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日本のことわざに関する古い資料のうち主要なものは、1980年代から刊行された資料集におおむね収録されていて、図書館などで閲覧することができます。しかし、今日までに刊行された資料集だけで90巻を越え、そのなかには同じ書名の別の文献や類似の書名も多く、アプローチはかならずしも容易ではありません。
ことわざ研究の進展のためには、資料の書誌情報が整理され、必要に応じて検索できるツールが必要と思われますが、いまのところこれらの資料集の収録内容を検索できるものは見当たりません。そこで、実用的に簡便に検索できるツールとして、この「ことわざ資料書誌−−江戸期を中心に−−」(テスト版)を公開することにしました。
このデータの原型は、『故事俗信ことわざ大辞典』第二版の編纂過程で、2008年頃に執筆の際の参考のために作成したもので、同書刊行後も少しずつ増補したものです。(ご協力いただいた執筆者や編集スタッフの皆様にあらためて感謝申し上げます。)
基本的に江戸期またはそれ以前の文献を対象とし、資料集ごとに配列していますが、もっぱら実用性を旨とし、書名索引から収録資料集の該当個所にジャンプして、底本の所蔵や写本・刊本・活字本の別、近年の研究により明らかになったことなどの関連情報を参照できるようにしています。
また、書誌としては異例といえますが、加藤定彦・外村展子編『俚諺大成』(青裳堂、1989)の文献番号からも検索できるようにしています。同書を座右において研究される方には、番号をクリックするだけで、書名と書誌情報が参照できると好評だったものです。なお、同書は、ことわざの古文献の総索引ともいうべきもので、伝統的ことわざを研究する上で必須の参考文献で、その学問的貢献は計りしれないものがあることを付言しておきます。
さらに、諸般の事情で資料集に未収録の資料や近年あらたに発掘された資料についても、「未収録」として、書誌情報を記載したほか、「江戸期未収録ことわざ索引」にもリンクさせています。
書誌としては、不備な点も多々あると思いますが、ネットの利点を生かして適宜訂正・増補していきたいと思いますので、お気づきの点がありましたら、ぜひお知らせください。
2017年11月
参考文献・参考にしたサイト
なお、書誌作成にあたっては、主として次の文献やサイトを参考にさせていただいたことを記して、あらためて感謝いたします。(北村孝一)
加藤定彦・外村展子編『俚諺大成』(青裳堂、1989)
時田昌瑞編「ことわざ史料略年表」(時田昌瑞編『岩波ことわざ辞典』岩波書店、2000)
北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典』第二版(小学館、2012)
NACSIS Webcat (http://webcat.nii.ac.jp/webcat.html)
国会図書館NDL-OPAC (http://opac.ndl.go.jp/index.html)
国文学研究資料館電子資料館 (http://www.nijl.ac.jp/contents/d_library/index.html)
資料集の略称と記号
『俚諺』……『俚諺資料集成』(大空社、1986)
◆ 前掲の『俚諺大成』に収録された文献であることを示す
※ 文字がない場合などの説明、またはコメント
か行
さ行
た行
な行
は行
ま・や行
ら・わ行
アルファベット
11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、
21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、
31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、
41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、
