1997/02/10 谷村有美 日本武道館
YUMI TANIMURA CONCERT TOUR 96-97 LIVE LIVE LIVE 〜しあわせのかたち〜 FINAL
アリーナP列33番
三浦敏孝, 早稲田大学
miura@muraoka.info.waseda.ac.jp

●使用前

松永さんが見つけたら寮から自転車ですぐのところだったという、
アルバム「圧倒的に片想い」のジャケット写真撮影地探訪の旅その
2である。

昨日のライブの後亀山さんや川口さんと盛り上がった件のツアーに
参加したのは、亀山さん、川口さん、永井さん、田村さん、三浦と、
それに道案内役の松永さんであった。

京葉線新浦安駅から歩いて行ける撮影ポイントで、私たちは去年の
武道館2日目前オフのときと同様、プロの写真家がいかなる仕事を
するものであるのかを思い知った。短くまとめれば、いかにして邪
魔者を消すか、である。「写真は引き算」とはよく言ったものであ
る。画角の広いレンズを装備していること自体はあまり重要ではな
い(同じ絵を撮るには非常に重要となるが)。

ジャケット撮影地探訪の旅を終え、九段下近辺の喫茶店を2軒はし
ごして時間をつぶした後、武道館へ向かう。田安門前街灯下で「使
用前」の撮影を済ませ、会場へ。

永井さんほか1名の購入した当日券が非常に良い席であることに今
回の谷村の武道館公演の客の入りの悪さを知る。

受付でカメラを預け、アリーナへ入って周りを見渡すと、1階・2階
の東西のブロックが半分以上黒いシートで覆われているばかりでな
く、2階の各ブロックの後ろ半分が全て黒いシートで覆われている
と指摘する声に納得する。松永さんの目測によると、アリーナと1
階・2階席をあわせてせいぜい5000人くらいしか入っていないよう
だ。だれかが言った。「会場は前年度実績で決まるから、来年は
2daysないね。しかも平日だ。」

●座席

遠い。やっぱり遠い。近いのに慣れちゃうと、こういう大きな会場
で不満を感じるようになっちゃっていけないね。

Pブロックは昨日座ったEブロックのすぐ後ろで、33番はその前から
5列目の左側通路脇。端である。前の列にはまたもやMLメンバの竜
さん、川口さん、石川さんが。ディスクガレージが持っていたのが
ここいら辺りということか。割と後ろへ来たのがスペシャルシート
乱発の影響か、はたまた単にくじ運の悪さなのかは不明。ただ、私
のすぐ前の竜さん、背格好が私と似たり寄ったりなのでちょい見づ
らい。(^^;

隣には、皮ジャンにリーゼントにサングラスといった出で立ちの、
サングラスを外したところを見ると年の頃は高校生くらいかと思し
き兄ちゃんが。仮にこのちょっと怖い格好で激しい動きをされると
どうなるかを想像として暗たんとなるが、コンサート全体を通して
極めてお行儀がよかった(←変な言い方だが実際のところ周りに迷
惑を全く及ぼさない、要するに普通の人だったのである)のでほっ
と胸をなで下ろすことになる。

●開演 - 19:02頃か

0. オープニング

BGMがとぎれてステージ上方のライトで客席を眩惑しながら客電が
落ちる。昨日は谷村登場の瞬間を見逃したので、今日は見届けてや
ろうと暗がりに目を凝らす。

暗い中で谷村を除くバンドメンバー全員が一度に配置につき、演奏
が始まる。

音量は昨日とあまり変わらない気がするが、低音が体にびしびし響
いてくるような感じはなくなっている。これが昨日の席との一番顕
著な違いと言えるか。

中村さんのキーボードにくっついてる縫いぐるみは何だろう。茶色
いからミドリマキバオーじゃないよね。形は子犬を漫画的にデフォ
ルメした感じ。

1. はじめの一歩 (コーラス付き)

曲が始まり、谷村がステージ中央に登場するのは歌い出しの瞬間か
らだった。が、やっぱり登場の瞬間は見届けられなかった。目を背
けていて見損ねたわけではなくて、ずっとピアノの前の暗がりへ向
けて目を凝らしていたのだが、舞い踊るバリライトの光条に暗がり
の中の動きがマスクされてしまってわからなかったのだ。なお、ス
テージを上から見下ろす席にいた永井さんによれば、谷村はセリ上
がっての登場だったのだそうだ。

