ヘリコプターの参加となった。
参加機一覧はこちら

  会場は嘉瀬川河川敷で、中央を長崎本線の鉄橋が走り、佐賀駅側から見て右側が訓練会場、左側が駐機場となった。 佐賀は歴史的にも有名だが、近年、国際的なバルーン大会が開かれることでも有名である。
今回の駐機場はまさにその場所を利用したもので、その美しいグリーンの芝生の上にバルーンならぬ各県消防防災ヘリが並び、大会より一月早くカラフルな花を咲かせた。

 10時頃から本格的に訓練が始まり、機体は次々と離陸、長崎本線の鉄橋を越え、会場へアプローチ、実際の現場さながらの大規模な訓練施設を前に、上空偵察、写真投下、座屈ビルホイスト、医師、負傷者等搬送、孤立者ホイスト等を繰り広げ、最後には各機編隊を組んで一列に進入、バケット(大分機はベリータンク)による空中消火を披露した。

  前回(1999年)長崎で行われた同訓練では、航空管制に加え、機体の誘導に若干の混乱が見られ、異機種の対応、どの型の機体が来ても対応できる即応体制、及びそのような各機体に習熟、精通した要員(特に地方自治体の要員)の育成が今後の課題とされた。
今回参加したのは、アエロスパシアルAS365N、川崎BK117、ベル412の3機種であったが、佐賀ではその教訓を踏まえ、緊密な無線連絡と即応体制などスムーズな対応が見られた。

  今回の訓練でのもう一つの話題は、熊本県防災消防航空隊の新鋭機AS365N3「ひばり」の初参加である。

 運航は天草エアライン(AMX)、阿蘇をはじめ、各消防本部の精鋭で構成されており、登録番号はJA15KM、これは肥後熊本(ヒゴクマモト)を意味する。
同隊は7月23日に正式運航を開始したばかりだが、増水した河川に取り残された人を救助する孤立者救助では、ダウンウオッシュで巻き上げられた草がローターの上まで舞い上るなど、現場状況は良くないにもかかわらず、位置をピタリと決め、微動だにしないホバリングをみせ、技術の高さを伺わせた。また佐賀医大の救急搬送などにも参加。これから九州ブロックの頼もしい一員となることを感じさせた。

 訓練後半には県内で実際の火災が発生、アクチュアル(訓練ではなく実出動)となり、一部訓練項目をキャンセルし福岡機が現場に急行するなど緊迫した一幕もあったが、訓練は12:00頃無事に終了。
各機は機体を左右に振り、お別れの挨拶をしながら脊振山(せふりやま)をバックに7機が次々とフライパス、内3機は有明佐賀空港経由でそれぞれのホームベースへと帰って行った。

2001/10/3取材  10/6執筆
取材協力 佐賀広域消防局 消防課


コメント

  現在、九州に於ける消防防災ヘリの未配備県は、佐賀と宮崎県のみとなっている。
今回の佐賀県に於いては地理的には目達原(めたばる)の陸上自衛隊があるので、災害の際は応援を頼めるが、前述の長崎での課題にもあるように、地方自治体に於ける消防防災ヘリの活用と、それに精通した要員の育成が急務である。 今回の訓練により、救助に、消火に、救急搬送に、ヘリコプターが如何に重要な役割を果たすか、その認識が高まったことだろう。
佐賀県には有明佐賀空港という立派な空港もある。
是非、将来、消防防災ヘリの導入を期待したいところだ。


佐賀への誘い

 このページをご覧の皆様は空が好きな人たちばかりでしょう。
記事にもありますように、11月にはこの嘉瀬川河川敷でインターナショナルバルーンフェスタが開かれます。 これは世界中から100機以上が参加、期間中80万人が訪れるアジア一の規模の熱気球大会で、バルーンは早朝から上がり、色とりどりの花を咲かせます。 またバルーンのバーナーの炎で照らし出される夜間係留は「ラ・モンゴルフィエ・ノクチューン」と呼ばれ、幻想的でロマンティックな気分に浸れるといいます。
取材当日は「佐賀バルーン駅」という臨時駅の建設工事が旧ピッチで進められていました。

 佐賀は吉野ヶ里遺跡、佐賀城趾など、歴史的な見所も一杯、温泉も豊富です。
さぁ、皆さんも、この秋は佐賀へお出掛けになってはいかでしょうか



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