ドクターヘリ救急搬送レポート (3/3)

 

 

 

 

 

 

 

 

 取材を終わって

  今回の搬送との遭遇はまったくの偶然であった。
命が救われる瞬間を間近で見、本当に感慨を覚えた。

  ローターを止め、駐機場に待機するドクターヘリは何の変哲もない鉄の塊のようにも見える。
だが、これがひとたび動き出すと、多大な効果を発揮する。
あれよあれよという間に飛び立ち、頼もしい翼となり患者の元へ急行する。

  今回の場合は先に救急車が到着しており、処置及びヘリへの搬入がスムーズに行われたと聞く。
通常、救急車であれば到着まで30分は掛かるだろう。だがその同じ時間にもう病院におり、しかも既に適切な処理が施されている。 到着後の搬送をよく見ていたがスタッフの動きに一つも無駄がない。
滞留もなくまさにヘリから救急車へ流れるように移送されていた。

  処置が早ければ早いほど救命率は高まる。この処置に掛かるまでの時間をゴールデンアワーと呼び、非常に重要とされる。 このゴールデンアワーを重視した体制。これは素晴らしいことである。
ドクターヘリを特集したTV番組で、ある医師が「医者の出前」という言葉を使っていたが、まさにその通り、いや病院が患者のそばまでやってくるのである。


  この素晴らしいシステムの現場を是非多くの消防、救急、医療関係者に見て欲しいと思っていたところこんなこともあった。

 今回は県内の消防局の特別救助隊の若い隊員数名が同病院で研修を受けており、この搬送現場に居合わせ、真剣な面もちで搬送を見守り、患者を収容した救急車についてセンターへ走って行った。
休憩時間には機体の内部を確認したり、色々と質問をするなど知識を吸収していたが、今回の搬送は貴重な体験となったことだろう。 実際の現場を見ることは書物やVTRにまさる。
この体験を糧にして彼らはまた一歩頼もしく成長するに違いない。


 ドクターヘリは今年度中に7カ所に増え、5年後には30カ所に拡大と言われている。
各地で導入の為の試験も始まり、ヘリポート設計に着手する病院、既に建設中の病院も増えてきた。
これから、第2、第3と導入する病院が増えて行くことだろう。

 また 現在の3社(朝日航洋、中日本航空、カワサキヘリコプタシステム)に加え、新規事業参入の会社も増え、既にドクターヘリ用の機体を発注した会社もある。
今、ドクターヘリは軌道に乗りつつある。

 そんな際に心配されるのが事故だが・・
彼らは「絶対に事故を起こしてはならない。もし起こせば今までの苦労がすべて水泡に帰す。」そのことをよく心得ており、着陸の際にもドアを開け後方確認を怠らない。人命優先でも決して無理はしない。
以上 を徹底している。
さらにここでの状況、問題点は、次に担当する会社(今度は朝日航洋が担当)へも着実に申し送りされ、3社一丸となって安全運航につとめている姿勢が伺われた。
そんな徹底した安全運航をを見ていると事故など単なる危惧にすぎないという感じがした。

ヘリコプターは人命を救う・・
これからもドクターヘリは安全運航で、多くの人々の命を救って行くに違いない。
(終)

2000/12/3 初稿
2000/12/10 記事修正及び画像追加


 

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