声が、やっぱり変。とがった、耳につく声(耳につくのは音量のせ
いもあるが)。

やっぱり、私の関心は谷村に集中せず、バンドや照明に行く。ふと、
以前かやまさんから聞いた言葉が自分との関連を持って蘇ってくる---
もしかしたら俺、谷村から卒業しつつあるのかしら。

2. 優しいのにも程がある

昨日と同様、谷村の声が余計湿っぽくなる。耳につく。これもわざ
となのかなあ。絞り出すような痛々しさはないんだけど、なんか無
理して叫んでるような。

3. 最後のKISS (コーラス付き)

やはり条件反射のように自然に腕振りに入っていく自分。そうだ、
コーラスの二人って、腕振りしてたのかしら。

4. 走れ! パンプス (コーラス付き)

控えめなんだけど、しっかり存在感を主張するコーラス。いや、も
とがコーラス向けにできてる曲ではあるんだけど。

5. 恋に落ちた (弾き語り)

歌い出しに入る前の静かな暗がりが来ると、2階の方から2、3掛け
声が入るが、かすかなものである。

そうだ、と思い出してとっとと座る。周りの人に対してはスポイラー
になってるかもしれんな、と、ちょっと罪悪感がある。

とうとう、とがった声のままでこの曲までやりきってしまった。こ
れも昨日と同じ。勿体な〜い。

(MC)

歌はあんなにとがった声なのに、MCになるとしっかりいつものあの
クリスタルボイスが帰ってくるのである。やっぱりあの声質はわざ
となんだろうか。

何はともあれたまごっち。谷村が育てた個体の生涯の今までの最短
は2日、最長は24日。

谷村母の「不携帯電話」のエピソード。

オープニングの二人の男性の会話はジョーイとカズの声である。シー
ケンサなど使わず手作りで行くんだという意味。

メンバー紹介。谷村「カズって呼んでね」客(ほとんど男の声)「カ
ズー!」谷村「カズボンって呼んでね」客(同様)「カズボーン!」
「おっちゃーん!」少なからぬ「おっちゃん」コールにずっこける
岩見さん。中村さんの隠された才能は料理。「みんな、プリン食べ
な〜い?」ジョーイとメロディーは紹介を受けてあの歌声で民謡と
演歌を一節披露。気のいい人たちである。

メンバー紹介で谷村が客を煽ったためパンドラの箱が開いてしまっ
た。方々から飛ぶ掛け声。しかも、長いのも多い。それをあからさ
まに無視する谷村。歌おうとした矢先に入った掛け声に「歌っても
いい?」と返したのを皮肉だと理解できないのか悪びれもせず「い
いよー」……最悪。

6. 一番大好きだった (ギター弾き語り)

MCを経るとクリスタルボイスが帰ってくる。谷村の曲の中ではあま
り好きな曲ではないのだが、シンプルなアレンジの中にこの声が帰っ
てくると気持ちよく聞き入ることができる。嬉しい。

7. ときめきをBelieve (コーラス付きだったと思う)

最初の一節は谷村のアコギ一本(ここで岩見さんも弾いているかど
うかは気にしていなかったので覚えていない)とボーカルだけ。情
感を込めたというか、ところどころ楽譜通りより余計に伸ばす歌い
方をするのを客が合唱を始めるの除けかと解釈しちゃうのはうがち
すぎなんだろうな。

8. 一緒に暮らそう (コーラス付き)

カズのピアノとコーラスの二人と谷村だけのシンプルなアレンジ。

昨日よりもコーラスの存在感がある。最後のスキャットでコーラス
の二人に谷村が絡んでいくところが秀逸。嬉しい。この曲が今日の
一番。

(MC)

ピアノの説明。オーバーホールを受けたのは平成6年のことらしい。

パンドラの箱は閉まらない。2階かな、南東の上の方から、横浜ア
リーナでやった何とかをやってという女の子の声を無視すると、女
の子の声のしたところの近くから男の声で「返事して上げてー」目
をやるだけで先へ進む谷村。客はその意図を読み取れているんだろ
うか。

