1996/02/02 谷村有美 日本武道館
CONCERT TOUR '95〜'96 「圧倒的に片想い」
アリーナGブロック32番
三浦敏孝, 早稲田大学
miura@muraoka.info.waseda.ac.jp

●開演前

何とかうまいこと装備(後述)をかばんに詰め込み、寒い中あまり長
いこと待ちたくなかったのである程度時間を読み切って大学を出る。
終演後軽くオフミをやろうという話ができていたので、18:30に田
安門前街灯下で待ち合わせなのだ。しかし、短時間に収めたとはい
え、今年一番の冷え込みの中、何人集まるかわからない面子を待っ
ていると寒い。

私が待ち合わせ場所へ着いたときにはすでに3人。それから続々と
怪しい集団が膨張し、10数名を数えたところでその場で「使用前」
の記念撮影(開演前に入口前はさすがにいずらいのだ)。撮影後、そ
れぞれ自分の席を目指して武道館へ入る者、グッズ屋へ並ぶ者など
に散ってゆく。

ファイナル用の新しいパンフというものができているらしい。良さ
そうなんだけど、買う気はしない。

●座席

場内に入ってまず驚くのが、ステージの向こう、真北の席にも人が
入っていること。なんとまあ、思い切ったことをしたものだ。谷村
がときどきすごく近くまで来るというのがうらやましい席だ。

ステージは中央部に階段になっていて降りてくる張り出しがあり、
E・Fブロックの最前列がその分後退している。

で、Gブロックの私の席はというと、来てみるまではあまり期待し
ていなかったのだが、その場に着いてみるとその張り出しを横目に
見る、しかしGブロック中では反対側の通路脇、前から4列目だった。

谷村がステージから降りてから客席まで入ってくることは期待して
いなかったので、柵の前でうろうろするだろうと考えれば割と近く
まで来てくれる場所と言えるのかもしれない、と淡い期待。

ほかのMLメンバーは、後方ステージ寄りにソニーの成瀬さんの取得
した連番の席に山下さんとかやまさん。あとは皆さん遠くて全然わ
からず。

挨拶に駆け回る暇があるわけでもないのでおとなしく座ってアンケー
トを記入。

●開演

明かりが落ちる。

今日は節分ではないがせっかく持ってきたものの明るいうちは恥ず
かしくてかぶれなかった鬼の面を頭へ乗せる。怪しすぎて谷村の視
線が自分を避けて通るのを恐れながら。(^^;

ステージの上下各所に設置されたバリライトが、やや網のかかった
ようなフィルターを通し、紫から緑を通って赤へ色を変えながら光
条を振り回す。バックに「圧倒的に片想い」と「最後のKISS」をモ
チーフにしたと思われる荘厳な、というか分厚いSEというか前奏曲
みたいなのが暫く流れる見た目に豪華なオープニング。バンドメン
バーが左側の袖から走って出てきて定位置へ。そのまま1曲目へつ
ながる。

目の前上空にスピーカがぶら下がっているにもかかわらず耳が大音
量にやられる感じが全くないのがありがたい。音が頭の上を通りす
ぎていくような感じ。

1. 午前0時のオアシス

谷村はひょっとしてまたセリ(スッポンじゃないよ)で出てくるのか
と予想していたとおりの位置で、しかしじわじわではなく「すぽっ」
という感じで素早くセリ上がっての登場。

衣装は薄手の黄緑色の(黄色地に細かい緑か水色の模様と見受けら
れる)上下、長袖の開襟ブラウスとロングパンツ。底が厚くヒール
の高い靴。

谷村の顔がやたら大きくなったように、いや、顔以外の部分がえら
く痩せたように見える。藤稜さんもヒゲと髪を短くしたせいでなく、
頬が少しこけて、痩せたようだ。青柳さんは髪が伸びて少年のよう
な顔立ちになっている。全国ツアー、長旅だったんだなあ。

声は、ちょっと高調波というよりは広帯域成分が目立つ感じ。ひら
たく言うとややハスキーな感じ。

2. 最後のKISS

(サンバ調にアレンジされた次の曲の前奏に被せて挨拶)

「愛よ、愛!」てなもんで、かなりハイになっているのが読み取れ
る。

3. もうすぐあなたが帰ってくる

このへんからもう階段状の張り出しの前の方へ出てきたり、北側の
通路上になった部分を駆け回ったりしている。

(MC)

北側にまで人が入っていることを評し、「いやー、あたし谷村有美
でよかったー。」また、ビデオの撮影スタッフが入っていることを
告げる。

4. 雪の朝
5. 何も聞かないで (弾き語り)