51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、
61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、
『毛吹草』(翻刻) ◆
厳密にいうと、松永貞徳『毛吹草』巻二「世話付古語」の翻刻。学習院大学所蔵の初版本(正保2 年[1645]刊) を底本とする。他に、加藤定彦編『初印本毛吹草影印編』(ゆまに書房、1978) 、岩波文庫の翻刻(1943) 、堀章男・加藤美代子編『「毛吹草」ことわざ索引』(私家版、1975) などがある。
『世話尽』(翻刻) ◆
釈皆虚編『世話尽』(明暦2年[1656]刊) 巻二「曳言の話」の翻刻。底本は国会図書館所蔵。『せわ焼草』ともいい、影印に米谷巌編『せわ焼草』(ゆまに書房、1976) がある。
『世話支那草』(版本) ◆
松浦某著。寛文4 年[1664]刊。
『野語述説』(版本) ◆
松井精(壺峰) 著。貞享元年[1684]刊。前編・後編・続編・雑編・補遺・外編からなる版本のうち外編を除く影印。
『俚諺資料集成』第2巻
『漢語大和故事』(版本)◆
蔀遊燕編、元禄4 年[1691]刊。
『世話重宝記』(版本) ◆
編者不詳、元禄8 年(1695) 刊。のちに『俗語故事談』と改題され、版を重ねた。他に、『近世文学資料類従』参考文献編8 (勉誠社、1976) 、『重宝記資料集成』第11巻(臨川書店、2006) にも複製がある。
『諺草』(活字本) ◆
貝原好古編、版本は元禄14年(1701) 初刊。資料集成は『貝原益軒全集』3 (明治44年) の復刻。他に、同全集の復刻もある(国書刊行会、1973) 。蛇足だが、『諺草』にはイタリア語訳もある。
『和漢古諺』(活字本) ◆
貝原篤信編、版本は宝永3年(1706) 初刊。資料集成は『貝原益軒全集』1 (明治43年) の復刻。他に、同全集の復刻もある(国書刊行会、1973) 。
『俚諺資料集成』第3巻
『本朝俚諺』(版本) ◆
井沢長秀(蟠龍子) 編、正徳5 年(1715) 刊。
『俚諺資料集成』第4巻
『類聚世話百川合海』(活字本) ◆
恵海編、安永5 年(1766) 序。写本は国会図書館所蔵。資料集成は『未刊随筆百種』第4(米山堂、1927) 所収のものを復刻。同書は、臨川書店(1969) による復刻、中央公論社(1976) による覆刻もある。
『諺苑』(活字本) ◆※
太田方(全斎) 編、寛政9年(1797) 序。資料集成は天理図書館本による『諺苑』(養徳社、1944) を藤井乙男の解説を除いて復刻。天理図書館本は7巻のうち2 巻(いろは順のヤ〜テ、ヒ〜ス) を欠くが、他に全巻そろった『春風館本諺苑』の影印(頼惟勤解説、新生社、1966) がある。※『俚諺大成』は後者からも収録。
『皇朝古諺』(写本) ◆
編者は清水浜臣と推定される。成立年不詳。内閣文庫所蔵の写本の影印。『俚諺大成』によれば、内閣文庫本は転写本という。茨城大学附属図書館(菅文庫) に『皇朝古諺叢』(写本) があるが、関連は不明。
『(前編)諺百種談』(版本)◆
無形庵著、寛政12年(1800) 刊。前編のみ刊行されたものか。
『浅瀬のしるべ』(版本) ◆
藤井高尚著、文化9 年(1812) 序。他に、工藤進思郎・丸川典子・園部恵による翻刻(『岡大国文論稿』11、1983) があり、戦前の中学校の教科書にも一部翻刻されていた(竹中信以『普通国文読本後篇』、明治28年) 。後者は『叢書』第2輯第4巻に収録。
『俚諺資料集成』第5巻
『世諺拾遺』(版本) ◆
菊簾舎巨川編、宝暦8 年(1758) 刊。
『絵本譬喩節』(版本) ◆
喜多川歌麿画、天明9 年(1789) 序、寛政11年(1799) 刊。他に、『日本名著全集』第30巻「風俗図絵集」(日本名著全集刊行会.1929)に影印があり、この巻を抜粋して復刻した『江戸風俗図絵集』(国書刊行会, 1986) にも収録されている。なお、タイトルの読みを「たとえぶし」とする辞典もあるが、ことわざの異称である「たとえのふし」が正しい。