9. 生まれかわる気持ち (弾き語り)

伸びる高音部がぐいぐい迫ってくる。完全に起動した。エンジン全
開である。

(MC)

「生まれかわる気持ち」は谷村には珍しいウェディングソングであ
る。

10. HALF MOON (コーラス付き)

抑えめ。ぐいぐい押してこない辺り、やっぱり、禁欲的な感じがす
る。でも、いいぞ。

いいんだが、実は、座っているのがつらい。昨日のコンサートレポー
トは結局朝までかかってしまったせいで寝不足なところへもってき
て新浦安を歩き回ったのである。曲の気持ちよさに寝入ってしまわ
ないよう必死に抵抗する。

11. Instrumental part I

カズのアドリブが昨日とあからさまに違う。ほかのパートのアドリ
ブも、昨日と微妙に違う。

原曲の主題のメロディーからの距離が昨日よりも伸びている感じ。
もはやコード進行を残しているだけというか。いかにも変奏曲とい
うか。

終わって、暗がりであわただしく黒いベストを脱いで水を含みステー
ジ中央のマイクへ走りよる谷村。そうだ、急げ急げ、隙を作るんじゃ
ない。

12. Oh, My God!!

席の場所柄低音があまりびりびりと体に響いてこないせいか、ベー
ス強調のこの曲の今ツアーでのアレンジにようやく慣れることがで
きた感じ。

サビのお約束で手拍子を頭の上で打つのをやっているのは半分いな
いんじゃないだろうか。もはや、古い曲なんだよね。それに、ヘヴィ
なアレンジに手拍子のお約束って、何だかなあだ。

コーラスの二人のラップもかっこいい。

13. 好きこそ物の上手なれ (コーラス付き)

バスドラてんこ盛りの長いドラムソロからに続く前奏でのコーラス
の存在感。早口言葉みたいで気の毒なんだけど、上手くまくし立て
切れれば気持ちよく聞ける。

14. 信じるものに救われる

15. 愛する勇気 (コーラス付き)

最後の「ラララ」だけ合唱。合唱の途中でバンドの演奏がほとんど
止み、山下さんがクローズドハイハットでリズムを取るだけになっ
てからも、今日は客の合唱がずれ出したりはしない。ということは、
昨日ずれたのはホールの構造の問題ではなかったということか。

16. しあわせのかたち

この曲を終えてちょうど21:00。東京都の条例は大丈夫なのか。

(MC)

17. 午前0時のオアシス (コーラス付き)

終わると、一人一人メンバーを紹介して前へ呼び寄せる。最初の岩
見さんのときに、谷村が手を上げて例の「パン!」をやろうとする
ようなそぶりを見せるが岩見さんが反応しないまま全員呼ばれて出
てくるだけ。時間も押してるしね。

一人一人、手を握り、そのまま抱き合ってねぎらい会う。最後に、
拍手を受けながら手をつないで決めポーズ。昨日は右端の岩見さん
から順に左足を右足の後ろでクロスさせるだけだったのが、今日は
左端のメロディーで折り返して足の左右を入れ換えて右へ戻る。は
は、遊んでる遊んでる。楽しいんだね。

(幕間)

時計を気にし出すと拍手の続く時間が非常に長く感じる。そう、私
は今日の宴会の幹事。

(以下、アンコール)

(MC)

E1. せめてもの I love you (弾き語り)

全開で押してくるのをそのまま受け入れて聞き惚れる。

あとになって気づいた。このメロディーは米米の「君がいるだけで」
だ(いや、そのままじゃないけど)。

昨日のレポートで「新機軸かな」と書いたマイナーへの転調だが……
あれ? ないみたい。やっぱり知識の薄っぺらな者が知った風なこと
を書くものではない。

(MC)