ゆっくり目のはずのこの2曲、どうもテンポが速めに感じられる。
曲が多いのか、時間がないのか、どうも急いで先へ進もうとしてい
るように感じられる。

(MC: 内容が盛りだくさんだったのであまり覚えていません。明日
補充できればと思います _o_)

今年のツアーでは念願叶ってグランドピアノを弾いている。いつも
は会館ごとのいろんなピアノを借りることができた。しかし、「今
回は、持ってきました。マーイピアノ!」オーっというどよめきと
拍手。「名前をつけていてね、さっちゃんって呼んでるんです」す
かさず場内のあちこちから「さっちゃーん!」しかし、「さっちゃ
ん」ってどこぞのコンサートレポートで聞いたような名前だぞ。
「あら、よかったわねさっちゃん人気者じゃない」「嘘ですすいま
せん。」実は借り物とのこと。どこから借りたのかここで言ったか
どうかは覚えていない。

ピアノはスタインウェイのD型フルコンサートピアノ、「かなり偉
いやくざ(おいおい)が、スモークで真っ黒な窓ガラスに囲まれて乗っ
てる立派な車が買えるくらい高い」。製造番号が30万番台というこ
とは、かなり古い、年期の入ったもの。「枯れた音がしますね」

過去にこのピアノを弾いた著名人: 有名らしいが知らない外国人3
人、羽田健太郎、リチャード・クレイダーマン(渚のアデリーヌ)、
スティービー・ワンダー(上体の動きの形態模写)、中村紘子(ネス
カフェのCMで引いてた曲+岩見さんのギター+「ダバダー、ダバダー、
ダー」→「おっちゃん、受けたね!」)。

作られてからまず毎日放送へ納入され、それから(詳細失念)業者へ
渡ってレンタルに供される。年期の入った朗々とした歌うような音
色が特徴で、
「そして、今日は谷村有美とともに歌います。」

6. 逆ふたまた (弾き語り)
7. 愛情と友情 (弾き語り)

(MC)

「もっとおそばに」のコーナー。舞台手前の階段状の張り出し部分
に腰掛け、短い話の後すぐに「さて、歌を歌いたいと思います。もっ
とおそばにパート2ということで、あ、今日は話が短いからメンバー
さん慌ててますね。」話を切り上げるのが予想外に早かったらしく、
谷村が後ろを向いたときは中央に並べられた椅子のところにはメン
バーが誰もおらず、焦って走って出てくる。「今日はね、歌いたい
のよ。」

揃ったところでメンバー紹介。サックスの「神様(ツアーの途中で
腰を悪くして、座敷でも椅子にきちんと腰掛けていたためこう呼ば
れるようになった)」藤稜さんが各種パーカッション。小さな鐘を
「チーン」と鳴らすのに反応して谷村「なんまんだぶなんまんだぶ、
そうじゃなくて。」コンピュータ・シンセサイザの中村さんがアゴ
ゴ。キーボードの青柳さん「趣味は読書、愛読書はJR時刻表」がア
コーディオン、ドラムスの田中さんが谷村「それは何ですか?」田
中「これはぼくの愛用しているスルドというものです。……みんなー! 
僕のスルドが聞きたいかー!!」で切れたスルドを披露。最後にばち
をほうり投げ、受け取り損ねる。ギターの「顔で弾くギタリスト」
岩見さんがギター、ベースの「さすらいのスリーフィンガー」井上
さんがギター。

8. Not For Sale (アコースティックバージョン)

間奏で、なぜか突如青いヘルメットをかぶった青柳さんが前に出て
きてアコーディオンソロを始めると、その脇へ藤稜さんが出てきて
風船を膨らまし始める。どんどん膨らんでゆく風船に恐れをなして
逃げる青柳さん、追う藤稜さん。遠くで耳を塞いで眺める谷村。ス
テージを半周して北側の席の前まで来ると青柳さんは風船がなかな
か割れないのに気づいて「平気だね。」で、もう半周して正面へ戻っ
てきてもまだ風船は割れない(実は最初からそういう設定なんじゃ
ないか)。で、藤稜さんが針で風船を割ると青柳さんが倒れ、葬送
曲のようなメロディーを一節やるところまでで受けを取る。

曲が終わるとなぜか中村さんがバイオリンを持ち出す。何だ、何だ、
アコースティックでもう1曲やるのか。でもMOONにバイオリンって
違う気がするぞ。

「懐かしい曲をもう1曲やりたいと思います。今日はカメラも入っ
てるしね、FEEL ME……。」さらっと言ってのけると一瞬の間を置
いて場内にどよめき。何と! ついにそれを持ち出すかね。

