1997/02/09 谷村有美 日本武道館
YUMI TANIMURA CONCERT TOUR 96-97 LIVE LIVE LIVE 〜しあわせのかたち〜 FINAL
アリーナE列107番
三浦敏孝, 早稲田大学
miura@muraoka.info.waseda.ac.jp

●使用前

大学を出るのが、少し遅れた。

「使用前」の写真を撮りましょう、と言い出したのは私なのだが、
待ち合わせの田安門前街灯下17:30の待ち合わせに遅刻してしまっ
た。

人が集まっていれば5分程度なら待っていてくれるだろうとたかを
くくっていたのだが、2分しか遅刻していないのに誰もいない。う
かつであった。

あきらめて入場。カメラを受付に預け、水分を補給してアリーナへ。

自分の席に荷物を置いて周りを見回すと、2列前に亀山さん始めML
の見慣れた人たちがずらっと固まっている。千晶ちゃんが「みうら
さ〜ん」とジト目で言う。(^^;

皆さんの話を総合すると、トイレに行きたくてしょうがなかった人
がいて、時間ちょうどになって私が現れなかったのでさっさと武道
館へ移動してしまったのにつられて全体が入場してしまったようで
ある。

言い訳をひととおり済ませ、椅子に落ち着いてアンケートを埋め、
配布物一式を鞄に放り込む。

改めて周りを見回す。客の入りはちょっと少なめという感じ。1階
や2階の東西のブロックはステージ側半分が黒いシートで隠されて
いる。テレビでCMを頻々と目にしたり、方々でスペシャルシートと
やらを乱発している宣伝攻勢からはチケットが余って余ってしょう
がない状態を想像していたが、想像していたよりはましな入り具合
である。

ステージセットは、武道館なりに大きくなっているが、ツアー全体
を通して同じ、木造のライブハウスを模したものになっている。ス
テージの各所に板張りの化粧が施されている。天井から釣られてい
る、ライトをぶら下げた枠は中央で角度がついていて切り妻造りの
屋根を象っているように見える。さらにその下に、針ライトをぶら
下げた円形の枠。ステージ後方の、てっぺんにスポットライトとそ
の作業用足場を乗せた柱は幅が広くなっていて柱というよりはむし
ろ塗り壁のように見える。


ステージ両袖に1階席の方へ伸びるスロープがしつらえられている
が、そのスロープの先にあるのは客ではなく黒いシートなのが間抜
けに見える。やっぱり主催者の期待ほどには客が入らなかったのね。

●座席

E列はちょうどステージ中央に位置する二つのブロックのステージ
に向かって左側。107はそのE列の左端最後列。すなわち、後ろは通
路であるからコートを椅子の背もたれにかけることができる。

遠い。ステージ上の人物が小さい。表情も裸眼視力両目2.0の目を
凝らしてやっとわかるくらいだ。ま、この距離感は武道館だからしょ
うがないね。

目の前には、身長150cm、座高も私より低めの女性二人連れで、こ
の二人によって視界が遮られることはないが、その前に座っている
MLの人たちが私と同じくらいの身長なので、少し見づらい。ま、首
を振れば何とか見えるだろう。

●開演 - 18:09

0. オープニング

BGMがとぎれてステージ上方のライトで客席を眩惑しながら客電が
落ちる。そこへかぶってくる男性同士の英語の会話の中身がツアー
の通常メニューと変わっている。

暗い中で谷村を除くバンドメンバー全員が一度に配置につく。が、
演奏はドラム(山下)、ベース(渡辺)、キーボード(カズ)、ギター
(岩見)、キーボード(中村)、サックス(藤稜)、コーラス(ジョーイ
とメロディー)の順で入ってくる。オープニングの曲は基本的にツ
アーの通常メニューと同じ。ただしコーラスが入ったので微妙に趣
が違う。

音量が、殊に低域で強烈。耳にはあまり負担にならず、ベースとバ
スドラの低い音が体にずんずん響く。

1. はじめの一歩 (コーラス付き)

