5000系(5555F) 準急 K1102Z列車
京阪本線 大和田 2019年11月24日撮影

5000系(5551F) 普通 R1007B列車
京阪本線 大和田 2019年11月24日撮影

5000系(5555F) 準急 M0906H列車
京阪本線 大和田 2006年3月25日撮影

1.概要
 1970年(昭和45年)〜1980年(昭和55年)に登場した日本初の5扉車です。当時、複々線は天満橋−野江間は完成していましたが、守口−寝屋川信号所間はまだ複線で、昇圧も実施にはほど遠い段階で、連結両数を7連以上にすることは困難な状況でした。このため7連のままでのラッシュ打開策として、扉数を増やして乗降時分の短縮をはかり、立ち席の増加で車内混雑を均一化する目的で5扉車5000系が登場したのです。

2.車体構造
 車体は京阪初のアルミ合金製で全体に角張った感じになり、18m級3扉通勤車の扉間にラッシュ用扉として2ケ所を設け、窓は扉間に1枚ずつになっています。閑散時にはラッシュ用扉は締め切りとし、座席をセットして3扉車として運用できるように設計されました。扉幅は3扉車の1300mmより狭い1200mmとなり、窓は外はめユニットサッシで 900mm幅となり、側面に行先表示装置が設けられました。前面デザインも一新され車掌側の2段窓が1枚窓になり、屋根カーブにそってヒサシがつき、貫通ホロが埋め込み式になりました。

3.車内設備
 座席はロングシートが採用されました。ラッシュ用扉の車内には昇降式の座席が組み込まれており、閑散時には締め切られた扉の部分にこの座席がセットされて、3扉車と同様の座席数が確保されます。
 冷房装置は集約分散式になり、1車あたり40000kcal/h で、ラインデリアと回転グリルの組み合せは5000系から採用されたものです。
 ラッシュ用扉部分の座席ヒーターがつかないので、ヒートポンプ式エアコンによる温風暖房になっています。

4.主な機器類
 走り装置は2400系に準じ、登場時の制御方式は発電ブレーキ付きの抵抗制御方式ですが、制御装置はICを使って無接点化をはかったものとなりました。
 主電動機は直流直巻式電動機が採用され、当初は130kWでしたが昇圧後は155kWになっています。
 駆動方式は中空軸平行カルダン駆動方式が足用されました。
 空気制動には応答性のすぐれた全電気指令式ブレーキを初採用しました。
 台車はKS-76A(電動車)、FS-337E(付随車)が採用されました。
行先表示装置は京阪通勤車全編成の先頭車に取り付けられるようになりました。
 昇圧は8M2C親子方式で行われ、3次車第5編成目以降は昇圧完全対応で新造されていたため無改造で昇圧されました。

5.主な履歴
 1971年(昭和46年)に製造された2次車(2編成目)から標識灯が角形2灯式になりました。また、歯車比を少し小さめ(5.60→5.25)に変更して高速対応形にしています。のちに2〜4番の編成もこの歯車比に変更されました。
 1976年(昭和51年)に製造された3次車(5編成目)から正面貫通扉へ行先表示装置がとりつけられました。乗降客用扉がアルミハニカム構造からステンレス鋼に変更されました。
 1978年(昭和53年)に1・2次車は、高圧車となる京都側M1車に高速度限流遮断器を設置、避雷器を取り替える等の小改造を施して3次車にあわせた上、昇圧されました。
 1980年(昭和55年)に製造された4次車(6編成目)から台車をFS-399A(付随車)、KW-31(電動車)に変更されました。
 1980年(昭和55年)2月に第4編成が上り急行で運行中、枚方市〜御殿山間の磯島曲線で置き石によって脱線転覆する事故があり、5554号と5154号が大破しました。その後、5554号は同一番号で2代目が新造され、事故車の1代目は1980年(昭和55年)12月29日付で廃車されています。5154号は機器等流用で車体新造されており、車籍は新造時から継承されています。
 1989年(平成元年)に第1〜4編成の前面に種別・行き先表示器が設けられました。
 1998年(平成10年)より更新工事が始まりました。主な改造内容は制御装置を界磁添加励磁制御に、制動方式を遅れ込め制御付き回生ブレーキ優先電気指令式電磁直通ブレーキ(HRDA-1)へと変更されました。3+4両編成は先頭車の中間改造を行い、7両固定編成化されました。車内にはLEDの車内案内表示器が取り付けられました。また、車椅子スペースが設けられました。
 2008年(平成20年)に新塗装化が行われました。
 2016年(平成28年)に編成単位での廃車が始まりました。
 2021年(令和3年)9月4日に5551Fが廃車され、形式が消滅しました。

←戻る TOP 掲示板