『三教童喩』(版本) ◆
思恩堂非得著、芳田月長画、文政3年(1820) 刊。版本は上中下3巻と付録があるが、付録を除いて収録。
『有喜世諺草』(版本)
十返舎一九著、歌川国安画、文政11年(1828) 刊。
『俚諺資料集成』第6〜8巻
『増補俚言集覧』(活字本) ◆
井上頼圀・近藤瓶城が増補し、五十音順に配列し直して村田了阿編として刊行された『増補俚言集覧』(明治32〜33年、皇典講究所印刷部) の復刻だが、資料集成に収録の際に太田全斎編と改め、増補本で割愛された「引書目録」を「俚言集覧引書目録」として新たに翻刻している。増補本は、他にも復刻(名著刊行会、1965) がある。増補本とは項目配列の異なる(五十音縦列) 全斎の稿本(国会図書館所蔵) とその欠落部分の一部を転写した『移山伊呂波集』(刈谷市立図書館村上文庫) は、『俚言集覧自筆稿本版』(クレス出版、1992〜93) として影印されている。
「世話尽病魔経」(活字本)
著者不詳、幕末頃のものか。藤井乙男『俗諺論』の付録(底本は明記されていない)の複製。『叢書』第1 輯第6巻 にも収録されている。
『ことわざ研究資料集成』第19巻
『和漢故事要言』(版本) ◆
青木鷺水(白梅園) 編、宝永2年(1705) 刊。小川武彦編『青木鷺水集』第5巻(ゆまに書房、1985) に翻刻がある。
『(国字分類) 諺語』(写本) ◆
蜂屋茂橘(椎園) 編、幕末頃。天理図書館所蔵の稿本の影印。
『たとへ草』(写本)
星野徳祐編、天保15年(1844) 成。金沢市立図書館稼堂文庫所蔵の稿本の影印。
『ことわざ研究資料集成』第20巻
『心学俗語』(版本)
小林高英著、可笑斎画、文化14年(1817)刊。江戸期未収録ことわざ索引にことわざを収録。
『画本道の手引』(版本)
思恩堂非得著、丹羽桃渓・菅松峰画、文政5-6年(1822-23) 刊。江戸期未収録ことわざ索引にことわざを収録。
『世話詞渡世雀』(版本) ◆
花洛窓梅軒可耕著、岡山友杏画、宝暦3年(1753) 刊。翻刻が藤井乙男著『諺の研究』(更生閣、1929) に収録されているが、3巻のうち中巻を欠く。
『笑謡』(版本) ◆※
作者不詳、明治31年(1898) 刊。「口車」、「石原薬くわん」、「娑婆弥次郎」の三曲からなる。田中允によると「娑婆弥次郎」は安永3年(1774)頃のものとされる。前出藤井乙男『諺の研究』に「娑婆弥次郎」、古典文庫第491 冊『未刊謡曲集続一』(1987) に「石原薬くわん」、同第505 冊『未刊謡曲集続三』(1988) に「口車」がそれぞれ収録されている(後二者は田中允による翻刻) 。「口車」は、ことわざ研究会主催の第1回ことわざシンポジウムでリチャード・エマートにより冒頭部が上演され、会報10号に影印が掲載された。未確認だが、雑誌『宝生』(わんや書店) 昭和2 年6月号にも翻刻があるという。
※『俚諺大成』は「娑婆弥次郎」のみ収録し、「俚諺大成追補」で「口車」の一部を収録する。したがって、「石原薬くわん」は未収録。
『ことわざ研究資料集成』第21巻
『軽筆鳥羽車』(版本)
編者不詳、享保5年(1720) 刊。他に、古谷知新編『滑稽絵本全集』(文芸書院、1919) 、『鳥羽絵本集 1』(太平書屋、1983) が影印で収録。また、今回確認していないが、『鳥羽絵人物略画』(岩崎美術社、1969) にも、図版と翻刻が掲載されていたと記憶する。本集成別巻解説に時田昌瑞による絵解きがある。
『諺画苑』(版本)◆※
鍬形寫ヨ編、文化5年(1810) 刊。ことわざ研究会『会報』3 号(1986年11月) に翻刻がある。江戸期未収録ことわざ索引にことわざを収録。
※書名は「げんがえん」とされるが、「ことわざがえん」ともいう。「俚諺大成追補」に一部収録。
『狂斎百図手控』(写本)
狂斎(河鍋暁斎) 編、幕末成。国会図書館所蔵本の影印で、いろは順の「い」〜「は」および「も」以降を欠く。タイトルは仮題で、国会では『暁斎百図』として登録。研究会例会で翻刻が配布された。