曲が始まり、8小節目で谷村がステージ中央に突然登場。セリ上がっ
て現れたのか単にスポットが当たっただけなのかは、リズムパート
の強い演奏に身をゆだねて上を向いてしまったため、登場の瞬間を
見損ねてしまって不明。

谷村の衣装はツアー通常メニューと同じ、チョコレート色のエナメ
ルの腰までのコートに黒いロングパンツ。髪はアップにまとめてい
る。

声が、変。のどを湿らせすぎているのか、かぜをひいて鼻声なのか、
ひどくとがった、耳につく声。しかも、あまり苦しそうな感じがし
ないから、わざとそういう声にしているのか。あああああ、あのク
リスタルボイスの谷村はどこへ行った。

コーラスの二人のバンドの中での位置づけはちゃんと整理されてる
んだろうか? どうも、不協和音なのか浮いていたり、マスクされて
聞こえなかったりという状況がときどき起こる。声質の食い合わせ
かしら。コーラス二人ともハスキー目の声だから。

谷村なのかバンドなのか、ときどきテンポが狂う。もちろん、テン
ポは観測者の体調によっても変化したように感じてしまうものなの
だが、これはそうじゃなくて本当にテンポが狂ってたと思う。

2. 優しいのにも程がある

谷村の声が余計湿っぽくなる。耳につく。これもわざとなのかなあ。

なんかだんだん谷村がどうでもよくなってバンドやコーラスに目が
行くようになってることに気づく。メモを取るためにステージから
目を離すのにも勿体ないと思わなくなってる。

混乱してるというか、いまひとつ音楽に没入できなくて妙に醒めて
る自分がいる。

3. 最後のKISS (コーラス付き)

谷村はチョコレート色のコートを脱いで、白い長袖で襟がジャージ
のようになったぴったりしたのになっている。通常ツアーと同じ。

条件反射のように自然に腕振りに入っていく自分。

4. 走れ! パンプス (コーラス付き)

うむ。コーラスをフィーチャーしてるとこの曲は自然に入ってくる。
但し、コーラスの人数が横浜アリーナのときより減っていることも
あってかコーラスがやや控えめに聞こえる。

5. 恋に落ちた (弾き語り)

歌い出しに入る前の静寂に変な掛け声を入れる客が出ないかハラハ
ラするが、そういう客がいない。客も成長したのか、それとも、単
にここにこの曲が来ることを知っているだけのことなのか。そんな
ことに気が入っていると座るのを忘れて、客がごそごそと着席する
音にようやく座ることを気づかされる始末。

とうとう、とがった声のままでこの曲までやりきってしまった。

(MC)

谷村の衣装は白いのを脱いでいて黒のぴったりしたベスト。恒例の
アコギを抱えている。

全国を回るツアーのお供がたまごっちであった。たまごっち情報は
インターネットで集めた。WWWの掲示板を通じてMickyというハンド
ルの女子高生と仲よしになった。

メンバー紹介: カズ、岩見、山下、渡辺、中村、藤稜、ジョーイ・
ジョンソン、メロディー・セクストン。

なんと、二人しかいないコーラスのうち女性の方はメロディー・セ
クストンである。この人、露崎春女のコンサートにもコーラスで参
加してたんだよね。で、横浜アリーナのThe Christmas Showのとき
にはいなかったんだよね。男性の方のジョーイ・ジョンソンは横浜
アリーナでコーラスグループをひきいてた人だ。

6. 一番大好きだった (ギター弾き語り)

終わって、谷村がギターを抱えたままピアノの脇の暗がりまで一旦
引っ込むからギターを下ろして次の曲に入るのかと思いきや、ギター
を抱えたままステージ中央に戻る。で、次の曲。

7. ときめきをBelieve (コーラス付きだったと思う)

この曲辺りから谷村の声質がクリスタルボイスへ近づいてきて、聞
きながら浸ろうとしていたら、左隣のDブロック最後列辺りに歌っ
てる男がいる。聞こえる音量で歌わないで欲しい。谷村だって客に
歌うことを求めてないし、僕らは谷村の歌を聞きに来たんで客のカ
ラオケを聞きに5000円払って来たわけじゃない。

