第3回ドクターヘリ講習会で新鋭機デビュー!



デビューしたEC135ドクターヘリ2号機 (撮影:ARIS様)
写真をクリックすると大きな画像(横600pixel:57KB)が見られます

 11月20、21日の両日、第3回ドクターヘリ講習会が名古屋の中日本航空で行われた。

  これは日本航空医療学会が主催するもので、ドクターヘリに関する正しい知識の習得、理解、普及を目的にしており、第1回は今年(2001年)4月初旬、第2回は5月末にいずれも東京ヘリポートにて行われている。
今回は場所を名古屋に移し、名古屋空港内の中日本航空を会場に行われた。
当日は93名の受講者があり、導入を検討している病院関係者、運航会社などが熱心に聴講。二日目の実機を使用しての講習では常に機体の周りは黒山の人だかりで、ドクターヘリに関する感心の高さをうかがわせた。

スピーチを熱心に聴く受講者達
実機研修では黒山の人だかり

 
  また、愛知医大の記事の文末でもお伝えした通り、講習会前日の19日には同社のEC135/2号機
(JA113D)の修祓式が行われ、講習会当日の実機研修で実質的にデビュー、大いに活躍した。

ハンガー前で行われたJA113Dの修祓式
関係者全員で安全祈願

EC135/2号機に於ける特徴
  JA113D EC135/2号機に於ける1号機からの主な変更点は以下の通り。

・ワイヤーカッターの装備
・TCAD(衝突防止装置)の装備
・機体両側面に酸素ボトルを装備(1号機は右側のみ)

 またスキッドもワイヤーカッター兼用の先の尖ったものに変更。
尾翼のスターオブライフの色が水色から濃紺色になり、一段と引き締まった感じに見えるなど、
同じドクターヘリカラーでありながら、1号機とは外見上はっきり識別できる仕様となっている。

登録記号の由来

 同社では下記3機のドクターヘリを運用しているが、なぜこのような登録記号となったのかは、あまり知られていない。

1号機:アグスタA109K2 JA111D
2号機:ユーロコプターEC135P1 JA112D
3号機:ユーロコプターEC135P1 JA113D

 これはK2導入当時、救急、ドクターヘリということで当初「119D」を考えたが、消防関係の予約登録があり断念。それならば同社として最初からドクターヘリとして導入する初めての機体ということで、「オールニューだからいっそ111にしたらどうか?」ということで決まったという。 (Dはドクターヘリの頭文字。)
以降、112,113と続いているという訳である。
 その機体も今度で3機目。同社は使用事業会社の中でも最もEMS(救急医療)に関する歴史が古い。EMS現場で培われた厳しい目で機体の選定を行い、着実に装備を充実させてゆく姿には余裕と貫禄を感じさせる。


実機研修でドクターを乗せ、離陸を待つJA113D

中日本航空がEC135を選定した理由

  同社はベル427の組立を行うことでも知られ、既に4機を納入しているが、EC135は同じP&W製のエンジンを搭載、共通点が多い。そしてEC135はコンパクトな割に室内が広く扱いやすいという他、大きな理由としてエンジンカットした後すぐに再始動が可能、ということが挙げられる。
通常、ヘリコプターに於いては一旦エンジンを止めると再始動まである程度時間をおかなければならない。
また掛けるのにテクニックを要するが、EC135搭載のP&W製のエンジンはエンジンカット後、30秒で再始動が可能。これはFADECによるところが大きい。FADECとはFull Authority Digital Engine(又はElectronics) Controlの略でその名の通りコンピュータで燃料流量など全てを自動でコントロールする機構である。
この為、マニュアル(手動)で燃料をコントロールしたり特別なテクニックを必要とすることなく、スイッチをオンにするだけで再スタート可能、というようにパイロットのワークロードが抑えられている。
この利点を利用して、救急現場(ランデブーポイント)到着時は原則エンジンカットしているという。
(愛知医大のデモでも実際にエンジンカットをしていた。)
これは「ローターのダウンウォッシュと騒音で、地上の人間に余計な緊張を与えないようにするためで、また、エンジンカットすることにより救急隊とコミュニケーションも取りやすくなるから」と、関係者は語る。
・・EC135は人や環境に優しいヘリコプターなのである。


 以上EC135の説明ばかり長くなってしまったが
他の参加機は以下の2機で、写真から分かるようにバックアップ機が参加したと思われる。

アエロスパシアルAS355F 朝日航洋
川崎BK117 カワサキヘリコプタシステム

MD902等の新型機の参加がなく、いずれも通常塗装というの寂しい気もするが、これはドクターヘリ塗装の本番機が既に各病院で活躍している証拠であり、大きな進歩であるといえよう。

 第3回は好評の内に幕を閉じ、次回第4回講習会も今回と同じ場所の名古屋・中日本航空内で3月12・13日に行われる予定である。

以上  取材協力、写真提供:中日本航空(株)

2001/12/8

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