1994/09/29 谷村有美 神奈川県立県民大ホール
Concert Tour '94-'95 withII
1階10列25番
三浦敏孝, 早稲田大学
miura@muraoka.info.waseda.ac.jp

●開演前

電車で移動中や開演前の待ち時間が手持ち無沙汰になるのは判って
いたので、翌日の授業で使う資料を書く作業をノートパソコンに詰
めて持って出るつもりだったが、雨女が台風引っ提げてやってきた
のに危険を感じて断念。TBSテレビで見た森田さんの予想降雨量分
布で100mm以上だか、一番色の濃い領域に神奈川県はすっぽり入っ
ているのだ。ところが、かなけんに着くまで雨はほとんど降らず。
台風の足が遅いせいと思われるが、だとすると帰りに暴風雨の中を
歩かねばならないのでまだ油断できない。

●座席

遠すぎることはない。ステージ上にいるのが人だという実感を持っ
て見ることができる。表情がわかる。目線も追える(こっちに来な
かったことがわかってしまった)。しかし、いくら何でも泣きぼく
ろまでは無理。
通路脇だったのはラッキー。目の前の人(男性)は私と背丈が同じく
らいだったので、横にずれないと見えないことがあるのだ。

1. ときめきをbelieve

既に綾瀬と浜松のレポートを読んでしまっていた私は驚くことはな
かったが、登場の仕方が格好よかった。なるほど、ああいう作り方
もあるのネ。

赤い、ラメが入っているのか光る感じの素材の暖かそうなコートを
羽織っている。割と落ちついて歌っているような感じ。かっこいい。

最初から声がちゃんと出ている。ジジイに言わせると物足りないと
かいった評が聞かれるかも知れないが、私には検知できない。むし
ろ、後の方で音量が大きすぎて声が割れ気味に聴こえたり、周波数
の低い方の成分が聴こえないように感じたのに比べると最初の数曲
が一番声が綺麗に出ているのではないか。

2. 元気出してよ

綾瀬と浜松のレポートを読んでいるとはいえ、曲目までは(「もう
恋は。」や「Tonight」などの大物の存在といったトピックを除い
て)細かく覚えていないので、そう来たか。ふーん。

3. いちばん大好きだった

この曲の歌詞間違いというと「意地悪な時間に意地悪された」がこ
れまで一番ひどかったというか、印象に残っているが、そんな物の
比ではない。

額に手を当て忘れて口惜しがる仕種をし、数小節の間歌わないまま
曲が進む。客は皆「ヒューヒュー」と、励ましてるんだかはやして
るんだか。その後も結構ポコポコ間違える。まあこちらはいつもの
こと。いつもながらしっかりして欲しいと思う。

私も成長しており、谷村が間違えてもうつむかずに聞き続けられる
ようになった(そんな成長させるな)。通路を隔てた隣の人は「やっ
たあ」とばかり(口には出さないが)うつむいて首を振っている。

   (挨拶)

いつもの挨拶。

4. Somebody loves you

ボロボロ。
こっちの端にいるとき数小節飛ばし、反対側の端にいるときも数小
節飛ばす。同じフレーズを何回も使い回す。挙げ句に、曲の最後
(後奏?)で「ちょっと待った!」と曲を止める。
「御免、もう一回やらせて、この曲はちゃんと歌いたいから」
バンドに向って「すいません」と謝る。
「ごめんね、お金取ってリハーサル見せてちゃってさ」
「実は今日ちょっとアタシ思いっきり気合い入れて来ててさ、気合
い入りすぎてるのよ。どのくらい気合い入ってるか後で話すからさ」
暫く口ずさみながら詩を思い出す。
「オキラクでいいよねじゃ後ろ指さされちゃうわよね」
「それでは、何事もなかったように、神奈川県民ホールにようこそー!
今日は最後まで楽しんで行ってねー!」
岩見さんがギターの音で小さく茶々を入れる。

で、歌い直す。すっ飛ばしはなくなったがいつものエラーはなくな
らない。さっき「ちょっと待った」で止めたところから次の曲の前
奏に直に繋がる。だからここで止めたのかと納得(納得させてどう
する)。