なぜかここで1階南東で上智大の加藤さんが勝ち誇った顔をしてい
るのが思い浮かぶ。(^^;

9. FEEL ME (アコースティックバージョン)

そうか、前半で急いでいたのはこれが新たに入ってきたからか
(「愛しているのに」が抜けていることには気づいていない)。

アコースティックなアレンジだと拳突き上げやジャンプがどうもしっ
くり来ないが、後半でピアノ演奏を青柳さんにバトンタッチした谷
村が前へ出てきてジャンプを煽る。そこまでするのか。何か心境の
変化でもあったのか。何があったんだ谷村。逆に、そこまでやれる
なら今まで封印していたのは何だったんだ。渦巻く疑問とともに拳
を突き上げ、ジャンプし、興奮醒め遣らぬうちに谷村は袖へ。

10. MOON (アコースティックバージョン)

通常メニューと同様かあるいはちょっと長めかもしれない前奏の間
に、青いノースリーブの長いワンピースに衣装換えを済ませた谷村
登場。この衣装でなぜかちょっと太って見える不思議。カメラを意
識してかどうかわからないが、「愛しているのに」がなくなった分、
色気をここで感じろとばかりに感情を込めて歌い上げる。

11. 恋に落ちた

青柳さんによる前奏は全くそれとわからないんだけど、聞いている
うちに流れでこれだとわかってしまうのがやっぱり残念。

しかし! 歌い出しの鋭いアタックに脊髄ショック!絶品。

終わると谷村が袖へ引っ込み、いつものように藤稜さんと青柳さん
のセッション。暫く続いた後青柳さんも外れて後へ。同時に他のメ
ンバーも定位置へ。藤稜さんのソロの終わりに衣装換えを済ませた
谷村が登場し、ちょっとだけかぶるように次へ続く。

衣装は(どう表現していいかわからなかったので前回まで書かなかっ
たが)白いタンクトップ(って言わないような気がする、肩紐でつっ
てるやつ)の上に、襟にfuryな飾りのついた細かい光り物をまばら
にちりばめたような長袖の薄物を羽織り、革のような光沢の白いロ
ングパンツ。

12. Instrumental part I (バージョン1.7)

あまり表情を変えずにかくっ、かくっと首を動かしながらの演奏は
これまで通り(そしてあのピアノに挑んでゆくような顔つきに凛々
しさを感じるのも同じ)だが、乗ってくると客席を見回す。上体の
動きが激しくなるとともに腰が浮いたりする。立つのを求めている
のか。しかし、終わるまで座ったまま聴き切る。素人なりに、自然
に立ち上がるほどにはリズムパートが強く出ていないせいだなどと
分析を試みる。

13. 優しいのにも程がある

前奏が前の曲からきれいにつながっているのにはいつもながら感心
する。

14. 好きこそ物の上手なれ

コンパクトに収まるかと思いきや、「ラララ」と「森の熊さん」だ
けでも広いステージを駆け回っていると実は結構長い好き物のコー
ナー。

15. 圧倒的に片想い

さすがに武道館で客席に降りてくることはないだろうと思っていた。
ステージの張り出しへ出てきて、「普通は舞台のこの線を横切っちゃ
いけないことになっているんだけど、武道館の人たちの許可が下り
ましたー!」で、客の協力が不可欠という注意を述べた後、階段状
の張り出しの最後の1段を勿体をつけて下りる。

インタビュー一人目はDブロック最前列の、なぜか男性。次に、こっ
ち側へ来て、Gブロック最前列の、女の子2人連れ(ここで最接近距
離約3m、前列の客の間越しにうまいこと谷村の顔が拝める)。ここ
までは柵越しで、まあこんなものだろう、この後北側の席へ行くの
かなと思っていたら、Eブロックの向こう側通路のところで柵が開
く! 谷村は客席の中へ。

スポットライトが追いかけるだけで谷村が見えなくなってしまうの
がもどかしいが、Fブロックのこちら側通路のところから柵の中へ
戻って行くまでに夫婦2組、カップル1組、会社の同僚、友人といっ
た感じ。

北側3区画(北西、北、北東)では柵から客までが遠いこともあって
か区画ごとにまとめて谷村「こんにちはー」客全部「こんにちはー」
という感じ。

16. 信じるものに救われる

前奏が前の曲とつながってるのつながってないのという話は、もう
いいですよね。(^^;

(MC)

