岩国フレンドシップデー2017 フライトデモ篇




 地上展示篇に続き、ここではフライトデモについて、主観を交えてレポートする。

 さて、フレンドシップデーだが、4月頃から”北”の脅威が増大、ミサイル実験の頻度も高くなり、米国は牽制のため空母カールビンソンを東シナ海に派遣・・と、きな臭い情勢となっていた。
岩国は”北”から一番近い米軍基地であり、標的になり得る・・こうした理由から一部では開催を危ぶむ声も聞かれていた。「何でこんな時に!」と気をもむ航空ファンも多かったと思う。
筆者もその一人であった訳だが、無事開催され、多くのファンがこの恒例イベントを楽しむことが出来た。

 当初の予報では、曇りと雨だったが、航空ファンの祈りが天に通じたのか当日は奇跡的に天候が回復。
午前中は雲が多かったものの、午後には雲は少なくなり絶好の航空祭日和となった。

 解説は大型航空ショーでもショー・アナウンサーとして活躍しているリック・ピーターソン氏が担当。日本人ナレーターと共に英語、日本語交互にアナウンスされた。
バックミュージックの打楽器の音が鳴り響き、ちょうどディズニーランドのショーが始まるときのような演出で、気分はいやが上にも盛り上がる。

そのショーの口火を切ったのは、ウィスキーパパのExtra300。

ウィスキーパパのExtra300によるアクロバット飛行でショーの幕開けとなった。

 津軽三味線の軽快な音楽に乗って、華麗なフライトが繰り広げられた。
同機は岡南飛行場祭り等でもお馴染だが、会場が広いせいか、よりダイナミックに感じられた。
解説によれば、Extra300はエンジンカウリングが大きく機首が上方を向いており、着陸した後は前が全く見えないという。その為、ラダーを右、左に切り、前方を確認しながらspotへと機を進める。
その姿はまるで「酔っぱらって千鳥足で歩くお父さん」のように見える・・
(それが名前の由来ではないと思うが)Wisky Papaとはうまい名前をつけたもんだ!とちょっと感心した・・



国旗と共にジャンパーが降下。
両国の国歌が流れ、ゆっくりと宙を舞う姿に、何故か目頭が熱くなる・・



 岩国錦帯橋空港に着陸するANAの特別塗装機”東北フラワージェット”
「来たのが特別塗装機でラッキー!」と思った航空ファンも居たと思うが、実は・・これはANAの粋なはからい・・


超低速フライトを披露する海上自衛隊のUS-1A

 海上自衛隊のUS-1Aは高速、低速飛行を披露。
この巨体で低速でゆっくり飛ぶことは非常に難しい。
ゆっくり飛ぶ為には失速を抑えるために逆にエンジンパワーを必要とする。
これはバックサイドの領域と呼ばれ、ヘリコプターもしかり、である。
US-1Aは海上を長時間救難捜索する等、低高度での低速飛行が要求される。
高揚力装置などを備え、それはまた、日本の技術水準の高さを誇るものである。
航空力学を知る者にとっては、この低速フライトは目を見張るものだが、一般客に対しては、その”凄さ”が伝わったかどうか、少々疑問である。この点、もう少し詳しい解説があれば・・と思ってしまった。

 US-1Aは老朽化の為、後継のUS-2に全機交代が決まっている。
この90号機は最後の1機で、フレンドシップデーでのフライトは今回で見納めとなる
レスキューアイボリーとして親しまれた本機、長年の活動に心から”お疲れさま”と言いたい。



ゆっくりとTaxingするMV-22 オスプレイ

 西の方から聞きなれない音が聞こえた。しばらくすると、西から中央へ向かってMV-22がTaxingしてきた。
胴体には00の文字、普天間基地所属のアメリカ海兵隊 第265中型ティルトローター飛行隊“ドラゴンズ”
「EP00」隊長機である。
同機はあの「竜」の文字が描かれた真っ赤な垂直尾翼で有名だが、今回、その尾翼は黒くなり、竜の文字の他に鮮やかな龍の絵が描かれていた。
今年3月頃、新塗装となったようで、昨年はEP06のロービジ塗装の機体だったので、今年はアタリ!と言えるのではないだろうか。


機体はヘリコプターモードで垂直上昇し、高度を上げる。
そのまま時計回りに360度旋転、航空ファンには嬉しいサービスで周囲でシャッター音が鳴り響く











R/Wの西方向へ移動した後、ギアアップし、機速を上げる



 エンジンナセルを前方に傾け、飛行機モードへ移る。
遷移飛行も実にスムーズ、左旋回し海上へ出る。高空に上がると音が静かで驚く。



海上をフライとした後、左旋回、基地西側から進入し、観客の頭上を高速でパス


腹を見せて左旋回・・ある方のブログにあった通り、正に「空飛ぶツチノコ」!である。
しかし、ゆっくりと旋回する姿は、悠然と飛ぶミサゴをも、また思い起こさせる。






最後はホバリングから機首を前傾し、観客に”一礼”してデモ終了。

日本人パイロットはよくやるが、外人がこれをやるとは驚き!礼儀正しい日本人に影響を受けたのだろうか?
”正に日米親善”を垣間見た気がした・・



 さて今回、初めて、オスプレイのフライトを見ることが出来たのだが・・
驚いたのはその静寂性である。
近くで聞くと、その音はヘリコプターというよりはターボプロップの飛行機に似ていて大きいが、一度高空に上がると、殆ど音は聞こえない。マスコミ報道ではよく大騒音などと騒ぎ立てているが、「??」と思ってしまった。

そして、想像と違ったのはプロップローターの回転速度である。
当初は、直径も短いし、あの巨体を支えるには高速回転しているだろうと思い込みシャッタースピードを1/500で撮影していたが、モニターを確認したところ、ブレードが止まって見える。慌てて、シャッタースピードを1/320にして撮影したが、それでも角度によっては止まって見えてしまう。
「体験することに意味がある」というが、正に本当だと身にしみた次第である。

続きは次回・・
2017/7/9 記事改訂
2017/6/18初稿



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