データコンバート

24Bit/96kHzで取り込んだデータをCD規格の16Bit/44.1kHzにコンバートする方法を
何通りか試し、音色の違いを比較した。

(1) WaveEditorTWE

このソフトはフリーながら高機能で、上品で繊細な音色も気に入って愛用している。
サンプリングレート、ビットレートの変換はいずれも「Edit」メニューから選択できる。
時間もさほどかからず、音質変化も少ない。というより、変換前後を問わず「TWEの音」
になると言ったほうがいいだろうか。
フォーレにはTWEが合うだろうと思い使ってみると、まさに狙い通りの結果。(^^)Y
しいて言えば、高域が若干失われたようで、ヴァイオリンが弱く聞こえる。

(2) LogicDELTA

LogicDELTAの場合、リサンプルは波形編集画面のサブメニューから、ビットレート
変換はミキサー画面のバウンスボタンから、と操作法が異なっている。
サンプリングレートの設定はDestinationの数字を96000から44100までマウス
ドラッグで減らさなければならず、非常に時間がかかる。しかし変換処理は軽快で、
速いほうだ。変換結果は高域がやや不揃いに感じられた。サンプリングレート変換は
原理上、周波数帯域が狭まるものだが、高域の落ち込み方がソフトによりナチュラル
だったりギザギザだったりするのである。

(写真)LogicDELTAの波形編集ウインドウ
Logicの波形編集ウインドウ
サブメニュー「Factory」から「SampleRateConvert...」を選ぶと下のダイアログが開く。

LOGICリサンプリング設定ウインドウ


ビットレート変換はミキサー画面Outputの「Bounce」ボタンを押すとデフォルトで
16Bitに書き出せる。バウンス時に「GAIN」「eVerb」など何種類かのプラグインも
使えるが、筆者のG4 400 192MBではメモリ不足のせいか頻繁にフリーズする。フリー
ズと同時にAudiophileから最大音量のサイレンのような発振音が鳴り響くから大変。

(写真)LogicDELTAのバウンスダイアログ
Logicのbounceウインドウ
ミキサーウインドウの「Bnce」ボタンを押すと設定ダイアログが開く。
「16Bit」、「Interleaved」を選んで「Bounce」。
Logicは録音やバウンス時にHD残量表示があるのが親切だ。

(3) Digital Performer

DigitalPerformerでの変換作業はとても簡単。
まず、SoundbiteウインドウにAIFFファイルをドラッグ&ドロップして読み込む。
Soundbiteウインドウ上でファイルを選択して、ミニメニューからそれぞれ
「ConvertSampleFormat」「SampleRateConversion」を選べばよい。
変換クオリティは「Draft」「Faster」「Best」の3段階から選択できる。
変換時間と、特に高域特性が異なる。「Best」にするとLogicDELTAの数倍時間が
かかるが、高域の損失は最小限に抑えられる。

(写真)DigitalPerformerのConvertSampleFormatダイアログ
DigitalPerformerのコンバートダイアログ
Soundbiteウインドウのミニメニューから呼び出す。

(写真)DigitalPerformerのSampleRateConversionダイアログ
DigitalPerformerのサンプルレート変換ダイアログ
変換クオリティをDraft,Faster,Bestの3段階から選択できる。

まとめ:データコンバート3者3様

以上見てきたように、ソフトによって操作体系が異なる。TWEとDigitalPerformerは操作が
簡単だが、Logicは最初はマニュアルを参照しなければならないだろう。

変換後の音質も、若干だが、ソフトによって異なる。それも変換精度プラス、ソフト固有の
音色があるように思われる。
TWEは繊細優美でやや明るめの音で、高域の減衰はあるが不自然さはない。
LogicDELTAは変換速度が速いが、場合によって高域がややザラ付いた感じになることが
ある。音色は中立的で信頼感がある。
DigitalPerformerの「Best」モードでは高域の損失が少ない。音色はハッキリクッキリ
傾向。ソフト全体の使い勝手、安定性もすぐれている。

もちろん、カードバンドルのLogicDELTAとフルバージョンのDigitalPerformerを比べる
のは酷というもの。LogicDELTAは、若干の不安定さを差し引いても、取り込みユーティリ
ティーとして十二分の性能を持っている。本格的にLogicで編集をおこないたい人のために
LogicAudioPlatinumへのアップグレードが用意されている。

Macintosh環境の2大定番ソフトDigitalPerformerとLogicAudio。アメリカ製とドイツ
製で、思想・デザイン・音色が異なる。どちらを選ぶかは、コルベットとBMWとどっちに
するか選ぶようなもの。求めるもの次第でお気に召すまま、なのだ。


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