谷村の声がきれいな方へ戻ってきただけに、勿体ない。

合唱みたいなお約束の種にするよりもアコギ中心のシンプルなアレ
ンジで谷村の声をじっくり聴かせる方へ振ってくれた今回のこの曲
の出来自体は、よかったと思う。

8. 一緒に暮らそう (コーラス付き)

カズのピアノとコーラスの二人と谷村だけのシンプルなアレンジ。

コーラスをどう絡めてくるのかと思ったら、概ね隠し味的に響く。
やっぱり声質の食い合わせなのかなあ。いまひとつバランスを欠い
ている感じ。コーラス弱すぎ。もうちっと前に出していいと思うぞ
この曲では。

ともあれ、最後のスキャットまで含めてきれいにまとまってはいる。
聞いてて嬉しかったから。

(MC)

ピアノの説明。

マイピアノ……嘘、レンタル。神戸かどこかで使ったのと同じもの。
「そうか、君か。」ハンブルク製、スタインウェイ D型フルコンサー
ト、製造番号353022。30万番台ということはできてから少なくとも
20年は経っている。昭和43年にCX(フジテレビ)へ納入され、平成8
年に再調整されてピアノのないホールへ貸し出されている。推定年
齢30歳。

9. 生まれかわる気持ち (弾き語り)

懐かしい曲をやります、と言って歌い始める。伸びる高音部がぐい
ぐい迫ってくる。

なんか、ピアノが忙しそう。音がいっぱい鳴っている。その分、ミ
スタッチらしきものがあると目立つ。

ピアノの音が硬目だ。

10. HALF MOON (コーラス付き)

私がこの曲をライブで聞くのは初めてのはず。

前の曲とは打って変わって、抑えめのボーカルでしっとりと聴かせ
る。高音を使ってぐいぐい押したりしてこないのは何か禁欲的な感
じがして、わざと箍をはめた中でいかに味わいを出すかに挑戦し、
最後に少し高いのを出してきて有り難みをもって味わわせる曲なん
だな、などと勝手なことを考えながら聴き入る。

最後に、ピアノへ戻って後奏に参加し静かなピアノソロになった後、
反秒置いて次の曲へ流れ込む。

11. Instrumental part I

第2主題から始まり、ピアノとシンバルとサックスだけの第2主題を
ひとしきりやり切って一呼吸おき、ヘヴィなアレンジで第1・第2主
題の変奏が展開されてゆくというところまで通常メニューと同じ。
各楽器がソロをとるところは従来より深く変奏がかかっていて、意
識的に第1主題だと思って聞きなさないとそのように聞こえない。

(ここでMCあったっけ)

12. Oh, My God!!

谷村は黒いベストを脱いで蛇の目模様の染め抜きのタンクトップに
なっている。

今ツアーでのこの曲のアレンジってベースがすごく強く出てるけど、
やっぱりそこらへんで最後まで居住まいの悪さがぬぐえない感じ。

サビのお約束で手拍子を頭の上で取るのがあったんだけど、演奏聞
いているうちにどうも似つかわしくないような感じがしてお約束に
参加するのが面倒になる。

従来ピアノソロのあった部分にはジョーイとメロディーのラップが
挿入される。かっこよくし上がっている。

13. 好きこそ物の上手なれ (コーラス付き)

バスドラてんこ盛りの長いドラムソロから始まる。その長いドラム
ソロの間谷村が袖へ引っ込んで衣装換え。シルクのプリントのシャ
ツに黄緑色のパンツで出てくる。

アレンジ自体はあっさりしていて気持ちよく終われるのは通常メニュー
と同じ。

14. 信じるものに救われる

前奏が少し変わったんじゃなかろうか。

15. 愛する勇気 (コーラス付き)

ここか、または前の曲から、谷村はパンツと同じ黄緑色のジャケッ
トを羽織っている。

最後の「ラララ」だけ合唱。合唱の途中でバンドの演奏がほとんど
止み、山下さんがリズムを取るだけになってすぐ、山下さんの刻む
リズムと客の合唱がずれて客の合唱に混乱が起こる。これは客やホー
ルの構造の問題ではある。

