215
215系 快速「ホリデー快速ビュー山梨号」 9592M
中央本線 石和温泉 2015年9月20日撮影

215系(NL-3) 快速「ホリデー快速ビュー山梨号」 9592M
中央本線 石和温泉 2015年9月20日撮影

1.概要
 1992年(平成4年)にお客の増加が著しい東京から50〜80km圏内の遠距離通勤対策として、東海道貨物線の活用も含めた速達性の向上と着席通勤を目的として開発された車両で、座席数を増加させるために2階建て構造(先頭車を除く)とし、走行性能も最高速度を120km/h、曲線通過速度は本則+15km/hとしています。
 編成は10両編成で両端4両は電動車、中間6両は付随車となっています。
 編成は下記のとおりです。
←東京     熱海→
 クモハ215−モハ214−サハ215−サハ214−サハ214−サロ215−サロ214−サハ215−モハ214−クモハ215

2.車体構造
 車体は基本的にステンレスが採用されましたが、前面部は普通鋼が採用されました。
 211系グリーン車と415系のクハ415-1901の設計思想が取り入れられています。
 乗降扉は各車両とも片側に2か所片開き式の扉が設けられました。
 先頭車両は扉中間部がダブルデッカー構造で両端部が平屋構造となっています。中間者は扉中間部が2階建て構造で両端部が平屋構造となっています。

3.車内設備
 普通車の座席はすべてボックス配置で、車体側寄りの床で座席を支持する「片持式」を採用し、一人ずつのセパレートタイプとしています。荷物置き場の確保のため、普通車1、2階の座席上部の枕木方向に荷棚を設置しています。冷房は、車両前後の屋根に搭載された冷房装置よりダクトを伝わって各部屋に分配しています。
 グリーン車の座席は回転リクライニングシートが採用されました。空調は通常の吹き出し口と別にスポット空調吹き出し口を設けています。この冷房装置は能力可変形で、除湿機能と換気機能を兼ね備えているので通年運転を基本としています。
 2、4、9号車に電話、3、5、8号車の熱海寄りにトイレと洗面所、3、8号車に車椅子スペースを設けています。

4.機器類
 制御装置は211系をベースとした界磁添加励磁制御で、定速制御と停止及び抑速ブレーキ時の回生ブレーキ機能を有します。界磁の制御方式は、補助電源にインバーターを用いたため、励磁電源の電圧と周波数が211系とは異なります。
 主電動機は、通勤形の205系と同じ120kWのMT61で歯車比は211系と同じ5.19(83:16)ですが、最弱界磁率を30%とし、最高運転速度を120km/hに向上しました。
 ブレーキは、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、フラット防止のため各軸に速度センサを設け、滑走防止弁により各軸のブレーキ力をコントロールしています。
 駆動方式は中空軸平行カルダン方式が採用されました。
 台車はロールゴム式軸箱支持のボルスタレス台車(電動車:DT56C、付随車:TR241D)が採用され、JR東日本では初めてヨーダンパが採用されました。
 保安装置は、ATS-SN形とATS-P形を設置し、ライナーでは停車駅が少ないことから、EB・TE装置も搭載している。

5.主な履歴
 1992年(平成4年)4月20日より平日朝晩の「湘南ライナー」、平日日中の快速「アクティー」で運用開始されました。
 1993年(平成5年)に2次車が製造され、平日の「湘南新宿ライナー」や休日の「ホリデー快速ビューやまなし」にも運用されました。
 2001年(平成13年)に快速「アクティー」から撤退して湘南新宿ラインの運用に使用されました。
 2004年(平成16年)10月16日のダイヤ改正より湘南新宿ラインの使用車両がE231系に統一されたことにより運用から外され、定期運用は平日の「湘南ライナー」、「おはようライナー新宿」、「ホームライナー小田原」のみとなりました。
 2020年(令和2年)11月29日を最後に「ホリデー快速ビューやまなし」の設定がなくなりました。
 2021年(令和3年)3月13日のダイヤ改正で完全に定期運用がなくなりました。

←戻る TOP 掲示板