215
215系 東海道本線 品川
 1992年(平成4年)にお客の増加が著しい東京から50〜80km圏内の遠距離通勤対策として、東海道貨物線の活用も含めた速達性の向上と着席通勤を目的として開発された車両で、座席数を増加させるために2階建て構造(先頭車を除く)とし、走行性能も最高速度を120km/h、曲線通過速度は本則+15km/hとしている。
 下回りは211系をベースとした界磁添加励磁制御で、定速制御と停止及び抑速ブレーキ時の回生ブレーキ機能を有する。界磁の制御方式は、補助電源にインバーターを用いたため、励磁電源の電圧と周波数が211系とは異なる。主電動機は、通勤形の205系と同じMT61で歯車比は211系と同じ5.19(83:16)であるが、最弱界磁率を30%とし、最高運転速度を120km/hに向上した。ブレーキは、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、フラット防止のため各軸に速度センサを設け、滑走防止弁により各軸のブレーキ力をコントロールしている。保安装置は、ATS−S形とATS−P形を設置し、ライナーでは停車駅が少ないことから、EB・TE装置も搭載している。
 編成は10両編成で両端4両は電動車、中間6両は付随車となっている。熱海寄りから4、5号車がグリーン車で基本的な構造は113系211系の2階建てグリーン車と同じ構造としている。2、4、9号車に電話、3、5、8号車の熱海寄りにトイレと洗面所、3、8号車に車椅子スペースを設けてる。普通車の座席はすべてボックス配置で、車体側寄りの床で座席を支持する「片持式」を採用し、一人ずつのセパレートタイプとしている。荷物置き場の確保のため、普通車1、2階の座席上部の枕木方向に荷棚を設置した。冷房は、車両前後の屋根に搭載された冷房装置よりダクトを伝わって各部屋に分配している。グリーン車には別にスポット空調吹き出し口を設けている。この冷房装置は能力可変形で、除湿機能と換気機能を兼ね備えているので通年運転を基本としている。
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