5. 彼女のフィアンセ - ピアノソロは青柳さんの数小節のみ

ふむ、これか。間奏のピアノソロが楽しみだ、と思っていたらそれ
ほど長くはない青柳さんのソロが入るだけだった。
Oh, my god!!の「ワンパターンと言われようと好きなのよ」を綾瀬
のレポートで読んでいたため、あれがあるならこっちはこんなもん
かと納得。個人的には、長いピアノソロのある曲という位置付けで
Oh, my god!!を置き換えていい曲だと思う。

6. 一緒に暮らそう - 「にゃお」つき

実は結構飽きが来ている。が、いい曲ではある。

曲が終って座ると、隣にいた女性二人連れが何やら話している。
「21くらいの頃はさあ……(後は聞き取れなかったが、21というの
が谷村の歳だとすると、彼女らはすごく古くからのファンというこ
とになるらしいことだけはわかった。MPで取れるような前の方の席
にはこういう人達がいるのかと納得)……最近は慣れてきちゃった
のかなあ……(豪快に間違えて居直って歌い直したことを指してい
るのだろうか)……」

   (MC)

「いやぁ、かなけん遠かったわぁ」
長いMC。
水曜日は大阪でMUSIC GUMBOを生放送しているが、番組中に入って
くる台風情報を見て翌朝発の新幹線をやめ、夜中発のブルートレイ
ンで東京へ移動することに決めたそうだ。ブルートレインに乗ると
そこらじゅう藤子不二雄Aや喪黒福蔵(要するにいかにもといった感
じのオヤジ)だらけだったり、いびきがものすごくて周りから人が
いなくなった人の話など、車掌を交えて珍道中だったという話。朝
6時59分に新横浜(?)に着いてみると空は晴れていたそうな。

WITH2ツアーに因んでWITH2の宣伝(「買ってください」とは言わな
いが)。とっておきTuesdayに来たリクエストが反映されているとい
う話。

「ニューアルバム年内発売間に合ったわよ」
10日(10月10日のことか)でレコーディングが終る予定なのだそうだ。
ということは、10月10日を過ぎれば歌詞飛ばしはなくなることを期
待してよいということか。
# 私の次のコンサートは10月27日の相模大野なのでありました

7. もう恋は。

これも綾瀬のレポートで知っていたため驚きはしなかったが、聞き
惚れていた。

8. 友達(弾き語り)

既に歌った「元気出してよ」で答が出ているのだからこの曲の能書
きはもはや要らないと思う。単に「気に入っている」でいい。

9. それでもあなたを愛してる(弾き語り)
10. あなたと生きてく

後ろで青柳さんもキーボードを弾いている。
この辺から、声に高調波成分が多くなって低域が減ってくるのが気
になった。心なしか、母音が出るまで子音だけでためている時間が
長めだったのでちょっと大きめの逸脱に感じた。

11. 今夜あなたにフラレたい

JTのときは物足りなかったが、今回はイントロで岩見さんのギター
が豪勢に入ったので楽しめた。やはりこの曲はベースの低音を体感
しないと乗れない。
# ジジイの方へ: 私がこの程度の曲で乗れるのは普段刺戟の少ない
# 生活をしているせいであります。(往々にして音の厚い)洋楽も聞
# かないし。

12. 最後のKISS

いつものイントロで始まるいつものこの曲。ま、いいんじゃないで
すか。「もっともっと盛り上がってね」というからには、FEEL MIE
の置き換えのつもりなんでしょう。

13. Oh, my god!!

いつものピアノソロ。
「ワンパターンと言われようと好きなのよこれが」
ならもっと何とかしてよ、飽きがこない工夫を。

14. 好きこそものの上手なれ

出だしの拳突き上げはやはりタイミングがはかれずできなかった。
間奏でメンバー紹介。
岩見さん、中村さん、青柳さん、藤岡さん、井上さん、田中さんの
順。以前は右(岩見さん)から順だったのでちょっと奇異に映る(気
のせい?)。
その後、
「好きこそ物の上手なれのコーナーがやって来ました」
何じゃそりゃ、と思いきや、どうやら「ラララ」で合唱をしようと
いうことらしい。ときめきをbelieveの合唱がなくなったら今度は
ここへもってきたか。JTで見た中西圭三の「でぃでぃわっどぅ」を
導入したかと邪推する。
何回か繰り返すうちだんだん変奏がかかり、挙げ句に「僕らはみん
な生きている」になる。ちょっとやりすぎの感。

   (MC)

谷村の泣きが入る。
ブルートレインでの体験が大きかったような口ぶりだが、綾瀬や浜
松ではではどんな能書きで次の曲へ行ったんでしょうか。
「節目があるとこの曲を歌っている」というけど、どんな節目があっ
たんだろう。MCからわからなかった私は日本語解釈能力(文章なら
読解力)がないのか?