この曲は出来立てで、タイトルすら明日にはどうなるかわからない
が、この公演が終わってからレコーディングに入るつもりである。

E2. あなたに出逢えて

クールダウン。

最後に、生声で「どうもありがとうございました! 愛してまーす!」
今日はちゃんと最後まで言えた。

以上、19曲。

●終演 - 21:35

今日も、後ろの方、たぶん1階か2階の南西の前の方から、やっぱり
やや不発気味の音頭があって、三本締めが起こる。が、そんなもの
はどうでもいい。荷物をまとめがてら振り向く竜さんに「急ぎましょ
う」と言い捨てて出口へ急ぐ。

受付でカメラを受け取り、広げた三脚に取りつける。表に出て「使
用後」の撮影をとっとと済ませる。暗い中AF補助光がレンズの太さ
とフードの存在のせいで蹴られてしまうためAFがずいぶん迷う。ちゃ
んと合焦してるかどうか自信なし。逆光のせいか、10秒後に0.7秒。

続いて、出席を取るのに備えてプリントアウトしたメモを鞄から取
り出しながら田安門前街灯下へ移動。そこで再び記念撮影。三脚を
立ててカメラのアングルを決めようとすると人が一人寄ってきて、
「貴方たちは一体何なんですか、写真ばっかり撮って?」え?! やだ
なあ、からまれちゃったよ、困ったなあ。「ファンクラブか何かで
すか?」畳みかけてくれたおかげでようやく返答が用意できる。私
「いえあの、違います。ファンの集まりではあるんですけどね。」
全然説明にも何もなっていないが、気が済んだのか離れてくれた。
あー怖かった。

気を取り直して撮影。そして、あわただしく出席を確認。集団を飯
田橋へ移動開始させると、岸さんに携帯電話を借りて(_ _)店へ電
話「5分遅れます。それと、二人分増やしてもらえますか?」

飯田橋へ移動する集団に急ぎ足で追いつく。オフミMLでやっておけ
ばよかったかもしれない段取りを先頭集団と歩きながら決める。す
なわち、店の入口で会費を徴収する労力の確保である。わかってい
る人たちは協力的だ。

●オフミ

自分で乾杯の音頭を取るのが少々気恥ずかしいが、佐藤さんと岸さ
んを追加して松永さんが参加しないまま帰っちゃったため都合24人
の「はみ出しホッホッホ」乾杯。少し嬉しい。

いらっしゃいませさんも多かったし、皆さん楽しそうに過ごしてく
れた。報われた気になる。

ただ、予想外だったのは、海の幸の寄せ鍋を中心とした3000円のコー
スは少々多かったみたいで、結構な量を残してしまったことと、2
次会キャンセルが多くて結局2次会参加者が5名になってしまったこ
と。私は2次会を放り出して先に帰っちゃいましたが、カラオケ屋
で私の名前で怒られていたようでしたらごめんなさい。(_ _)

もうひとつ、計算違いだったのは、遠田さんに「飯田橋24:08」と
聞いていたのが実はJR中央線の時刻だったらしいこと。安心してい
つも通学に使っている地下鉄東西線のホームに下りて愕然となる。
飯田橋24:16では半蔵門線九段下の最終24:13に間に合わない。やむ
を得ず反対側のホームへ移動し大学を目指すことにする。が〜ん。
最後の最後でつまづくなんて。

●宿泊

汗でべっとりして気持ち悪いのはさておき研究室でこのコンサート
レポートを書くべくとりあえず端末の前に座る。しかし、筆は遅々
として進まない。去年はコンサートを終えて気持ちよく帰宅すると
胸の熱いものを怒濤のようにキーボードへ叩き込まずにはおれなかっ
たのに、今年のこのもやもや、気後れ、倦怠感は何だろう。

依田さんには「いいんじゃない」って勧めたけど、ひょっとしたら
加藤さんのごとく武道館は見なかった方が正解なんじゃないかとちょっ
と不安になる。

結局、書かなければという義務感(それ自体は別に必要なものでも
ないのだが)だけはあるのに筆が進まずWWWに逃避してエヴァンゲリ
オンの同人ページを繰りながらまんじりともしないまま朝を迎えて
しまった。

とりあえず切り上げることにして気がつくといつのまにか革のコー
トが破けていることに気づいて暗たんとしたまま帰宅し一眠りして
からようやく書き始めてできたレポートがこれである。

以上

1997/02/12 03:10


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