第11話
- あらすじ
- 川浜高校が猛練習に明け暮れているそんなある日、とうとう目標である相模一高を倒すチャンスが訪れた。練習試合をすることが決まったのだ。賢治はそのことを部員に告げて部員と共に雪辱に燃えるが、一方で脳腫瘍に冒されているイソップのことが気になっていた。ある日森田の姉さん(夕子)がしばらく家を留守にするため、部員が交代で「新楽」の手伝いをすることになる。手伝いに行ったイソップは自分の家の近くに出前をすることになったのでついでに家に寄った。家にはイソップの病気のために親が呼んだ祈祷師がいた。このことからイソップは自分が脳腫瘍だと知り家を飛び出す。賢治が学校から帰るとそこには圭子がいた。圭子は大財閥の父親、富田義道が勝手に婚約させようとするから飛び出してきたという。学校にはイソップに親が訪れ、イソップが行方不明だと告げる。賢治たちは今まで部員たちにイソップの病気のことは伏せておいたが、いっさいの事情を話し部員たちはイソップを必死で捜した。しかし結局見つからないまま、相模一高との練習試合当日を迎える。試合に対し賢治や大木、山崎は中止にして探そうと言うが、多くの部員が試合をしたいという。結局試合をすることとなり、顧問という立場上賢治も試合に向かわねばならなかったが、大木は一人飛び出していってしまう。他の者は相模一高のグラウンドに着き、着替えを始める。そこでイソップのデザインしたジャージを見る森田はやはり試合なんかできない、探そうと言い出す。皆も納得して賢治は直前になって試合の中止を申し出た。すると勝又は一緒に探すと言う。かくして川浜と相模一高の部員がコンビを組み、必死の大捜索が始まった。そしてようやくイソップらしき人物が郊外の山林向かったらしいことがわかった。皆はまとまって山林を捜索するとイソップが着ていた「新楽」の服が見つかった。そこへ駆けつけた圭子はラグビーボールを持っていた。イソップが自分のことを思っている人がいるということに気づけば気持ちを強く持てるだろう、と考えてのことだった。結局必死の捜索にも見つけることができずに日が暮れ、一同は目立つ場所にボールを置いて帰る。その夜、イソップはその山林を死に場所求めてさまよっていた。そしてイソップは死を決意し、ある木の前で止まった。枝にロープを引っかけ、制服をきれいに畳んで足下に置いた。そのときイソップは根元のボールを見つけたのである。「イソップすぐ帰れ」の文字にイソップはボールを抱き、そして学校に戻ってきたのである。部室にいるイソップを賢治は見つける。イソップは賢治に「ラグビーに最後の別れをしにきただけ」と言うと屋上に向かって飛び出した。そして飛び降りようとする。みんなが説得をするも、気持ちの変わらないイソップに対し賢治はイソップの生存本能をかき立てるべく必死に呼びかけた。そしてついに思いとどまらせ手術を受けさせることとなる。数日後、グラウンドに来たイソップの父は、部員や賢治に手術の成功を告げる。部員は喜び練習に走り出すが、賢治を呼び止めたイソップの父は言った。「実はあまりに症状が悪かったために、何もせずに閉じてしまった。イソップも良くなったものと喜んでいる。」と。一方圭子はその後「新楽」で働くことになるがそこに父富田義道が現れたのである。ラグビー部をはじめ賢治を取り巻く環境にいったい何が起ころうとしているのであろうか。
- 独り言
- 特になし
- 「心配してもらっても何ともなりません。」
「なに?」
「同情してもらっても死ぬのは大木君でも先生でもない。僕なんだ。僕はラグビーに最後の別れを告げに来ただけなんです」
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「馬鹿野郎!!死にたい奴は死ね!何をぐずぐずしている。最後の最後まであきらめないのがラガーマンだ。手術一つ受けられない意気地なしはさっさと飛び降りろ。死んでしまえ。どうした。お前みたいな弱虫は、たとえレギュラーになったとしても一本のトライも挙げることはできないぞ。死にたければ死ね!」
「イソップ、最後にこれを見ろ。こいつをデザインしたときお前はどういう思いを込めた。どんなことがあっても戦おう、そういう願いだろ。だから俺たちはこいつを採用したんだ。ところが本人のお前がそれを裏切ろうとしている。俺たちを裏切るのはかまわんが、お前は、お前は自分で自分を裏切ろうとしているんだ。お前なんか、お前なんか惨めなドブネズミだ!」
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