第23話

あらすじ

国体を終え、練習に励む川浜であったが、その後の練習試合では負け続け、チームは5連敗であった。そんな中、スランプの川浜にあって一人元気なのが清川であった。清川は家庭の苦労にもへこたれず、いや家庭がつらい状況だからこそ、ラグビーは元気に振る舞った。ある日、そんなムードメーカーの清川のもとに、板倉組が乗り込んできた。学校にも平気で乗り込んでくる板倉組に対し、清川は「心配しないでくれ」と相変わらず元気に部活に励んでいた。そんなある日、賢治のもとに大木が訪ねてきた。がんばりが認められて、正社員になったと言うのである。大木は会社の計らいで勤務先も千葉になったという。一方、思わぬところで問題が起こっていた。「新楽」のマスター、下田 大三郎が昼間からキャバレー通いをしているというのである。賢治と大木がその店を訪ねると、大勢の男がテーブルを囲んでいた。大三郎は「川浜 浜っこクラブ」というラグビーチームを作ったのだという。そこにはラグビーを愛する多くの人たちがいた。そしてその中には、かつて賢治をもっとも苦しめた水原までもいた。「浜っこクラブ」はマークをコーチに迎え、河原で練習をした。ある日、賢治たちは部活の最中に、「浜っこクラブ」の練習に出くわした。しばらくそれを眺めていると、高校の時より楽しいという大木、失敗をおそれるなというマークに賢治は目から鱗が落ちる思いがした。賢治は部員たちに、これからは少々のミスは叱らないからのびのびやれと言った。ラグビーを楽しむようになった川浜ラグビー部は、次の練習試合では見事にスランプを脱した。しかしその試合でも結局は負けてしまう。原因は清川であった。試合後賢治は清川に問いつめたが、何でもないという。しかし清川のヘッドキャップの下は傷だらけであった。板倉組の仕業であった。部をやめると涙ながらに話す清川に対し、賢治は何とかしようとするが、部に影響がある方が悲しいという清川の前に賢治はあえて何もしないと言った。しかしそんな賢治はある日黙って板倉組に乗り込んでいった。それを知った清川は大三郎に言うと、大三郎は賢治を追った。途中で賢治を捕まえた大三郎は、何を言っても聞かない賢治を殴り、気絶させると自分が板倉組へと向かった。その後まるで散歩にでも行くように板倉組と歩いていく大三郎であったが、刺されて重体となった。翌日賢治をはじめ多くの者が病院に見舞う中、大三郎を刺した組の者が謝りに来る。怒り狂う大木や清川の中、大三郎は許してやれと言った。大三郎は翌日静かに息を引き取った。葬儀には多くの関係者が訪れた。妻夕子は、その後一日休んだだけで店を再開させた。そんな夕子を鈍感だという光男であったが、賢治はその後暗い店内で一人泣く夕子の姿を見る。その後賢治たちラグビー部はマスターにがんばる姿を見せるべく練習に励んだ。

独り言

正社員になって千葉に来た大木、仙台でのラグビーはどうしたんだ。
かつて数々の暴力に立ち向かった賢治を一発で気絶させるとは、マスター最強だな。
水原と大木が同じ場所にいるなんてなんかうれしいな。俺だけか。いったいどっちが強いのかな。
光男は夕子の泣いたのなんて見たことないって言ってたけど、しょっちゅう泣いてたよな。

「確実にミスしない方法が一つだけあります」
「なんにもしないことです。でもそれは死んでると同じ事です。生きてて何かすれば、神様でない限りミスをするのは当たり前です。人間には失敗する権利があります。さあ、どんどんミスをしてのびのびとプレーしましょう。」
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「なんだか眠くなってきた」
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「あれ見ても、これ見ても、何見ても、あの人が作ったもんばっかりですよってな。そのおかもちのへこみさえ思い出がありまんねん。あののれんも、毎日洗ろうて取り替えろ言うて、あの人うるそうしてな。もういいへんのやなあ、あの人。人は亡くなっても、空耳で声が聞こえたり、幻で姿が見えるってよう言いまっしゃろ。そやけどうちにぶいでんな。あの人の姿なんか見やしえへん。夢でもええ。幻でもええ。もういっぺんあの人に会いたいですわ。先生、今夜は泣かしとくんなはれ。思いっきり泣かしとくんなはれ。」

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