1996/07/06 谷村有美+山崎まさよし 日清パワーステーション
WHAT's IN? PRESENTS LIVE "GiRLPOP" ACT.14 ---七夕スペシャル--- "GiRLPOP vs WHAT's IN?(es)"
B2立席 整理番号A218
三浦 敏孝, 早稲田大学

●前オフ

15:40

大学を出る。大学が明治通り沿いにあり、しかも自分のいる部屋は
ちょうど明治通り沿いの建物なので、そこから出て明治通りを新宿
方面にひたすら歩けばパワステ前にたどり着ける。が、オフミは新
宿駅から見てパワステと反対方向の喫茶店「ルノアール」で行われ
るため、電車に乗るかどうか逡巡した末、歩くことにした。

15:55

パワステ前到着。当日券が出るわけでもないだろうに、カップルが
数組ほか合計10人くらいがパワステ入り口前、建物沿いに列を作っ
ている。

16:10

新宿駅東口到着。待ち合わせは新南口だが、4時には移動するとの
ことなので間に合っているはずもなく、どこにあるのか知らない新
南口を探さず直接ルノアールへ向かうために地図を広げる。

16:26

汗だくになってルノアール到着。濃い人たちに混じって座り、アイ
スミルクティーを注文。テーブルの集合が二つあって、そのうち一
つはMLの仲間じゃないと思っていたが、実はひとつながりだという
話を聞いて驚く。上智大の加藤さんが来ると、昨年度のライブレポー
トを集めた本ほかグッズの販売が始まる。名大の山下さんから「あ
れぇ、いつ仲直りしたのぉ?」とお約束の突っ込みが入ったので、
こちらも余興でQV-10Aの前で「いつから仲悪いって?」と言いなが
ら加藤さんと握手。

17:00

さとう@あすくねっとさんが仕切って、店を出てパワステへ向けて
出発。気がつくと空がどんより曇っていて、いまにも泣き出しそう。
鈴木さんや田村さんや松永さんといったジジイたちと千昌ちゃんが
谷村のライブだというのに傘を持ってこなかったと言って焦ってい
る。

17:25

パワステ前到着。すでに200人近くが建物沿いに掃き寄せられて幅2
間くらいの列に並ばされている。この順番自体は別に入場の順序に
関係がないので素直に後ろへつくが、尾上さんほか数名しかついて
こない。残りは建物入り口正面あたりにたむろしている。この時皆
さん実は「使用前」の記念撮影を待っていたのですよね。私も自分
で言い出しておいてこの時にはすっかり忘れておりました。会場内
に入ってから記念撮影を忘れていたことに気づいたのでした。 _o_

我々の後ろにも人が並んできてだんだん人口密度が上がって暑苦し
くなってきたころ、目の前の女性二人連れにスタッフとおぼしき女
性が「ファンクラブで取られた方ですか?」と言って近寄ってきて、
インタビューを取り始める。目の前の女性二人連れはどうもかなり
なベランダさんらしい。

そこへ、Libretto20で寄せ書きが回ってくる。

●開場 - 18:00

開場。218番(というか、100番までは10人ずつ、100番以降は20人ず
つ「220番までの方入場して下さい」という呼ばれ方をする)が呼ば
れるまでが非常にもどかしい。そして入場。

チケットの半券をもがれるとともに受け取るちらしの束の中に「幸
せの特効薬」と題するプリントがあり、短冊に願い事を書いて開場
入り口の笹につけろとのこと。また、入り口前で販売している絵は
がきに含まれる往復はがきに今夜の感想を書いて送ると二人からの
返事が届くとのこと。

B2まで降りてカメラを預け、会場内の人出を見てこの調子なら先に
入った人に場所取りを頼まなくてもよかろうと判断し、入り口前で
販売しているはがきセットを1000円出して買い、コインロッカーに
荷物(普段持ち歩いているアタッシュはパワステのコインロッカー
に入らなかったことが痛い記憶として残っているので今日は小さめ
の鞄で来たのであった)を詰め、短冊には「博士の学位が取れます
ように」と書いて笹に結わえつける。短冊と往復はがきは見るから
に子供だましなのだがだまされて乗ってしまう私。 (^^;

一段落して会場内に入ると目分量でさっきの倍ほど人がいるような
気がする。しまった。やっぱり場所取りを頼んでおくのだった。こ
こで根性が萎えてしまった私は奥のカウンターでウーロン茶(暑い
中で体を動かすので脱水対策である)を手に入れ、空いているテー
ブルを使って飲みながらアンケートのほとんどの部分を記入。それ
から自分の立ち位置を選ぶ。

