第17話

あらすじ

名村財閥の出現によりラグビー部の状況は最悪であった。名村謙三を憎む大木が、その血を引いていることが解った圭子に対して冷たくあたり、それに伴い大木と森田の関係が悪化した。その雰囲気がチームにも伝わり、常に険悪なムードが漂っていた。これに打つべき有効な手段が見つからない賢治は、ある日ゆかりの絵日記を見た事からヒントを得て、部員に日記を書かせることにした。提出された森田からの日記には「八つ当たりをしている大木はおかしい。それに対し先生は大木の肩ばかり持つ」と不満を漏らしてきた。これに対し賢治は「間違ったことに対し注意をしているだけだ。ひいきなどしていない。」と言うと納得のいかない森田は日記を提出しなくなった。一方大木の日記は毎日「書くことなし」である。賢治は直接話を聞くと、「八つ当たりが筋違いであることは解っているが、普通には接することが出来ない。試合ではしっかりやるから」と言う。秋、県予選が始まると大木の言うとおり見事なチームワークで順当に勝ち進み、決勝で宿敵相模一高と戦うことになった。決勝戦が始まると、序盤川浜の優勢で試合は進んだ。それでも前半が終わって6-3とわずか3点のリードである。しかし自分たちの力に自信を持ち調子に乗る部員に不安を抱いていた賢治は、ハーフタイムに大木と森田の軽い振る舞いを叱った。しかしフォワードとバックスはお互いに「もっとしっかりやれ」と言いあうざまで、賢治は不安を拭えずにいた。川浜は個人プレーが多いと判断した相模一高は後半、ハイパント攻撃から突破口を開く。これが見事に決まると、逆転され点差は見る見る広がっていった。自信は崩れ、さらに個人プレーに走る川浜に勝機はなく、もろくも敗れ去った。試合後、賢治はあえて何も言わなかった。このことから選手が何かを学ぶことを信じ、待ち、許すことにしたのである。数日後、森田から久しぶりの日記が届いた。あの試合が引退試合となった森田は、悔しさのあまり圭子を「めちゃくちゃ」にしてしまおうとしたこと、圭子のつらさに比べ自分が恥ずかしくなったこと、後輩の大木たちが花園に出場したら圭子と結婚しようと決めたこと、来年こそは自分の果たせなかった夢を果たして欲しいと言うことなどを、賢治への感謝の気持ちと共に綴ってあった。賢治はその日記を大木に見せると、大木は森田と圭子の前で謝り、来年は必ず花園に行くから、そうしたら結婚してくれと頼んだ。賢治は、試合には負けたが貴重なものを手に入れたことを確信した。

独り言

相模一高との試合で、大木がノットリリースだったのに、森田がペナルティーキックを狙っているよ。
前年、109-0で負けた後、今年の試合に、大木が自分の腕を賭けてたけど、見事に負けたよな。

「6月17日 別に書くことなし」
「6月18日 別になし」
「6月19日 なし」

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「しかし、ラグビーのユニホームっていうのは、どうして、ああシマウマ見たいのが多いのかね」
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「慢心だ。慢心以外の何者でもない」

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