『五十一諺』(写本)
平元政信著、寛保2年(1745) 成。宮内庁書陵部所蔵本の影印。江戸期未収録ことわざ索引に収録。
『諺叢』(写本) ◆
東岳外史編、天保3年(1832) 成。国会図書館所蔵本の影印。
『続ことわざ研究資料集成』第2巻
『諺合鏡』(版本) ◆
小梅山人五息斎著、安永8 年(1779) 刊。京都大学文学部所蔵本の影印。
『続ことわざ研究資料集成』第3巻
『童蒙世諺和解集』(写本) ◆
後露月菴(老人) 著、万延元年(1860) 〜文久2 年(1862) 成。京都大学文学部所蔵本の影印。
『続ことわざ研究資料集成』第4巻
『尾張俗諺』(写本)◆
寛斎編、寛延2 年(1749) 成、天保年間に小寺玉晁が補筆。刈谷市立図書館村上文庫所蔵本の影印。「尾張俗諺」のほか、「他邦通諺」、「京師通諺」、「補」、「俗習」、「仮託俗語」、「拾遺」、「続拾遺尾張俗諺」(天保3〔1832〕)からなる。蓬左文庫編『名古屋叢書』3 編第8巻に蓬左文庫本の翻刻がある。
『いらぬことわざ』(写本) ◆
縄斎編、幕末(?)成。東北大学図書館狩野文庫所蔵本の影印。表紙には「以良奴諺」とある。『俚諺大成』は「明治初期成」とする。かつて古諺の会で輪読し、ことわざ研究会会報に翻刻を掲載した(第4 〜第9 号、1987年3 月〜1989年7 月) 。
『世俗俚言集』(写本) ◆
編者不詳、幕末〜明治初期成。東北大学図書館狩野文庫所蔵本の影印。
『続ことわざ研究資料集成』第18巻
『心学いろは戒』(刊本)◆
小山駿亭著、文政8年刊。『心学伊呂波戒』と表記するほか、『教訓伊呂波譬喩歌』などの改題本があり、池田弥三郎・檜谷昭彦『いろはかるた物語』に「心学いろはいましめ」として翻刻がある。
『俚諺集』(写本)
保田光則編(?)、幕末頃成。宮城県図書館所蔵本の影印。菊池武人編『近世仙台方言書続翻刻編』(明治書院、1995) に翻刻がある。
『ことわざ資料叢書』第1輯第6 巻
『傾城諺種』(版本) ◆※
泥田坊夢成著、寛政3年[1791]刊か。都立中央図書館加賀文庫所蔵本の影印。『口学諺種』(安永9年[1780]の後刷。『俗談諺種』ともいう。『洒落本大成』第10巻(中央公論社、1980) に『口学諺種』、蘇武緑郎編『江戸遊里風俗篇』(大鳳閣書房、1931) 、高木好次他編『洒落本大系』第7巻(林平書店、1932) に『傾城諺種』の翻刻がある。※『俚諺大成』は『口学諺種』から収録。
「諺百首和歌」(活字本) ◆
唐衣橘州作、『酔竹集』(享和2 年[1802]刊) 付録。新群書類従第10巻の復刻。他に『江戸狂歌本選集』第6巻(東京堂出版、 1999)の翻刻がある。
『教訓浮世眼鏡』(版本)
万亭応賀作、渓斎英泉画、天保15年(1844) 刊。都立中央図書館加賀文庫所蔵本の影印。
『神事画譜』(版本)
花笠外史編、静斎英一画、嘉永頃刊。都立中央図書館東京誌料文庫所蔵本の影印。
『(童蒙伝智) 地口絵合』(版本)
百菴花笑編、渓斎英泉画、天保13年(1842) 成。都立中央図書館東京誌料文庫所蔵本の影印。
『地口行燈』五編(版本)
玉葵園雪住編、嘉永5 年(1852) 年刊。都立中央図書館東京誌料文庫所蔵本の影印。六編は蓬左文庫に所蔵される。
「十番諺合」(活字本)
『研究』第6巻の項参照。基本的に同じものだが、藤井乙男『諺の研究』付録を底本とする復刻。
「世話尽病魔経」(活字本)
『研究』第6巻の項参照。基本的に同じものだが、藤井乙男『諺の研究』付録を底本とする復刻。※本叢書の目次および解説から脱落している。
「当世いろはたん歌」(活字本)
作者不詳、幕末頃。『旧幕府』2 巻4号(明治31年[1897]4月) の復刻。
『ことわざ資料叢書』第1輯第9巻
『琉球俗語』(写本)
著者は天宮城か、正徳・享保頃(1711〜35) 成立(?)。昭和18年に瀬川重礼が書写したハワイ大学マノア校図書館サカマキ/ 宝玲文庫所蔵本の影印。
『琉球俗語古今集』(写本)
前出『琉球俗語』の異本(古写本) で、その上巻に相当する。沖縄県立図書館東恩納寛惇文庫所蔵本の影印。