泣きが入る。

客席へ下りていくことの許可にあたって、「谷村有美のファンなら
大丈夫だろう」と言われたのが嬉しかったこと。

Not For Saleを歌った頃は寂しかったんだなあということ。

Not For Saleの「いつか寄り添えるよね 君を信じてる」の「君」
はコンサートに足を運んでくれるみんなだということ。

17. あなたに出逢えて

歌い終えて号泣。ひとしきり泣いて、落ち着いてからメンバー紹介。
手をつないで一礼した後メンバーは袖へ。残った谷村はひとしきり
客席へ愛想を振りまいて袖へ。

(幕間)

もらい泣きしそうになるのをこらえつつじーんとなりながら長い長
い拍手。

衣装換えを済ませて谷村登場。白い無地のタンクトップの上に、赤
いチェックの、前をファスナーで止めるようになってて縁が縮んだ
ようになったシャツ、ジーパン、スニーカー。

(MC)

告知。今日撮影したビデオは年内に出る。ラジオの番組を再開した
こと。

E1. ずっと忘れない (弾き語り)

(挨拶)

最後に拍手を鎮め、マイクなしの生声で「どうもありがとうござい
ました! またね!」

以上、18曲

●終演

三本締め。
「FEEL ME」の興奮の片鱗がいまだに残っているため不自然な感じ
はしなかったが、「ずっと忘れない」の余韻がやっぱり勿体ないの
で、三本締めの間カメラが客席を撮っているのが悔しいけど、三本
締め自体には参加しない。

前の方とはいえ決して谷村がすごく近くだったわけでもないけれど、
全体に谷村の気合いの入り方が伝わってきたというか(こういう精
神論めいた言い回しは嫌いなんだが)、「FEEL ME」で煽る谷村、
「恋に落ちた」の脊髄ショックなどをはじめ、静かな曲を含めて全
体に息をつかせるヒマを与えないというか、実に盛りだくさんな、
いやはや、すごい、素晴らしいコンサートだった。なんか毎回言っ
てるような気がするが、これまでに類を見ない、実に印象深いコン
サートとして記憶に残るだろう。

考えてみると、今日は客席から許せない無粋な突っ込みが入ること
が全くなかった。

私はこの点に相模大野で気づいたんですが、谷村(及びバンド)の、
間のとり方、というか、間のとらなさ加減が絶妙なんですね。よく
考えてみると、客に変な突っ込みを入れさせない方法って、実は簡
単なことで、何のことはない、常に音を出していればいいんですね。
しかし、本当に常に音を出しっぱなしというのも難しいから、間を
置く場合には、突っ込みを入れられそうで入れられない、一間桂馬
(囲碁の用語です)のような絶妙な間のとり方が必要になる。これが
技術として修得されてきている(われながら偉そうだなあ ^^;)よう
に見受けられるわけです。喜ばしいことです。あとは、突っ込みを
入れられないのに無理に入れようとし出す無粋きわまりない輩が発
生したりしないことを祈るばかりです。

それから、実に帰宅するまで全く気づかなかったのだが、「愛して
いるのに」がメニューから外されている。ちょっと寂しいけど、今
日のメニューならなくてもいいのかも。

さて、ふと時計を見ると21時を大幅に回っている。東京都の条例は
大丈夫なのだろうか、と思っていたら、許可を受ければ大丈夫らし
いですね。問題はあまり遅くまでやられるとオフミに長居できない
こと。

なまじ前の方にいると、会場を出る順番が最後の方になってしまう。
カメラを受け取って外へ出ると、出口すぐのところに既にMLメンバー
が集まっている。

さくっと記念撮影を済ませてしまおうということで、急いで三脚を
セットし、「ハイ、10秒後に2秒!」このとき、「谷村有美」の看板
がちゃんとフレームに入っていたかどうか、実は自信がない。入っ
ていなかったらごめんなさいです。

その後、田安門前街灯下へ移動してからまた記念撮影。

●オフミ

参加者はMLメンバーでない人を含め17名。

ちょっと時間が遅くなりすぎている。私は今日は10時半までしかい
られない(帰宅途中に計算間違いに気づいた。実は11時半まででし
た)ということで怪しい群れをせっつきながら飯田橋へ移動し、ラー
メン屋「花の華」へ入る。

私は結局注文したラーメンを見ることなく(計算違いの)タイムリミッ
トが来てしまったため帰宅。皆さんごめんなさいです。

●明日は……

開演が6時なんですね。これなら9時前に終わってくれるかな?

深夜バスは平日とほぼ同じでタイムリミットは11時半。今度はちゃ
んとオフに参加しますから……。

初めての前オフですが、カルトQの予習はどうもできそうにありま
せん。果たして決勝に出られるか……。

以上

1996/02/02 28:18


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last update: $Date: 2000/03/07 18:26:57 $


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