ステージに向かって左側は背の高い人が多かったので右側へ移動。
移動の過程でさとう@あすくねっとさんほか数名と合流。人垣はか
なりの厚みだが背の高い人が少なくステージが見やすい。前の方よ
りはステージまで遠いが会場の小ささでそれほどの遠さは感じない。
もともと今日のライブはあまり期待していなかったりするのでその
程度の根性なしに墜ちてしまう。

ここで、ステージ上にグランドピアノが設置されていることに、言
われて初めて気づく。そして、自分の立ち位置からは下手をすると
ピアノの前に座った谷村の顔が見えなくなる可能性があることに気
づいてこの位置を選んだことを後悔する。が、向こう側では人垣の
背が高いので、さらなる移動は考えないことにする。

連れの中に声の大きい人がいて、暑苦しい中大声でしゃべって更に
暑苦しくなってきたので少しトーダウンするようお願いする。身内
だと物言いやすいので少しありがたい。

●開演 - 19:15

実は後述の山崎さん(以下敬称略)が短期記憶を吹き飛ばしてくれた
のでここからはかなりいい加減だったりします。気づいた方は適宜
突っ込みを入れていただくようお願いします。 _o_

谷村は花柄のノースリーブのブラウス(でいいのでしょうか)に白の
ロングパンツでステージ右側の袖から登場。山崎はTシャツに、た
ぶんGパン。後ろには、ハモンドオルガンとパーカッション(最初
ドラムスだと思っていた)に見知らぬ人が入っている。

谷村はステージの一番前で愛想を振りまきながら左側へ移動しピア
ノの前へ。山崎はギターを抱えて椅子に腰かけ、ハーモニカを首に
かけるホルダに取りつける。

1. Drive My Car (The Beatles)

いきなりカバー曲で始まる。この先の展開を期待させる素晴らしい
初手。

私の貧弱な頭の中には、カバーと言えばまずビートルズが来るので、
いきなりいかにもビートルズっぽい曲が来ると、JT Super Soundの
ような単体コンサート縮小版の集合+1曲だけの間に合わせっぽいコ
ラボレーションになりそうな予感を吹き飛ばしてくれる、素晴らし
い展開が期待されるのであった。

それにしても、歌い出しから山崎はパワー全開である。聞いた感じ
としては高野寛を少し固めにした声を斉藤和義にかぶせたような感
じのキャラクターが想像される。好きになれそうなアーチストであ
る。

危うく忘れるところだったが、谷村は今日は1曲目から声がちゃん
と出ているような印象を受ける。

よく見るとピアノの外装が木目である。なんか珍しい感じ。

1曲目が終わると、オルガンとパーカッションの人が袖へ引っ込ん
でステージ上は谷村と山崎だけになる。谷村は一通り客席に愛想を
振りまいてからピアノに戻る。

谷村「じゃ、いきましょうか」ではじめて前奏数小節目でいきなり
「あっごめん間違えちゃった」でぽろぽろと違うフレーズを弾いて
手を慣らしてから、改めて2曲目。

2. Home Again (Carole King)

カバーが続く。先の展開がますます期待される。ひょっとすると今
日のライブは非常に充実したものになるのではあるまいか。

(挨拶)
谷村「(山崎に)緊張してる? あたしもうばくばく。」
山崎はまだ硬い感じ(歌を除く)。

3. Time After Time (Cyndi Lauper)

何というか、山崎ってハードヒッターなのかな。いや、ハードヒッ
ターという言葉が意味をなしているかどうかは甚だ自信がないのだ
けれど、スチール弦のアコースティックギターに対して、ピックで
も指でもぱちぱちと強力に弾いているような感じを受ける。その上
時折ハンマリングをはさんで音を短く切ったりしてなおさらそのよ
うな感じを強くさせる。

(MC - 山崎「おしゃべり・ターイム!」どんなキャラクターやねん)
谷村「ガールポップって書いてあるけど嘘です。私たちデュオグルー
プを組んだのよね。」バンド名を徹夜で考えたのよね、EBTGとか、
バック&タティとか、という振りに山崎「サイモンガー&ファンク
ルとかね。徹夜で考えてそれかい。」と自分で突っ込み、谷村「じ
わじわ受けてるよ、よかったね。」喜ぶ山崎。

山崎の紹介。吉本興業の山崎邦正ではない。谷村が町で聞いた「中
華料理」の曲の主を探し当てて九州まで聞きに行ったところ、話が
弾んで今日のような企画が実現することになった。

ここまでにやった3曲の紹介。これら3曲の選曲は山崎であるらしい。

しゃべりの合間合間、要所要所に、あるいは言葉に詰まると山崎は
3フィンガーでのギターのフレーズをはさむ。それがしゃべりの合
いの手のようにいいタイミングで話をつないで行く。うまいしゃべ
りではないのだがこの合いの手のおかげで気持ちよく聞ける。