「琉球俗語古今集」(翻刻)
天宮城著、好古生編、『琉球俗語』を抜粋したものだが、底本は宝玲文庫本とも東恩納文庫本とも異なる。『琉球新報』明治33年(1900) 1月の連載を翻刻。
『斉東俗談』(版本) ◆
松浦黙(文翠軒) 著、貞享2 年(1685) 刊。『(斉東) 本朝世諺俗談』ともいう。秋田県立図書館所蔵本の巻之七「世諺部」を影印。他に、木村義之『斉東俗談の研究--影印・索引--』の影印がある。
『かたこと』(活字本) ◆
安原貞室著、慶安3 年(1650) 刊。『カナナホシ』、『片言なほし』ともいう。日本古典全集の『片言付補遺』(日本古典全集刊行会、昭和6 年) の「いはずしてもことかき侍るまじきこと葉」の部分を復刻。他に、『近世方言辞書集成』第1巻(大空社、1998) に版本の影印、白木進編著『かたこと』(笠間書房、1976) に翻刻がある。
『類従名物考』(活字本) ◆
山岡浚明編、宝暦〜安永9 年(1780) 成。井上頼圀・近藤瓶城編『類従名物考』(1903〜05) の巻331 「雑部第六諺童謡」のうち「諺」の部を復刻。
『それぞれ草』(活字本)◆
乙州著、正徳5年(1715)刊。古谷知新編『滑稽文学全集』第8巻(文芸書院、1918)の該当部分を復刻。
『和歌民のかまど』◆
佐々辺青人著、享保11年(1726)稿。原本の所在は不明だが、北村信節が『嬉遊笑覧』巻9 「言語」に引く。後者を翻刻して収録した『日本芸林叢書』第6巻(六合館、1927年)から該当部分を翻刻。『嬉遊笑覧』の翻刻は、他にも岩波文庫 や日本随筆大成などがある。
『ことわざ資料叢書』第3輯第2巻
『二重染』(版本)◆
豊嶋治左衛門(露月) ・豊嶋弥右衛門撰、享保19年(1734) 刊。福井市立図書館越国文庫所蔵本および上田市立図書館花月文庫所蔵本の影印。
『絵本千代春』(版本) ◆
禿帚子著、石川豊信画、明和6年(1769) 刊か。国会図書館所蔵本の影印。※次項参照
『絵本千代春』補(版本)
禿帚子著、石川豊信画、明和2 年(1765) 序。国会図書館所蔵『絵本集艸』34の一部影印。※『絵本千代春』の元版(に近いもの) と推定される異版(書名未詳) で、全体で7丁半多い。ただし、下巻末尾が欠落しているので、これも完本ではない。国会本と重複しない部分のみの影印で、江戸期未収録ことわざ索引に収録。なお、東北大学図書館狩野文庫所蔵の『絵本明ほの草』(明和7年(1770〕刊)が元版の全貌を伝える可能性が高い。
「諺尽し」(版本) ◆※
原題、著者、刊年不詳。国会図書館所蔵『絵本集艸』21の一部影印(7 丁半) 。『絵本集艸』は「もとの絵本をテーマ別に編集し直して集めたものと思われる」(NDL-OPAC) 。※『俚諺大成』は「諺尽」として「たとへ車」とともに収録する(次項参照)。
『皇朝喩林』(影印)◆
清水浜臣編。文政7年(1824)。静嘉堂文庫所蔵本を影印。291の譬喩(ことわざも少数あり)を五十音順に配列、古典の用例を付す。
本居内遠編。1843〜53年頃、およそ1200項収録。東京大学文学部本居文庫所蔵の自筆稿本を翻刻。
「諺尽道斎噺」
横山正『近世演劇攷』(和泉書院、1987)に書誌と翻刻(表紙と挿絵部分は影印)がある。元治元年(1864)成る。横山氏は、「諺を多く織込んだ文章で綴り、しかも朱で節付(文字譜とゴマ点)がつけられて、語り物形式になっている」とし、「語り物形式の噺本」というべきであろう」としている。内題は「譬(たとへ)尽(づく)し道斎(だうさい)はなし」、奥書に「元治元甲子歳二月調之 吉川蔵」とあり、「この調はまとめる即ち書き上げた意と思われる」(横山氏)という。
以下は、いずれも資料集には未収録で、『俚諺大成』に収録されている資料(番号は同書の主要文献番号)。
2 実語教◆
平安末期成。『日本教科書大系』往来物編5に翻刻がある。
3 玉函秘抄◆
藤原良経編、鎌倉初期成。遠藤光正『玉函秘抄語彙索引並びに校勘』(無窮会東洋文化研究所、1971)に影印がある。