16. しあわせのかたち

やはりあっさりしているので聞いているときは気持ちよいのだが終
わると印象が薄い。

(MC)

96年はアルバムを出さなかったりラジオもやらなかったりだったが、
97年はどんどんやっていくのでついてきて欲しい。

17. 午前0時のオアシス (コーラス付き)

コーラスは控えめで、ほとんど隠し味。

終わると、一人一人メンバーを紹介して前へ呼び寄せる。メロディー
と抱き合ってねぎらい会う。最後に、拍手を受けながら手をつない
で決めポーズ。

(幕間)

Dブロックの後ろに当たるブロックの最前列に、「アンコール!」と
叫ぶ奴がいる。これで堰を切ったようで、この後こやつが頻繁に掛
け声を入れる。

(以下、アンコール)

(MC)

紙を読みながら告知。

4月からWWWのオフィシャルホームページができることになった。モ
ニター会員を募集するので配られたちらしを参照の上一緒にページ
を作り上げて入って欲しい。谷村からのメッセージやオリジナルの
インターネットライブや掲示板などを考えている。

E1. せめてもの I love you (弾き語り)

新曲。

割と速めのテンポで、流れるように、所々マイナーに転調しながら、
報われない片想いの詞を乗せて、ぐいぐいと迫ってきて、息もつか
せぬまま進んでいく曲。

全体としていかにも谷村らしいさわやかな印象の曲に不似合いな哀
しい詞を乗せるパターンだが、所々マイナーに転調するところでそ
の哀しさをにじみ出させるのが谷村にしては新機軸なのかな。なん
かそんな感じ。

(MC)

この曲は出来立てで、この公演が終わってからレコーディングに入
るつもりである。

E2. あなたに出逢えて

先ほどの速いテンポの曲のあとを受けてゆっくり目のこの曲でクー
ルダウンする感じ。

最後に、生声で「どうもありがとうございました!」とやるのだが、
その直後にDブロック最後列辺りから拍手が起きてしまい、まだ一
言谷村が言いたそうだったのを聞けずに終わる。欲求不満を最後に
残してくれる。

以上、19曲。

●終演 - 20:32

後ろの方、たぶん1階か2階の南西の前の方から、やや不発気味の音
頭があって、三本締めが起こる。例によって参加しないわけだが、
今日はアンコールの1曲目が速めのテンポの曲だったから三本締め
を似つかわしいと思うかどうかは結構評価が分かれそうな気がする。

出口へ向かう途中で青柳さんとすれ違った。関係者が楽屋方面へ入っ
ていく入口がアリーナから出口へ向かう経路の途中にあるためのよ
うだ。

受付でカメラを受け取り、広げた三脚に取りつける。表に出ると
「使用後」の撮影を待っている人の塊。武道館の出口前で使い慣れ
ないカメラ(いつも使っているAutoboy JETが故障のため代わりに
EOS Kissを持ち出したのである)の機能選択がうまく行かずてこず
りながら撮影し、田安門前街灯下へ移動。そこで再び記念撮影。

今日は特に幹事がいてオフミを仕切っていたわけではないので、適
当にばらけながら、気がついたら8人ほどの集団で飯田橋をうろつ
いていた。

●軽いオフミ

まず、店を探すのにてこずった。日曜日の遅い時間だから開いてい
る店が少ないのだ。

飯田橋駅からだいぶ離れたところでようやくあきらめ、手近なバー
へ入る。

前半声が変だったけど全体として概ねいい内容だったよね、という
ような評価で一致した感じ。客からの変な掛け声も少なかったし、
そういうのが入る隙も少なかった。ぱらぱらと入ってきても無視し
たり適当にいなしたりといった処理で間に合う程度。まあよかった
んじゃないの。

だいぶ遅くなって、22:50ごろ店を出る。実は終電ぎりぎりの結構
危険な時間であった。

以上

1997/02/09 30:00


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