4. 週末には食事をしよう (山崎)

持ち歌で強烈に押し出される山崎のキャラクター。パワー全開の山
崎にしばし圧倒される。バンド名をいろいろ考えた話の続きで、
「伊達公子」という名前もよかったのだが昨日の試合で伊達がグラ
フに負けて没になり、山崎「谷村有美と土曜ワイド劇場」

5. あなたに出逢えて (谷村)

アコースティックなアレンジの谷村の曲の今日最初の曲。いい。

(MC)
話の主導権を山崎に渡すと山崎は続かなくて困ってしまう。どうも
谷村は本物の関西人が相手だと適切なタイミングで突っ込めないよ
うである。

「週末には…」にからめた話から山崎の彼女関係へ。客席から「会っ
てないの? 最低」などといった突っ込みが入ったらしい。慌てる山
崎。

今日のバンドは山崎がバンマスであるとのこと。

6. MOON (谷村)

谷村はピアノを離れて立って歌う。山崎のギターで聞くMOONも岩見
さんのギターに負けず劣らずよい。

谷村からのリクエストということで、新しいシングルで、谷村の気
に入っている曲として紹介する次の曲。

7. One more time, one more chance (山崎)

やはり圧倒される。今日の主役は山崎で谷村がおまけのような気さ
えしてくる。

8. セロリ (山崎)

谷村がタンバリンを叩いたのが確かこの辺だったような気がする。

山崎の曲には食べ物の曲が多い。山崎自身も厨房に立つ仕事をした
ことがあるらしい。自宅でもよく料理をするとのこと。

そして、山崎からのリクエストとして紹介される次の曲。

9. 雪の朝 (谷村)

谷村は立って歌っている。ピアノは先にオルガンとキーボードに入っ
ていた人が演奏している。

これが本当に山崎のリクエストだとすると非常に渋いというか、的
確に名曲を選び出していると言える。アコースティックアレンジの
この曲は去年聞いた音の厚いものと比べても素晴らしい。

但し、谷村らしく、曲の最後で1小説分歌詞飛ばしがあった。

(MC)
バンドメンバーの紹介。キーボードに加藤かずひろ(from New
York; ちなみに、ピアノもニューヨークから来た、90歳のおばあちゃ
んピアノだそうな)、パーカッションに中島オバヲ。その中島が山
崎を紹介して「山本シュウ」すかさず山崎が山本の物まね。

リハーサルでは笑いが絶えなかった。

10. Gone at last (Paul Simon)

途中でキャンディーズの「年下の男の子」が入る。コード進行が同
じで音数が合っているから自然に接続できるという遊び。

11. パンを焼く (山崎)

途中で客との掛け合いの遊びが入る。ちゃんと落ちも用意されてい
て、客が絶対にまねできない細かいスキャットをやってシーンとな
る客の声を聞くしぐさをする。これに対して「できるかい!」とい
う突っ込みを入れたくて入れたくてたまらなかったが、もともと他
の客の突っ込みは苦々しく見ているし、曲の最中でもあるので控え
た。

12. 好きこそ物の上手なれ (谷村)

アコースティックなアレンジだと客はお約束をやる余地がないのだ
が、全くそのような必要を感じない、よくまとまったアレンジだと
思う。谷村の曲もこのようにいろいろなアレンジで聞くと広がりが
あるように感じられ、実はいい曲なのだなあという感慨とともに見
直す(この感慨は昨年度の武道館二日目の前オフで谷村の曲をカラ
オケ用キーチェンジャーで「-4」したのを聞いたときに感じて以来
である)。

13. アレルギーの特効薬 (山崎)

(MC)
歩み寄って、山崎が谷村にハーモニカを手渡す。
お互いに譲り合って結局どちらもしゃべらない時間が長く続く。そ
のうち、谷村に泣きが入る。見ている方にしてみればいつものこと
なのだが山崎が慌ててタオルを渡すと谷村は余計に泣く。客もおも
しろがってはやしたてる。谷村、渡されたタオルで顔を拭くなり
「これ汗臭ーい」(会場爆笑)

谷村「やー、気持ちいいね」山崎「これだけできたら金取って全国
ツアーできますね」

本当に今日のステージのバンドでツアーをやってくれたらと想像を
巡らせる。

14. 信じるものに救われる (谷村)

谷村のアップテンポの曲たちのアコースティックなアレンジの新鮮
なことに驚く今日の最後の曲。間奏で谷村のハーモニカが入る。

(幕間)

ここまで、久しぶりに見る生谷村と素晴らしいコンビをなす山崎、
加藤・中島の絶妙なサポートで繰り出される曲たちに、アップテン
ポでもスローバラードでも気持ちよく体を動かすことができた感激
に、普段は予定調和であるとしてサボりがちになるところを自然に
拍手をしている自分に気づく。

