「リムルル!」
ナコルルはあわてて妹をたしなめた。しかし、当のリムルルはそんな姉のあわてぶりにはお構いなしで、まだ上を向いて考えている。そのうちまたぱっと顔が明るくなり、大声でガルフォードに話しかけた。
「シゼンノムクイヲウケナサイ!」
「? なんだいそれは?」
ガルフォードがつぶやく。
「リムルル!!」
もうナコルルは耳まで真っ赤である。リムルルの手を引いてガルフォードから離れたところまで連れていき、何か早口でまくし立てている。リムルルも負けじと言い返しているようだがガルフォードにはとんと分からない。
ガルフォードにとって今まで見たことのないナコルルの顔だった。今まで戦いの中でしか見ることの無かった、使命を全うすべく気を張りつめていたナコルルの別の顔がここにある。カムイコタンの民として、姉として、そして一人の少女として。
ガルフォードは一つ肩をすくめると傍らのパピィに向かって笑いながら話しかけた。
「ま、ゆっくり待とうよ、パピィ。姉妹喧嘩が終わるまで。」
パピィはナコルル達を見つめるとパートナーに向かって力無く吠えた。
喧嘩が終わるのを待つ位の時間はたっぷりとある。もう今は平和なのだから。
一言
最初ギャグとして書き始めたのに何故かこういうオチになって…というかオチなかったので、先ほどの部分で終わらせました。