5 童子教◆
鎌倉期成。『日本教科書大系』往来物編5に翻刻がある。
6 句双紙◆
東陽英朝編、室町期成。蓬左文庫本の翻刻が新日本古典文学大系52(岩波書店、1996)にある。
11 金句集◆
室町中期成。福島邦道解説『金句集四種集成』(勉誠社、1977)などに影印がある。『俚諺大成』は前掲書の伊達家本による。
12 天草版金句集◆
文禄2年(1593)刊。山内洋一郎『天草本金句集の研究』(汲古書院、2007)などに影印・翻刻がある。
13 明心宝鑑正文◆
国文学研究資料館にマイクロあり。
14 巵言抄◆
林道春編、元和頃刊。渡辺守邦「巵言抄--翻刻と解説--」(『国文学研究資料館紀要』11、1985)がある。
15 童観鈔◆
林羅山編、寛永頃刊。渡辺守邦「童観鈔--翻刻と解題--」(『国文学研究資料館紀要』10、1984)がある。
23 訓蒙故事要言◆
宮川道達編、元禄7年(1694)刊。『江戸怪異綺想文芸大系』第3巻(国書刊行会、2001)に翻刻がある。
30 やぶにまぐわ◆
享保3年(1718)刊。加藤定彦「俚諺資料『やぶにまぐわ』(上)−翻刻-」(『立教大学日本文学』47、1981)がある。
34 五十句ことわざカルタ(A)◆
享保期。鈴木棠三『今昔いろはカルタ』*(錦正社、1973)p.21-24に翻刻。
36 絵本俚諺草◆
石川豊信画、宝暦2刊。国会図書館所蔵。(マイクロYD-古-534、請求記号わ-46)。
41 百句ことわざカルタ◆
宝暦頃。鈴木棠三『今昔いろはカルタ』*(錦正社、1973)p.36-42に翻刻。
43 反古佐羅部◆
安永2年(1773)刊。翻刻が上方芸文叢刊10『浪華粋人伝』(上方芸文叢刊刊行会、1983)に収録されている。※コピー有。
44 (前編)諺鏡◆
五息斎園※著、安永3年(1774)刊。翻刻に加藤定彦「『前編諺鏡』の紹介(上)--翻刻--」(『立教大学 日本文学』54、1985)がある。※は草冠に冥。
45 (児童教訓)伊呂波歌絵抄◆
南勢野叟著、下河辺拾水画、安永4年(1775)刊。東北大学図書館狩野文庫画像データベースで公開。絵双紙屋でテキスト化されている。
48 諺双紙◆
青木散人著、安永8年(1779)成。国会図書館に写本(請求記号101-101)。
53 古今諺補◆
楊慎編、菅敬勝校補、天明4年(1784)刊。元になった『古今諺』は、中国で何度も翻刻され、比較的容易に入手できる。
55 古今名諺◆
荒井公廉※編、寛政11年(1799)刊。国会にあり。※『俚諺大成』によると、荒井簾平編。
57 五十句ことわざカルタ(B)◆
寛政頃。鈴木棠三氏蔵。同氏『今昔いろはカルタ』*(錦正社、1973)p.26-30に翻刻。
62 百一諺◆
『随筆百花苑』第5巻「愚山雑稿」に翻刻。※コピー有。
63 世話いろは新絵解◆
仮称『女今川百人一首』所収。高橋愛次『伊呂波歌考』(三省堂、1974)に翻刻があるほか、ことわざ研究会会報※に吉海氏による翻刻がある。※
64 江戸いろはカルタ◆
文化・文政頃。森田誠吾『昔いろはかるた』(求龍堂、1970)に村井省三氏蔵の複製がある。異版の翻刻が小高吉三郎『日本の遊戯』(羽田書店、1943)にあり、鈴木棠三『今昔いろはカルタ』(錦正社、1973)p.98-100に引用されている。
65 上方いろはカルタ◆
幕末刊。酒井欣『日本遊戯史』(建設社、1933)に翻刻。鈴木棠三『今昔いろはカルタ』*(錦正社、1973)p.92-95に引用あり。
66 大阪いろはカルタ◆
明治末。鈴木常雄氏蔵。鈴木棠三『今昔いろはカルタ』*(錦正社、1973)p.111-114に翻刻。
75 世話比喩草◆
図書寮と静嘉堂文庫に写本がある。
76 童蒙教訓譬心得草◆
随風亭柳志著、明治初期刊。早稲田大学図書館所蔵。
77 諺臍の宿替◆
一荷堂半水著、芳梅画、幕末〜明治初期刊。武藤禎夫校訂解説『諺臍の宿替』(太平書屋, 1992)に影印と翻刻を収録。
テスト版
このサイトは、「ことわざ資料書誌──江戸期を中心に──」テスト版です。