(以下、アンコール)

(MC)
笹の登場で短冊読みタイム。いくつかを谷村が読んだあと山崎がギ
ターに乗せて節をつけて読み上げてゆく。これがテンポよく、子供
だましを楽しい企画に昇華してしまう効果をもたらす。

笹が引っ込むとはがきセットの紹介。つまりは売れ残ったというこ
とだな。

E1. Sweet Memories (松田聖子)

最後に来るのは「しあわせのかたち」かと思っていたら、カバーを
持ってきた。これがいいのだ。ここで「しあわせのかたち」をやっ
ていたらもうほとんど営業活動にしか見えないから明らかに浮いた
アンコールになってしまうところで、これをあえてメニューから外
し、カバーで始めてカバーで締めることで全体が非常に新鮮なまま
気持ちよくまとまっているのだ。選曲自体は谷村のカラオケの十八
番でしかないのかもしれないが、結果として最後にこれを持ち出し
たのは素晴らしい選曲と言っていいと思う。

以上、15曲。

●終演

終演の時刻をチェックするのは忘れた。

いやはや、よかった。アコースティックアレンジの谷村の曲たちの
もたらす新鮮さ。そして、山崎のキャラクター(私の中ではSing
Like Talkingと露崎春女に続くヒットである)。コンサートの後に
残る疲れが心地よいという、ほとんど初めての体験である(待てよ、
露崎の時もこんな調子だったかも---ということはライブハウスっ
てこういうものなのか)。

山下さんが指摘されるように、確かに谷村の歌は上手くはなかった
かもしれないけれど、デュエットで完全に谷村が食われていたかと
いうと、そもそも谷村の声質に地声の成分が少ないから山崎に比べ
て目立たないだけのことで、ファルセット的な成分では十分に存在
を主張していたように思う。

それに、リハーサルに取れた短い期間の中で、カバー数曲と谷村の
曲のアコースティックアレンジ、それに山崎の曲と、要するにコン
サート1本分ほとんど作り直したわけだから、得られた結果から言
えば谷村にしてはよくやったと思う。

山崎の「アレルギーの特効薬」辺りで短気記憶が吹き飛ばされてし
まい、メニューの中の細かな自称が時間軸上でどこに位置していた
かがほとんどめちゃくちゃになってしまって、レポートに書けなかっ
たのが非常に残念である。

前回パワステに来たときに使わなかったコインが1枚残っているの
で鈴木@ADaCさんほかがたむろしているのに加わって飲み物を口に
入れようかとも思ったのだが、のどがカラカラというわけではない
ので我慢して上へ。「使用後」の記念撮影があるのだ。

パワステの入り口前、「FOODIUM」の看板の下に固まって記念撮影。
シャッターボタンを押して集団に加わりに行くときに三脚を自分で
蹴ってしまったり、スローシンクロをしかけておいて自分で動いて
しまったりと、あまりにも気持ちの良かったライブがもたらす効果
か、あまりあちこちに神経がゆきとどかなくなってしまっている。

ともあれ、時間も押しているのでオフミ会場へ移動開始。

●後オフ

新宿の「ラインゴールド」店内に隔離部屋がしつらえられており、
心置きなくできる約30人の「はみ出しホッホッホ」乾杯。

山下さんはあちこちに不満があるようで、「山崎のライブを見に来
たらなんか谷村とかいう人がいて」などとおっしゃる。私は気持ち
よく過ごせたライブの余韻に浸りながら、好きにしなさいという感
じ。

今日のオフミには連れを連れてきた人が4人いて、「連れです」と
か「連れの元彼女です」とかしか名乗らない人まであり。これも好
きにしてなさい(←まだ浸ってる)。

珍しいところでは、千葉ちゃんが現れていた。オルゴールの所在を
問い合わせて確認することができたのでこれも満足(再び浸りに入
る)。

11時までということで時間になり、すでにほとんど客のいなくなっ
ている店を出て記念撮影を済ませ、明日の九十九里オフに参加する
わけでもなく2次会以降についていくわけでもない私はそのまま帰
途につく。

以上

1996/07/06 29:46


●後日談

 実は、本ドキュメントはMLに流して以降幾つかの訂正を経ていま
す。細かいところではタイプミスなんかがありましたが、もっと大
きなところで、MCや細々した出来事の順序が入れ替わったり、事象
単体では覚えていたけれどどこでそれが起きたか覚えていなかった
ために書けなかったことを、MLでの指摘により場所が判明して盛り
込むことができたりしました。


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$Date: 2007/11/24 06:45:53 $


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