1997/05/22 山崎まさよし NHK放送センター・505スタジオ
NHK-FM LIVE BEAT '97 公開録音
立ち見のみ
三浦敏孝, 早稲田大学
miura@muraoka.info.waseda.ac.jp

●入場

数回折り畳まれた二列縦隊の後ろの方へ加わり、放送センターのビ
ル内に入り、階段を上がり、いざ、505スタジオへ。

招待ハガキを係員に渡し、アンケート用紙を受け取ってスタジオ内
に入ると、なんと全員立ち見である。番組の公開録音といえば座席
が出ているんだろうなどと予想していたのだが、面食らった。本当
にライブハウスに詰め込まれた立ち見の状態よりは人口密度が低い
のが救いではあった。

放送局のスタジオというところへ入るのは初めてなのだが、天井が
高いのと、しつらえられたステージの反対側、ガラスのむこうに白
いタイル張りのように見える格子模様の壁面の調整室があるほかは、
ふーん、こんなものか、という感じ。絨毯の敷いてある木製の上げ
底らしい床と、スタジオの幅いっぱいあるステージと、そのステー
ジの両脇に垂れ下がるカーテンと、吸音構造らしいパンチングの木
製の壁面。これら以外は(ってそれじゃだいぶ違うじゃないか ^^;)
ライブハウスと変わらない。

あらかじめアンケートを埋めようとして用紙をつらつら眺めると、
「出演交渉して欲しくないアーチスト」なる欄があることに4人で
驚く。NHKおそるべし(何のこっちゃ)。

●前説 - 18:12ごろ

「はい、皆さんこんにちは。」ジーパンにジャンパーといった放送
局らしくくだけた出で立ちの40代くらいのように見えるおじさん
(ディレクターだろうね)がマイクを持ち、アナウンサーのように聞
き取りやすい声と滑舌で、注意事項のほか、「ライブビート」なる
番組が存在して(^^;)毎週水曜深夜24:00から放送されていること、
今日収録された内容は6月4日に放送されることなどを説明した後、
放送局らしく客の拍手の練習。そういえば、見上げると客のいる空
間には高い天井からぶら下がる細いマイクが2本あって、これで客
席の音を集音しているらしい。

前説が終わった時点でまだ18:20ぐらい。開演まで時間があるので
お手洗いへ用を足しに行く。出掛けに、「こんちは」という声とと
もに目の前を青いTシャツが横切って個室の中へ。不意打ちに訳が
分からず立ち止まった私の目の前、流しのところに客が一人固まっ
ていて、私と2秒ほど目を見合わせた後、口を開いて「あれ、山崎
まさよし。」おお! 思わず仰け反る私。しかし、個室に入られてし
まうと確認することもできないので、気を取り直してスタジオへ戻
る。このとき、「しかし開演直前に個室へ入るか」などという疑問
を抱くほど私は頭が回らなかった。

●開演 - 18:30ちょうど

ベーシストとドラマーを伴って山崎登場。「NHKホールへ移動した
方がええんちゃうか」とやって、ひとしきり客を煽り、

1. アレルギーの特効薬

従来と随分違うアレンジになっていて、ほとんど歌い始めるまで何
の曲だかわからなかった。そういえば山崎のライブでバンドが3ピー
スってのは初めて見る。

スタジオの音響特性のせいなのか、リズムパートが強調されている
のか、バスドラとベースの音が強烈で少々耳にきつい。

2. ステレオ

これもアレンジがガラッと変わっていて、スローテンポにドラムが
強く主張するようになっている。ほほう、そう来たか。面白い面白
い。

(MC)

後ろの方見えなくてごめん。次に来るときはもう少し背を伸ばして
くる。

3. Fat Mama

4. アドレナリン

(MC)

梅雨に入ってタオルが臭い。みんなどうやって洗ってるんだ。洗剤
は何を使ってるんだ。客「アタックぅ(おお、なぜかアタックのシェ
アが高い)」アクロンじゃどうもきれいにならない。目の前の女性
「アクロンは毛糸洗いじゃない。」そりゃそうだ。……あ、ちょっ
と待て、その前に、いいのか、NHKで商品名言って。(--;

5. 心拍数

ギターの弾き語りから始めて、やがてベースとドラムスが入ってく
る。最後の方、ドラムの主張が強すぎてちょっと私の好みから外れ
てしまうのがやや残念。

(MC)

最近、あまり変わったことがなくて話の種に困る。

そういえば、最近、むっとすることがあった。放送で、局アナに、
アドレナリンを「2枚目のシングル」と言われた。

三浦注: フジテレビの深夜枠にdaibabaなる生番組があって、泉谷
  しげるとかMAXとか翠鈴とか若手お笑い芸人多数が出てるのだが、
  先々週辺りたまたま私が見たとき山崎がゲストで出演しており、
  スタジオライブで「アドレナリン」をやったあとに問題のシーン
  があった。この日の「daibaba」では他に、MAXの「Give me
  shake」を山崎がブルースにアレンジしたのをギター1本で伴奏し
  てMAXの一人が歌うセッションをやったり、泉谷しげるに「25歳
  ぐらいでギブソンなんか持ちやがって、俺が若いころはそんな名
  器は買えなかったんだ、YAMAHAから始めろ」といじめられて山崎
  がたじたじになるシーンがあったりした。

最近山崎が凝っていること: イカ(どんな話だったかは覚えてない)、
便所掃除

ベースの中村キタローさんの趣味は釣り。ダムや池などでヘラブナ
を釣る。釣ったヘラブナは食べたりせずリリースするのだが、大き
いのを釣ると魚拓をとって半分黒くなったヘラブナを放すときが面
白い。