15. Tonight

本編の最後。
「気ままにFEEL MIE」のエンディングがこれだったことを思い出し
た。私がこの曲に最初に接したのも「気ままにFEEL MIE」のエンディ
ングである。泣きはしないが、じーんとくる。これで本編終わりか
あ。

今日のコンサートはよく顔を臥せるが、カンペでも見ているのだろ
うか。ちょっと気になる。

(以下、アンコール)

アンコールの呼び出し拍手の同期が外れない珍しい現象。ちょっと
外れそうになるとまた同期する。いつもならだんだん速くなってカ
オス状態を経てまたゆっくり始まることの繰り返しになるところだ。
ホールの反響が丁度このときの拍手のピッチで共振するのだろうか。

出て来た谷村の衣装は、ウエストがかなりルーズなニットのワンピー
ス。丈は長い。サーキュラスカートってほどじゃないんだけど、ニッ
トだからか、なるほど、これでくるくる回れば見えるかもね。ちょっ
とだけ期待(^^;

「まだどこの放送局でもかけていない、どこの誰にも聞かせていな
い(綾瀬でやってるやんけという突っ込みは野暮というもの)、新曲
をもって来ました」
「『偉いでしょ』っつうのをあらたに編み出してみました」
この「偉いでしょ」、一瞬、可愛いと思った。28とは思えない。他
の人だと、穴井夕子辺りが似合いそうな、脳天気向けの仕種である。

E1. 明日の私に会いたくて

新曲。よくわからないが、シングルだからカラオケ向けにしたのだ
ろうか、メロディーの抑揚があまりない。一瞬、小室哲哉作曲かと
茶々を入れたくなった。
声域については「とっておき」に竹内まりやを呼んだときにメッセー
ジを伝えやすい声域がどうのと言っていたので、今後高音部を使わ
ない曲ばっかりにならないことを祈る。
どんな曲だったか思い出せない。

あまりくるくる回らない。スカートが持ち上がらないのは回転が遅
いせいか、右手で押さえているせいか。綾瀬と浜松で見えるらしい
と学習してしまったのだろうか。歳を食って恐いものがなくなった
とかいうことではないということか。
もっとも、右手で押さえているために却って右手の後ろで部分的に
持ち上がる。ちょっとだけ動体視力が欲しくなった一瞬があった(^^;

E2. しあわせの涙

楽しそうに歌っている。
「最後のKISS」のサビといい、谷村の曲で一般論っぽい詩にはあま
り説得力を感じないためそういう詩の曲はあまり好きでない部類に
入ってしまうが、これはライブで聞くといい曲だ。ライブだと詩の
解釈がどうでもよくなるからか。

E3. 愛する勇気

何人もの人が書いているけれど、これを聞くと、ああ、終りなんだ
なと思う。条件反射であくびが出るくらいだ。
曲の最後で、サビの節をラララで合唱。

以上、18曲

●終演

細かいところにケチはつくけれど、いいライブだった。谷村の顔が
見え、声が聞けただけで嬉しかっただけなのかも知れないが、終っ
てみれば満足している自分がいた。
MLのメンバーを探す気も起きず(探したところで顔を見て判る人は
少ないけれど)、帰路につく。

ホールを出るとやっぱり雨は降っていないが空気は生暖かく、地面
の水たまりが来たときより心持ち多い。コンサートの間に降ったの
だろうか。見上げると雲が切れている。台風は通りすぎてしまった
のだろうか(そういうわけでもなかったことはあとでテレビのニュー
スや夜中の強風で判ったが)。
スイカが賭かってなくても晴女になれるようになったのか、と思う。
キーンと鳴っている耳を抱えて帰宅。
以上
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$Date: 2007/11/24 06:45:53 $


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