サンライズ作品

ザブングルとドラグナー以外は富野喜幸の作品で、話の流れがあま り見えなくなって、錯綜してきたと思ったらノヴェライゼーション を書店で見かけて、何だ、テレビで語らないことを活字で明かすな んてずるいよ、と思うことが何度かあったりして。

いくつかの作品はテレビ神奈川で再放送され、話の筋を捉え直すの に役に立っています。有り難いことです。


目次


機甲戦記 ドラグナー

アメリカの戦略防衛構想で一躍有名になったレールガンがロボット の火器として登場してることと、重火力担当のD-2の丸いランドセ ルと、従来支援機といえば重火力担当だけだったのに対して電子戦 用の機体D-3が用意されたことと、そのD-3の頭がE2Cホークアイみ たいな円盤形レドームになってることと、すらりとしたかっこいい 主人公メカD-1に重火器を持たせるために上からすっぽりかぶる 「キャバリアー」という装備が目新しかったですね。


機動戦士 ガンダムダブルゼータ

困ったことに、火力のインフレーションが始まります。矛が強くな るとバランス上楯の設定に困るわけですが、これは無理矢理な作り になっていきます。おまけに、アーガマやネェル・アーガマという 戦艦をわずか6人で運用してるし。新造艦ネェル・アーガマはまあ 許すとして、アーガマってゼータではあんなに沢山人が乗っていた のに、この物語では閑散としてます。それで艦が動きモビルスーツ 隊が運用できちゃうならあのたくさんの人は何のためにいたの?

ゼータまでは裏の主人公として活躍していたシャアの存在が欠けて いるのをだれが埋めるのかと思ったら、どうやらハマーン・カーン とグレミー・トトのようです。


機動戦士 ゼータガンダム

なんだかあきらめの境地の一端を知ったというか、「ああ、変形し てしまった。」しかも、ゼータって、胴体にはメカの入る隙間がな い。百式はガンダムの皮を被ったエルガイムだし。しかし、まだい ろいろましな点はあって、とりあえず変形は一瞬で終わる。だから 変形するところを敵が攻撃することができないという特撮ヒーロー もののようなお約束を考えなくていい。それから、アーガマという 戦艦が居住区の重力を作り出すために居住区全体を振り回して遠心 力を人工重力にしているのが、強引だけど一応合理的で好きでした。 最初の放送の時は途中から放送時間に家にいられなくなったので見 られなくなってしまったため、物語の結末がわからず、しかしそれ 以前に物語全体がどたばたして全体を貫く流れが全然見えなかった というのはゼータの物語としての側面の印象をひどく薄くしていま す。


重戦機 エルガイム

何がすごいって、プラモデルの動きがすごい。膝の二重関節の発明 で作画で嘘をつかずにロボットが正座できるようになったという歴 史的なトピックを知ったのは実はつい最近のことなのですが、ロボッ トの構造として「骨とガワ」という構造を持ってくれたのは合理的っ ぽくて好きでした。また、従来のロボットのアクチュエータは回転 式だったのですが、この物語では直線運動する油圧シリンダーになっ てます。合理ついでに、ロボットはわざわざ手で銃を持つ必要なん かないじゃないかと思っていたところへ、ビーム砲は手で持たず腕 に固定するための台座があります。ビームサーベル(物語中では 「セイバー」と呼ばれてますけど)は手で握るものだから手に近い ところへ装備するんだとばかり手首のすぐ下、腕の射出機構付き台 座に装備されます。あと、部品取りのために互換機をばらしちゃう という貧乏くさいけど現実的な演出も好きでした。

村を出て親の形見のメカを手に軍への仕官を目指すっぽいところか ら始まって、盗賊や死の商人との遭遇、宇宙船の乗っ取りを経て反 乱軍への参加から最後は怨恨に満ちた王朝間の争いに至るという展 開にはこれまたカルチャーショックを受けたものです。


聖戦士 ダンバイン

科学的な考証をし出すと困ったことになっちゃう(例えば「どうやっ て空飛ぶんだ」とか)のがロボットアニメなんですが、それを一気 に解決する方法として剣と魔法(あ、魔法は出てきませんけど)の支 配するファンタジーの世界に持ってっちゃうという手段を採った点 がカルチャーショックでした。あと、ロボットが昆虫形の外骨格を 持っていて、プラモデルが無理なく動きそうに見えたとか、ロボッ トの装備として光線兵器(ビームライフルとかビームサーベルとか) がほとんど出てこなくて全部金属でできた見たまんまのソードとか ひも付きの爪とかを使ってたのが現実的っぽくて好きでした。


戦闘メカ ザブングル

ガンダム以降、登場するロボットが軍の兵器だという大枠を持った 2番煎じが発生(ダグラムとかは私の目にはそう映りました)してちょっ と何なんだよってややしらけていたところで、戦記物の形を取る物 語にはめったなことでは登場しない「経済活動」と土饅頭顔に象徴 される「ギャグ」が前面に出てきました。あと、鳥脚のロボットが 多数というか主人公メカ以外のほとんどがそうなってることと、主 人公が話の途中でメカを新しいのに乗り換える(この点は私が見て なかったボトムズの方が先なのかしら)のがちょっとしたカルチャー ショックでした。


伝説巨神 イデオン

ガンダムに続くカルチャーショックは、巨大ロボットが「第六文明 人の遺跡」で、これを使ってる人たちがその遺跡をなんだかよく分 からないまま運用してること(あ、それってムーの遺跡「勇者ライ ディーン」か)。ガンダムがバンダイのプラモデルで一大ブームを 巻き起こしていた時期に、プラモデル(品不足でしたし、プラモデ ル本体だけじゃなく塗料など周辺にお金がかかるのもネックでした) を手に入れたり映画を見に行くだけの経済力がなくてうじうじして いたために意地になってこれにこだわってみたけど途中から放送の 時間帯に番組を見られなくなってしまってノヴェライゼーションで しか結末を知らなかったりします。


機動戦士 ガンダム

最初に見たのは小学生のころでしたか、本放送じゃなくて再放送で したが、すごいカルチャーショックを受けました。何しろ、主人公 メカが世界中で一つしかないユニークな存在というわけじゃなくて、 その気になれば量産可能な工業製品になっちゃってます。物語も、 勧善懲悪じゃなくて、敵も味方も矛盾をはらんだ、人類の国同士の 戦争です。人間ドラマも結構まじめに作られています。ノヴェライ ゼーションの存在もショックでした。アニメとして作られた物語が 活字化に耐えているという事実が、アニメという媒体が本質的には 子供向けに限定される理由を何ももたないということに気付かせて くれました。あと、「ニュータイプ」という概念を持ち出すことに より、原理上狙って撃たれたら避けられそうにない光線兵器を「勘 で先読みして避ける」という説明でなんとなく納得させてくれる辺 りが好きでした。


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