ドラムの山木秀夫さんは……マイクがないので喋れない。

6. 月明かりに照らされて

これまたアレンジがすごく変わっていて新鮮。ギターの和音もやや
マイナー目にいじってあるような感じ。

(MC)

ニューアルバムHOMEは買っていただけましたでしょうか。もうじき
御中元のシーズンですし、贈り物にひとつ……

7. HOME

他の曲ではリズムパートが激しく主張する中でこの曲の演奏は山崎
のギター一本だけ。ほとんど定石なんだろうけど、上手いな、こう
いうもってきかたは。

(MC)

喋るネタが浮かばないらしく、なんか上手いこと言えんのかい俺は、
と、ひたすら口ごもり続ける山崎。

8. 昼休み

ライブで過去に1回聞いたことがあるだけ、CDも昨日買って1回流し
て聞いただけのせいか、わりと激し目の曲なのに印象が強くなくて、
実際に聞いてみるまでどんな曲だったか思い出せなかったりする。
しかもCDとはアレンジが違うので余計わからない。

9. パンを焼く

恒例の早口言葉コーナーもしっかりあるんだけど、これ放送すると
印象が違って聞こえそうな気がする。

(MC)

電子レンジが欲しい。しかしふんぎりがつかなくて買えないでいる。
そういえば、洗濯機も欲しいのだが、買わないでコインランドリー
で待ち時間を持て余している。

10. セロリ

(MC)

私の前方右側の女性が「やっぱり本家は違うね」山崎「あたりまえ
やないか」

公共の電波に乗るから今のうちに言いたいこと言っとけ。客「きゃー」
それだけかい。

次が最後の曲。会場「えー!」番組のサイズってもんがあんねん。

11. ヤサ男の夢

(幕間) 19:30-数分間

山崎たち出演者が引っ込んでも拍手が続く。番組の公開録音だから
アンコールは期待していなかったのだが、追い出しもかからないし、
やっぱりあるのかなあ。

しばらくして、ギターのチューニングをはじめたローディーに客か
ら「歌ってー」という声と笑いが。

(以下、アンコール)

前の方で「アチョー」と叫ぶ女性客が一人。この前のパワステのア
ンコールで「燃えよドラゴン」のテーマに乗せてカンフーの服にヌ
ンチャクを持って現れたのを種にしてるんだが、そういう内輪受け
で全体が盛り上がれるぐらい客層が狭い辺り、まだまだ本格的ブレ
イクには遠い道程があるように感じる。

前の方でフラッシュが一つ光る。あれれ。何だそれは。

E1. 根無し草ラプソディー

曲の前の一発が引き金になって、会場のあちこちでカメラのフラッ
シュが光る。最初のうちは番組収録の都合で巻きが入ってる表示な
のかと要らぬ想像を巡らしたりしたが、いくつかの光とともにカメ
ラが見えて納得。確かに、入場時のカメラチェックもなければ開演
前の注意事項で禁止が謳われたりはしなかったし、番組の収録は本
編だけでおしまいなのだろうから今仮に演奏に悪影響があったとし
てもNHK的には許容されるのだろう。でも、カメラのフラッシュで
あることがわかってしまうと、興が冷めてしまった。撮ること自体
は俺は構わないから、フラッシュは焚かないで欲しいものだ(ラジ
オの収録では照明が暗いのとコンパクトカメラにはフラッシュの発
光を禁止できないものが多いのであまり現実的でない要求になって
しまうが)。

以上、12曲。

●終演 - 19:42

山崎のライブでは始めて見る3ピース構成のバンド、しかもベース
とドラムスに入っているのは従来と違ってCDの収録に参加していた
二人。さらに、ほとんどの曲で従来とアレンジがかなり変えてある。
公開録音のためだけにそうしたんだとしたらすごいサービス精神だ
ということになるんだが、あとで三宅さんに聞いたところでは
HOMEGOROSHIツアーではこの構成とアレンジで行くのだそうな。

ライブの内容の密度が非常に高くて、たった1時間・12曲のライブ
だとは思えないくらい終わった後の満足感が強い。

客からの掛け声については、言葉は概ね明瞭だったし、独り善がり
な長いのはなかったし、間も悪くなかったしと、私が不快に思う、
というか好みに合わなくなる3条件をうまいことはずれていたので、
私の好みから見て全体に許容範囲内だったのはラッキーだった。

ただ、気の毒なことに私たちの後ろに立つことになった背の低い女
性数人連れの声がたまたま耳障りな周波数成分を多く含んでいたの
が気になった。一般に、会場の中で居場所が後ろだったり、目の前
に背の高い人がいたりして視界が遮られたりしてアーチストからの
距離が離れるほど、却ってアーチストに自分の存在を示したりアー
チストを独占したくなったりするあまりなりふり構わない掛け声が
発生しやすくなる傾向は(どのアーチストのライブでも)あるように
思う。そして、話が確率論になると、分布の端の方、たとえば4σ
の外とかに当たる人数が大きな会場では1より大きくなっちゃうこ
とを心配するのだ。

以上

draft: 1997/05/22 26:40


●後日談

 実は、本ドキュメントはMLに流して以降幾つかの訂正を経ていま
す。幕間に客がローディーをいじったりといった、新たに思い出し
た事象の追加などが主です。

 それから、電子レンジや洗濯機が欲しいのだがふんぎりがつかな
くてまだ買っていないという話をどの辺でやったか覚えておいでの
方がいらっしゃいましたら教えてください。

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