鳥取砂丘コナン空港フェスタ2016 「だいせん」登場!

PART1 地上展示

 2016年10月2日(日)、鳥取県の鳥取砂丘コナン空港に於いて「鳥取砂丘コナン空港フェスタ2016」が行われた。

今回のトピックは機体更新となった鳥取県消防防災航空隊の「だいせん」の登場である。


鳥取県消防防災航空隊 アグスタAW139 だいせん

 初代のベル412EP「とっとり」に次いで2代目となる機体はアグスタAW139、美しいカラーリングは初代から踏襲、愛称は一般公募で決定した「だいせん」に変更されている。
この愛称の大山(だいせん)は鳥取県を代表する山の名前で、日本百名山の一つに数えられる。
登録番号は「JA31TA」、31番は鳥取県の都道府県コードを、TAはTottori Air Rescueを表している。

 2015年3月に納入後、耐空検査、訓練を経て同年12月に本格運航を開始。
運航は365日体制で、救助、消火の他、救急搬送も行う。
昨年(2015年)の同フェスタは9月だったので、この時にはまだお目見えしておらず、今回が一般への初お披露目となる。

 当初の天気予報では台風18号の影響で雨・曇であったが、当日は奇跡的に晴れ、雲ひとつない晴天となり、航空ファンにはこの上ないプレゼントとなった。

 さて、航空機の展示といえば普通は周りに立ち入り禁止の柵があり、機体には近づけないのだがここには米軍のオープンハウスのように柵がなく触り放題、ドアも解放され、キャビンも見学自由となっていた。

 エプロン開放は定期便の運航に支障が出ないよう、午前と午後の2回、30分のみ行われる。
今回、午前中にエプロンに入ることが出来たので以下にレポートする。

 10:00にエプロンが開放された直後は、観客の入らないショットが撮れたが、数分後には黒山の人だかり、人気の程が伺える。
 正面に回ってみると、何とサンバイザーに目が描かれていた。
Disney映画「プレーンズ2 ファイヤー&レスキュー」に出てくるキャラクターをイメージしたとのことで、隊員の方のアイデアという。こうしたお遊びもフェスタならではで、実に楽しい。
子ども達は「あっ!目がついてる!」と機体に駆け寄って触ってみたり、隊員の方と一緒に記念撮影をしたり、とおおはしゃぎしていた。プレーンズ2では主人公を鍛えるレスキュー隊の頼れる隊長「ブレード」というキャラクターが登場するが、これはAW139をモデルにしている。「正に本物のブレード隊長」に会えたようで、子ども達は大喜びしていた。


こうしてみると、アンテナフェアリングが「鼻」に見え、実にユーモラス


鳥取砂丘を代表する「らくだ」が描かれている   プレーンズ2のブレード隊長 (C)Disney



こうしてみると「鳥」のようにも見える




ホイストは270kgまで対応可能。 描かれたマークがセンスを感じさせる



先進のグラスコクピット




キャビン後方 (後部開放型で装備の収納が可能)




 エプロンで見学できるのは30分のみであったが、観客からは「何キロまで吊り上げられるんですか?」、「クーラーついてるんですか?」など、色々な質問が飛び交い、隊員の方も笑顔でフレンドリーに対応し、地上展示は終始なごやかな雰囲気で行われた。

 その中で今回の機体更新について色々とお話を伺うことが出来た。
(初代のベル412はベストセラーの名機、一方AW139は412よりも開発年度がずっと新しく性能向上は当然で比較は意味はないのだが、それを踏まえての質問である)

<良くなった点>

・高高度性能が上がり、中国地方最高峰の大山でも余裕のpower
・航続距離が増大し、活動中に他のミッションが入っても対応可能となった。
・今年(2016年)4月に発生した熊本大地震の際も駆けつけたが、ノンストップで1時間40分で到着。
 (412は途中で給油する必要があった)
・キャビンが広くフラットで乗り後心地が格段に向上。高級車に乗り換えた感じ

いいことずくめだが、公平を期すため、敢えて気になる点を挙げて頂いた。

<気になる点>

・ホイスト位置が前方へずれた為、腰に装備するスリング等の余長が変化した。
(先にAW139を導入した広島県でも同じ話をお聞きした)
・アビオニクスに電子部品が増えた関係で多少デリケートな扱いが必要。
・Powerが増大した分、ダウンウォッシュが大きくなったので、要救助者に配慮し、少し高い位置から作業するよう心がけている。

 以上である。
機種変更にはリスクも伴う。リスクアセスメントをしっかり行い課題を抽出。それを一つ一つ確実にクリアしてゆくことが求められる。本運航までの9か月の訓練の必要性を切に感じた次第である。 



同隊パンフレットより

同隊パンフレットより

 今回、鳥取県消防防災航空隊の展示を見て、感心したことがもう一つある。
それはデザインセンスの良さである。機体の美しいカラーデザインは言うまでもないが、Tottoriの頭文字のTを機体に見立てた航空隊のマーク一つをとっても実に素晴らしい。今回のサンバイザーのラクダの絵も然りである。パッチに至ってはもしレプリカを販売したら売り切れ間違いなしの見事なもの。皆さんもそう思いませんか?


 さて、エプロン開放時間が終了。次はいよいよデモフライトである。
だが、ここにはもう一つお楽しみがある。航空祭などに於いては展示される機体はハンガーからエプロンまでトーイングされることが多いが、ここ、鳥取県防災航空隊の基地・ハンガーは空港の東に位置し、展示場所から遠いので、何と飛んで移動してくれるのである。
(2013年の同フェアでも初代ベル412はデモフライトは予定になかったが、飛行シーンを見ることが出来た。)



鳥取砂丘コナン空港鳥瞰図  Google Mapより


 約7分後、だいせんのエンジンがスタートした。
頼もしいローター音が響く。


デモフライト準備に一旦基地へ帰るためTaxingを開始



Taxing中のだいせん 水平安定板両端のwingletがよく分かる。 目の前には真青な海が広がる




いよいよTake-off!



豪快に右にひねりTurn!



R/W上をフライト



「ようこそ鳥取へ」の文字が描かれた場所へと機を進める



「ようこそ鳥取へ」の上でターンして基地へ着陸 (アニメーションで表現しています)

 基地で体制を整え11:15からのフライトに備え、「だいせん」は出番を待つ。
さて、どんなフライトを見せてくれるのか?!

気になるフライトはPART2に続きます。
                                                           2016/10/08 初稿

PART2 展示飛行 へ


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